耳鼻科医の天敵、土用の丑の日が過ぎました。この日は、かなりの高確率で呼び出しがかかるのです。
普段から、人が魚を食べて骨がのどに刺さった場合、簡単に取れないと大概は病院の救急に受診します。最近の食事形態を考えると、朝、昼はパンやパスタなどの洋食や、麺類が多いでしょうから、この魚骨異物は、おおむね夕食後が多いようです。つまり、我々がちょうど仕事が一段落ついた時間帯に救急から連絡がくるのです。
例えば夕食を7時に摂って、のどに異物が刺さると通常、ご飯を丸呑みしたりして何とかはずれないか試してみたり、しばらく我慢したりしますね。それでも刺さっていると、いよいよ病院に行こうということになりますが、なぜか大体夜10時をまわったころにおいでになります。このまま夜を過ごすのが不安になる時間帯なのか、我慢が極まったのか、とにかく皆さん例外なく恥ずかしそうに外来で事の仔細を話してくれるのです。
一番多いのはアジやサバの小骨で、これは無理なく納得がいきます。うっかりというやつです。これらの骨は細いのですが長さがあり、比較的あっさりと見つかります。ところが、土用の丑の日だけはうなぎの小骨が引っかかる患者さんがかなりの確立で受診します。皆、うなぎは骨がないものと思って食べるのか、心外そうな雰囲気を醸し出す方もいます。うなぎの骨は細い上に短く、なかなか見つけるのが大変で、見つかっても摘出に苦労します。
普段あまりうなぎの骨の異物で受診される方が少ないのは、通常あまり食べないからなのか、それとも忙しいのでうなぎ屋さんの捌きが雑になるせいなのか。仔細は分かりませんが、外来受診でうなぎの骨を見つけるたびに、「うなぎにも骨はあるんだなあ」と再認識するのでした。
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