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臨床の現場より

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カテゴリ:医療制度
 9月になりました。残暑というにはあまりにも暑苦しい日々が続いています。
 この1ヶ月、head&neckは久々の試験勉強に追われています。というのも、もうすぐ「頭頸部がん治療専門医試験」というのが有り、これを受験せねばならないからです。昨今、医学会は専門医流行りの傾向がありますが、ついに耳鼻咽喉科の様なマイナーな科にもその波が押し寄せてきた感があります。
 一昔前までは、医師の資格といえば医師免許以外では、博士号くらいのもので、勤務医はこれが欲しいが為に大学の医局にしばられている面がありました。博士号をとるには多くは基礎研究を数年行って、論文を書き、所属する大学で認められれば晴れて「医学博士」となるわけです。したがって博士号というのは「ある一定期間研究をしましたよ」という証明書であって、臨床の能力には関わりはなく、況やこれで給料が上がるなんてこともないのですが、その言葉の響きの良さゆえか、はたまた洗脳か、とにかく多くの医師がこれを取得するために躍起になっていたのです。
 数年前、いや十数年前から、各学会が「専門医」というのを設け始めました。これはまさに臨床知識を問うという観点から学会主導で設置された資格です。これも別に専門医を持っているから給料が上がる訳ではありませんが、専門医の資格無く一人で医療を行い、ミスをすると責められるといった風潮になっていますから、現在では臨床の医師は博士号よりこちらを重視するようになってきています。
 ひとつヒット商品がでるとどんどんコピーがでるのと同じで、医師の世界も現在専門医濫立の様相を呈していることは否めません。中には資格コレクターみたいな医師も居るようですが、多くは自分の専門にする分野の資格は取らざるを得ない状況になっています。head&neckが9月に受験する資格は今年から新設されたもので、第1回の試験になります。
 勉強をしていると、これまであいまいであった知識の整理になって、良い面もかなり感じますが、それでも出題委員のお偉いさんには頭の硬い方々がいるもので、まったく実地臨床とは関わりの無いような分野もある程度は覚えなければなりません。この辺り、どの資格試験でも似たようなものだと思います。

 いずれにせよ、40代になると暗記も遅くなり、それに日常業務の忙しさも相まって、なかなか勉強は遅々として進みません。20代の学生の時のようにはいかないのです。また微妙に年齢からくる衰えを自覚するのでした。

 





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最終更新日  2010.09.02 17:00:33
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