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テーマ:アマチュア演奏家集まれ!(4)
カテゴリ:舞台・稽古雑感
今日はちょこっとだけ・・。
今日は仕事帰りに、かみさんと1月の友人の結婚披露宴で頼まれた歌の練習に行きました。練習場所はもう馴染みになったピアニストNさんのご自宅。 Nさんは、私の高校の後輩の、大学時代の友人。私がオペラをやる時に後輩に伴奏をお願いしたところ、助っ人という事で当時音楽大学にいた友人を連れてきてくれたのですが、彼女はそのうちの一人。何だかんだやっているうちに腐れ縁というか、後輩よりもNさんとのお付き合いの方が断然長くなってしまいました。 そのNさんも、ピアノ科で、当初は普通のピアノ科の生徒さんと同じようにピアニストを目指して弾いていたのですが、私がこのオペラで共演して以来、事あるごとに彼女に伴奏をお願いしてしまったもので、彼女も足を洗うに洗えず、ずるずると伴奏を弾いているうちになんと、伴奏自体に目覚めてしまい、今では伴奏をお仕事にしてしまったほどはまってしまいました。 そんなためかどうかは判りませんが、彼女は私やかみさんの個人的な練習にいつも付き合ってくれて、忙しい中でも時間を作ってくれてつたない練習にも素晴らしい伴奏をつけてくれています。また、私が企画する様々な無理難題にも快く(?)応えてくれています。私達夫婦にとっては本当にかけがいの無い人の一人です。(あちらは実に迷惑してるかもしれませんが・・・) 披露宴で歌う曲は、以前書いたかもしれませんが、ドニゼッティの『愛の妙薬』から村の娘アディーナとインチキ薬売りドゥルカマーラの歌う二重唱です。アディーナに恋心を抱くものの相手にしてもらえない村の青年ネモリーノは、ドゥルカマーラから愛の妙薬を購入。ところがこの妙薬、実は安ワイン。一本飲み干すものの、状況が悪くなったので自分の身を軍隊に売って金をつくり、ドゥルカマーラからありったけの妙薬(安ワイン)を買って飲んで酔っ払い、気分が大きくなります。と、タイミングよく(?)ネモリーノの財産家の叔父が亡くなり、その遺産が全部ネモリーノに転がり込んでくることを知った村娘達が大挙して彼に言い寄る。「ものすごい薬の効き目!」とばかりに喜ぶネモリーノ。それを影から見ていた複雑な気持ちのアディーナ。その彼女の気持ちを察した(?)ドゥルカマーラから、一人の女性の愛を得るために軍隊に身を売って金を作って、わしのよく効く妙薬を手に入れたのだ、と聞かされ、自分のことをそこまで思ってくれていた彼の気持ちにようやく気づく。ネモリーノの気持ちを自分に向けられるぞと、彼女に妙薬を売りつけようとするドゥルカマーラと、彼には薬より私のまなざしの方がよっぽど効くのよ!アディーナの歌う楽しい二重唱です。 私達夫婦は一度『妙薬』全曲を歌っていますがその時は私が女好きの軍曹ベルコーレ、妻が村娘ジャンネッタという役柄だったので、今回の役とは随分違います。ベルコーレは比較的バリトンには歌いやすい声域ですが、ドゥルカマーラはバッソッブッフォという、喜劇的なバスの薬なのでちょっとポジションが低めの声域となります。でも重い声が要求されるわけではなく、早口言葉のような歌詞があちこちにちりばめられておりますので、軽く歌わないと結構歌うのも聞くのも辛くなってしまいそう。 今回の歌詞は、やっぱりオペラを知らない方々が沢山お見えになって聞くのですから(多分当日は皆さんしこたまお酒が入ってちゃんと聞いてはもらえないと思いますけど・・。)私達が全曲やった時の日本語歌詞で歌うことになりました。 ひゃぁ、しかし、とにかく仕事帰りで疲れているのと、電車の中でぐっすりと熟睡してしまったのと、しばらく声をだしていないので、とにかく歌える声が出来るまでに時間がかかる・・。発声を念入りに、という時間もあまりないので、この辺は歌いながら作ってゆくしかない。かみさんも育児しながらまじめに声だしというのはなかなか難しいようです。それに、Nさんの家まで約1時間、普段あまり長距離を運転しない車を運転するので緊張で体がこわばっている。だから当然かみさんも歌いながら声を作ってゆくしかないんですね。 息とか支えとか言ったものがなかなか下半身に落ちてゆかないので、どうも喉で歌っているような感じになってしまうんですね。で、完全に喉の方に行ってしまうとお腹から下にそれを戻すというのは本当に一苦労。 おまけに歌詞も覚えるのも一苦労ながら、まず音符に充ててそれを歌にすること自体に一苦労、もひとつ言ってしまえば、前回の練習から何週間か経っていましたが、かなり音を忘れてしまっていました。いつも人には、一度やった事は復習して覚えてくるみたいな事を言っているのに恥ずかしい限り・・。 しかし、何度も何度も歌っていくうちに声自体ができてくるもので、そうすると喉のシバリが取れたようになり、息遣いや表現が楽に出来るようになってくる。こうなるともう、歌うのが楽しくなってきちゃうんですね。Nさんにも休む間など与えず、ずっと弾かせてばかりいました・・。(本当にゴメ~ン!)この曲は7,8回通して歌いました。私が「あと1回」「これで最後!」などといいながらずるずる練習をして結局それだけ歌いました。かみさんも体がこわばっていたこともあり、歌いきった後はへとへとでした。 そして、もうひとり我慢がならなかった者が約1名。そう、ジークフリートです。かみさんと私の大声(しかも私はドラ声)を聞かされ、もう脳障害寸前!!かみさんの高音にあわせて歌うは、私の歌を聴いて踊るはしていたのはまだ楽しいのですが、キョエ~とか奇声を発したり、ピアノの椅子に乗って大暴れしたり、ピアノに写った自分の姿を見てニヤニヤしたり、ピアノを弾いているNさんの隙をみて『おっぱいタッチ!!』を敢行したり・・・。 ところが、このNさん。この練習が終わったら「他に歌いたいのないですか?」なぁんて、私のツボを刺激するようなことを言うもんですから「じゃぁ、『カヴァレリア』と『パリアッチ』お願い!」とお願いしてしまいました。この2つのオペラはヴェリズモオペラといって激しい歌の多い作品。2曲ともNさんは弾いたことがあるので結構お手の物。私も大大大好きな作品なので、ついついお願いしました。 この2曲、実はできたら今度立ち上げる市民オペラでやってみたいと思っている曲。私入院中はこの2曲のスコアを持ち込んで一日中研究を続ける日々を送っていたので、とにかく、今歌って見たい!!とばかりに『パリアッチ』のプロローグのバリトンの歌うアリアに、テノールのカニオという役の歌うアリアを2曲、シルヴィオという若者役のバリトンの歌う歌を1回、『カヴァレリア』でトウリッドウというテナー役でかみさんにサントゥッツァというソプラノの歌う役をうたわせての2重唱とトウリッドウのアリア1曲という実にハードな曲ばかり、ガツンガツンと歌わせていただきました。 しかし・・・、 やっぱりテナーの歌は正直辛すぎでした。アクートは全然効かないし、高音がとにかく美しくない。途中でスタミナ切れか集中切れか、高音に音が当たらずヘナヘナになってしまう。まぁ、遊びという感覚はあったとは思いますが、それでもテナーに移る事の難しさを改めて実感しました。 バリトンの2曲は自分でも結構息も長く朗々と歌うことができ、気持ちよかったです。(歌の出来といわれると、アマチュアですし褒められたものではないとは思いますが・・) 結局、こんな事をして遊んでいるうちに夜の10時に・・。もう、騒音を聞かされ続けていた息子殿は発狂寸前!! かなりへたっていたので、いい加減歌うのをやめて、今日の怒涛のような歌の練習は終了しました。 残すところあと2ヶ月あまり。暗譜して、ちょっと振りもつけて・・。まぁ、友人の大切な結婚披露宴の場ですから、良い物を作ってゆきたいと思います。 そういえば、先日イタリアのバリトン歌手、マウロ・アウグスティーニ氏が11月に来日するのに伴い、マスタークラスをするということでその案内を頂きました。30分のレッスンを3回にわけ、都合90分3万円のレッスン料。アウグスティーニ氏は私、高校の時に初めて生で聞いて、初めてバリトン、というものを意識した、そんな思い出深い歌手の方だけに、是非、今回は受けたいなぁ、そう思っているのですが、3万円・・・。厳しいなぁ・・。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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