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テーマ:音楽のお仕事♪(1696)
カテゴリ:オペラ・音楽
(ちょっとブログのテーマからは外れているかも・・。すみません・・。)
もう2週間くらい前のことだと思いますが、『題名のない音楽会』、ご覧になりましたか?2週にわたって、一度本物のオーケストラの指揮をしてみたい!!という素人さんを募集して、その中から選ばれた人たちによる指揮者コンクールが放送されていたんです。人数は総勢15人ほど。小学生から上はおじいちゃん、おばあちゃんまで多岐にわたっています。 実は、私もこの公募の話を知り応募しようとしていたのですっ。結局仕事に追われてしまい応募し忘れてしまいました。あらためてこのテレビを見て、なんてもったいない事をしたんだろう、と羨んだり悔やんだり・・。まぁ、応募したところで選ばれるとは限らないんですが・・ 私は今でこそ下手の横好きでオペラを歌いまくっていますが、何を隠そう、クラシック音楽に目覚めた頃は指揮者になりたくてたまりませんでした。なぁんていっても、そんな思いを抱いたのは中学3年生を3分の2終えた頃。それまでは音楽の授業なんて大嫌いだったので、楽典はおろか楽譜すらろくに読めない奴が突然指揮者なんて無謀な夢を抱いたのであります。今の音大はどうなのか知りませんが、当時音楽大学でも指揮科は東京芸大だけ。しかも募集人員は一ケタ台という超難関・・。実際に指揮者になるという夢はすんなりあきらめました。いや、あきらめざるを得ないといった方が正しいでしょうか・・。振りたくてたまらない、という欲求はただずっと持ち続けていたので、結婚するまではMyボールならぬMyタクト(Myタクトは本物の指揮棒とは限らず、その時手に持っていたもの、、たとえば鉛筆だったり、菜ばしだったり、使いかけの割り箸だったり・・)を持ちCDを聴きながら棒振りの練習をしたものです。さしずめ、名指揮者W・サヴァリッシュの華麗で的確な指揮ぶりに傾倒していたこともあって、自分の中ではすっかりサヴァリッシュをイメージして棒振り練習をしていたものですが、ピアノ伴奏のオペラ公演で私が指揮をした姿をVTRで見たときは、肥えた身体で棒をブンブン振り回すJ・レヴァインの、数倍ちゃんちゃらぴぃ~~にしたような指揮姿だったので、愕然としてしまったことも覚えています さすがに結婚して子どももいる今となってはそんなこと恥ずかしくてできませんが、職場などで時折誰もいない部屋で突然頭の中に音楽がなり始め、自然とにわかコンダクターに変身してしまう事があります。 もう昨年の事、入院していた時にヘッドフォンをつけてCD(『カヴァレリアルスティカーナ』)を聞きながらスコアを見ていると勝手に手が動き始め、部屋はカーテンで仕切られているのをいいことに悦に入ったコンダクター状態になって振っていたんです・・。そのとき、看護婦さんが私に声をかけカーテンを開けていたことも知らずに・・。唖然とした表情の看護婦さんが立ちすくんでいた姿と、恥ずかしさのあまり顔も上げられなかった私の姿は想像に難くないと思います・・・。 そんな自分を懐かしく思い出し(?)ながら『題名のない音楽会』を見たのですが、いやぁ、自分とおんなじような思いを持った人って世の中に結構いるもんなんだなぁ、と関心しつつも、そのなり切りコンダクター振りには腹を抱えて笑わずにはおれませんでした。 体全体で音楽を表現しようとしてる人、まるで舞踊のように指揮を舞っている人、心根の優しさが指揮ぶりにも現れているような人、本物のオーケストラや大勢の観客を前にしても物怖じせず堂々と振る小学生などなど、でもどなたにも共通しているのはその振っている音楽が“好き”という事だと思いました。皆さん、曲を歌いながら振っています。ある人は鯉がパクパクするかのように、またある人は絶唱するように、またある人は演歌のコブシを唄ているかのように・・。自分の振っている曲をよく知り、自分の中でその音楽のイメージが出来ているんですね。また、今回面白いと思ったのはオーケストラが本当に振る人の個性に乗っているというか、振る人が振ったとおりの音楽が鳴ってくることでした。確かにプロの指揮者は独自の個性的な音を持っているし、指揮姿がその音に反映しているという様子は何度となく体験していますが、やっぱりその音、音楽というのもある程度綿密に稽古した上に成り立っているものなんだと思っていたのです。いや、もちろん、絶対そうなんだとは思いますが、この番組を見ると、恐らくそんなにリハーサルも出来ていないと思うのですが、 オーケストラが指揮者に寄り添って激しい音を出したり、やさしい音を出したり、たった1分間の中でその指揮者のもつ音楽の世界を実に如実に伝えてくれるんですね。ちょっと緊張していて振るテンポがゆれてきたりするとオーケストラも一緒に不安定になったり、“おっ!結構しっかり見ているんだなぁ”というのがよく分かりました。オーケストラの音が振る人によって違う、同じ曲を同じオーケストラが弾いても指揮者が違うと全然違う演奏になるのはいろんな演奏を聴いているとよくわかりますが、素人が振っただけのオーケストラもこれだけ色が変わるというのは驚きでした。百戦錬磨の演奏経験をしているプロのオーケストラだからこその柔軟性、好反応なのかもしれませんが、あれだけの楽器と演奏者の集合体がまとまってそういう反応をするわけですからねぇぇぇ。改めてオーケストラの奥の深さを感じてしまいました。と、同時に、“ああっ、いいなぁ、僕もオーケストラが振りたいなぁ、、”というよからぬ欲望がまた鎌首をもたげています。まぁ、鎌首もたげたところでどうにでもなる話ではないのですが・・ 指揮者への欲、といえば、最近我が息子も少し興味を持ち出したのか(??????????)その前の『題名のない音楽会』に出演していた宮川彬良さんの指揮ぶりを見てみよう見真似で頑張って振っていました。また、先日のイングリッシュカーニバルの帰りに寄った有楽町のHMVの試聴コーナーでテンシュテット指揮のDVDが流れていたのですが、ジークフリートはそのヘッドフォンを耳にかけたかと思いきや、テンシュテットを見てガンガン振っているではありませんか!!息子からヘッドフォンを奪って聞いて見ると曲はワーグナーの『ジークフリートのラインへの旅』じゃありませんか!さすがは我が息子!!本気で自分の夢のバトンを息子に引き継がせようかと思った瞬間でした 指揮者といえば、最近オペラ歌手でもそうなんですが、実に感銘を受けるというか、“スゴイ”指揮者にめぐり合える、という機会がめっきり減ったというかほとんど無くなったように感じるのは気のせいでしょうか・・。最近の指揮者はみんな頭が良くて、音楽の形を欲理解していて、楽譜に忠実で、刺激的な演奏も得意・・。でも、心にズンッ!と響く音楽を聞かせてくれる指揮者、個性的でわくわくさせる音楽を作ってくれる指揮者が実に少なくなったと感じます。懐古趣味といわれればそれまでなんですが巨匠と呼ばれる指揮者が存在していた時代、まさにカラヤン、バーンスタインなんかが存命していた時代までの指揮者の音楽はさまざまなタイプの指揮者が混在していて、アンチ巨匠な指揮者達には実直な職人がまた味のある音楽を聞かせてくれていた。オペラなんかも本当に上手く、面白く、そして感動的に聞かせてくれる指揮者が多かったですね・・。ところが、巨匠が亡くなってしまった現在、学者的な音楽作りをしたり、理屈が立派な指揮者や古典的な時代に翻ってピリオド奏法でやってみたりとか、ポピュラー音楽に近づけてみる奏法とか、いろんな人が跋扈し、一瞬、個性的な指揮者が増えたと思ってしまうのですが、聞いてみると意外に個性がない・・。一聴して“この人の音楽だ!”とか感じることも無ければ、無骨だけれど、がっしりとした骨太の演奏にしみじみ耳を傾けることも無くなりました。また、天国にいるような幸せの響きを味わうことも・・。 先程のテンシュテットのDVDですが、ロンドン響との来日公演のワーグナー管弦楽曲の演奏のものでした。私もこの演奏テレビで見たとき、ものすごい力強さと迫ってくる表現に一気に引き込まれ、私のワーグナー好きを加速させたものでした。(このVTRには確か熱のこもった指揮のあまり、突然譜面台がズルッと下に下がってしまうハプニングもありました)それから10年後位、テンシュテットが再来日すると聞いたので是非、生で聞きたいと思いチケットを購入。蓋を開けてみればテンシュテットは病気で、代役が今をときめくF・ウェルザー・メスト。非常に刺激的なベートーヴェンでそれはそれですごい体験でしたが、やっぱりテンシュテットを聞いたときのあの感動、は味わえませんでした・・。 ぜひぜひ、皆さんの好きな指揮者、オススメの指揮者教えてくださいっ。 なんだか尻切れトンボな終わり方ですみませんっ~ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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