「猫の通り道」
窓の外を猫が通っていく。 曇りガラスを、猫の柄に合わせた、 白黒の模様などが、のそのそ、ゆっくり、 移動していく。 前までには、たまにしか、 通らなかった気がするが、 今は、一日に、2,3回は、 遭遇してる気がする。 猫頻度が、高くなっている。 最初のころは、ごそごそ、 窓の外を、魔物が動くので、 恐怖したが、 だいぶ慣れてしまい、 「また、通った」程度で、 済ましているのだが、 換気のために、 窓を開け放っていたら、 猫が、こっちを見つめていた。 餌なら、やらんぞ。 即座に、私の脳が、 無音で呟くが、 猫と私の間の空気は、 唐突な遭遇に、 一瞬、止まっていた。 つぶらだ。 つぶらな瞳だ。 たしかに、かわいいかもしれない。 見ると、窓の柵には、 餌付け用の、皿が設置されている。 心なしか、餌が、減っている。 どうりで、猫頻度が、高くなっているわけだ。 猫の頭を撫でてみようと思い、 近づこうとした、瞬間、猫は、 身を翻した。