豪華客船を3隻まとめて見た日
平日と同じ時間に起きて伊丹空港へ向かう。いつもは空いている土曜の朝の東京便、今日は混雑していそうだ。飛行機に乗ると、結構空席が多い。これなら大丈夫、と思ったらドアクローズの直前に乗ってきた団体が、私の隣にもやってきてしまった。見渡すと、空席はあまり多くはない。6月に同じ時間に乗ったときは空席だらけだったような気がするが。飛行機はところどころに見える雲の上を順調に飛行していく。座席が海側のK列だったので富士山が見えないのが残念だ。おまけにいつも持ってくるヘッドフォンを忘れてしまった。あのビニール管のヘッドフォンは使う気にならないし。順調に飛行機は飛んでいたが、機長アナウンスで15分遅れるとのこと。あれ、と思っていると、相模湾上空で機は旋回を始めた。上空待機は2回経験したことがあるが、いずれも夜で天気も悪かった。今回はいい天気の日中だ。関東上空は以前ニアミス事故が起きたことでわかるように、利用できる空域が限られているためか、機は旋回するときにはかなり大きく傾く。伊豆半島が大きく見える。飛行機は約30分遅れで横風用の滑走路に滑り込む。羽田空港は連休の初日とあってか大混雑。「遅延」の表示が出ると、地上係員に苦情を言うみっともないおっさんを横目に見ながら羽田を後にする。友人との待ち合わせの時間は、乗りたかった便が満席で一便早い飛行機で来ているので問題はない。今日は珍しく彼も予定よりも早い時間に着いた。昼食を摂って山下公園へと向かう。その途中にいくつかの建物を撮影する。同じ建物を撮影するにも私とスタイルが違う。近距離ならあまり変わらないはずだが。吸い寄せられるように大桟橋へ。今日は私の希望で氷川丸に立ち寄るはずだが、通り道だしこっちに来てしまった。海の向こうには目的の氷川丸が見えるが、手前には現代の豪華客船らしき船が停泊している。船の名前は「飛鳥」(28,856t, 192.8m, 24.7m)。名前は聞いたことはあるが、実物を見るのははじめてだ。この間、名古屋で見た「ふじ丸」(23,235t, 167m, 24m)も立派だったが、まさに浮かぶホテルだ。写真を撮影しつつ反対側を見ると、その「ふじ丸」も停泊していた。「この船は名古屋で青年会議所の研修でグアムに行くところを見たで」と言うと、友人は青年会議所について辛辣なコメントを発した。桟橋の端には、休日とあってかごついカメラを持った人が大勢いた。しばらく「飛鳥」を撮影していると、カメラを持った人が桟橋の端に集まり始めた。私もその集団に加わると、大きな船が近づいてくる。立派な艦橋を持った豪華客船のようだ。その船は桟橋の沖合いでゆっくりと方向転換をして桟橋に横付けされた。方向転換の途中に、望遠レンズのおかげで読めた船名は「ぱしふぃっくびいなす」(26,518t, 183.4m, 25m)。接岸作業を見学する。重りの付いたロープの端を岸壁に投げ、岸壁の作業員が受け取ると車で引っ張って所定の位置に引っかける。引っかかったら船の側でロープを巻き上げて固定する。昔はこれも人力でやっていたんだろうなあ。接岸作業を見た後、大桟橋を後にする。ふと「ぱしふぃっくびいなす」を見ると、船尾に「大阪」と書いてある。彼女は大阪娘のようだ。ちなみに「ふじ丸」は三菱神戸造船所生まれの神戸っ娘。「飛鳥」は三菱長崎造船所生まれ。その船尾を撮影するため外に出ようとすると、友人にそこは立ち入り禁止区域だと注意された。そういえば今まで歩いてきた場所と雰囲気が違う。扉の向こうは国際線の飛行機を降りた後の、到着口に出るまでの空間のようだ。現在の豪華客船を見た後、かつての豪華客船「氷川丸」を見学する。こちらは博物館兼ビアホールになっていて、翌日の花火大会のために船上にはイスが並べられていて邪魔だった。巨大なエンジンと豪華な特別船室には圧倒される。しかし、もう彼女は自力で動くことはできないだろう。今日来た現在の豪華客船に「私の若い頃は戦争で、妹たちはみんな戦争で逝ってしまったんだよ」などと昔話を聞かせたかもしれない。帰りに友人にD70の連続撮影機能を体験させた。いつまで経っても止まらない撮影に驚愕していた。この機能の利用価値はとにかく、すごいことには違いない。帰りの飛行機はガラガラだった。空港の混雑で離陸が遅れて、上昇中と降下時にかなり大きく揺れた。おかげでこの日、伊丹に最後に離陸した機になったのではないだろうか。客船のデータはPTSクルーズデスクの「クルーズあれこれ」にある「客船データベース」を参照しました。