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カテゴリ:アメリカで学んだこと、知ったこと
言葉や表現などから文化や歴史などの背景を学ぶ事もしばしばだが、私の中で一番印象に残っている言葉は、何と言ってもMontezuma’s revenge(モンテスマズ リベンジ:モンテスマの復讐)である。
そもそもMontezuma’s revengeは『下痢』の俗語で、特にメキシコへ旅行へ行き(または遊びに行って)下痢にかかってしまった場合に、この言葉が使われたりする。 例えば、『I think I've got Montezuma’s revenge...(何か下痢にかかったみたい、、、。)』といった具合にだ。 この言葉を初めて聞いた時に、何故下痢がモンテスマの復讐なのか疑問に思ってしまったのだが、早速調べてみる事にした。 ~モンテスマの復讐とちょっとした歴史~ メキシコがAztec(アステック:アステカ)文明時代の頃の話であるが、当時の王はMontezuma II(モンテスマ2世)であった。 1519年に兵隊を率いてスペイン人、Hernán Cortés(ヘルナン・コルテス:フェルナン・コルテス)がキューバ経由でやってきたが、王はCholula(チョルラ:メキシコにある都市)でのコルテスによる大虐殺事件を知っていた為、様々なギフトや住居まで与える事によって慎重にもてなした。 一方で、スペイン人の到来を「白い肌をした伝説の神」の再来だと信じていたが為に、攻撃もせず迎え入れたという説もあるが、結局王は迎え入れたHernán Cortésによって監禁、殺害され、2年後の1521年にはアステカ王国は完全に滅亡してしまったのだそうだ。 その為、訪問者がメキシコや中米の国々などに足を運んで下痢にかかると、『これは侵入者に対するモンテスマ王の復讐に違いない。』などと、下痢があたかもモンテスマの逆襲であると考えられるようになり、この言葉が登場したのだが、登場時期は恐らく1900年代半ばくらいだと言われている。 この言葉が浸透するにつれ、段々とメキシコや中米の国々以外の海外で下痢に対しても使われるようになったらしく、今では特にTraveler’s diarrhea(トラベラーズ ダイアリア:旅行者下痢症)の事を指すようになったのだそうだ。 その強烈な復讐にやられてしまう旅行者はかなり多いそうで、旅行に出る際は場所が何処であれ気をつけたいものである。 ~旅行者下痢症の対策~ 旅行者下痢症は、劣悪な水道事情が下痢の原因だとも言われているが、慣れないものを食べ続ける負担や旅行のストレスによる下痢もあり、さらに日本人の場合だと慣れない硬水のお陰で下痢にかかる場合もあるのだとか、、、。 そういう訳で、短絡的に下痢の原因を決め付ける事は出来ないのだが、私がメキシコへ行く時に気をつける事をここに幾つかあげてみたいと思う。 1、水は飲まない。氷を使わない。 一流レストランや行きつけの信頼出来るレストランや食堂なら問題はないと言われているが、まず気をつけたいのは水だ。 また水道からの水は飲まない方が良いだろう。 水道の水から作られたと思われる氷も避けた方が無難である。 菌の所為でお腹をやられたという話を良く聞いたりするので、お勧めはボトル入り飲料を購入する事である。 2、生のものは極力食べないようにする。 生野菜や生で食べるような魚介類は極力避けた方がいい。 食事をセットで頼む際に生野菜がサラダとして出てくる場合もあるが、私もなるべく手を付けないようにしている。 果物なども最初から切られていたり、皮をむいたものは避けるようにし、自分で皮をむいて食べるようにした方がいい。 3、注文して出てきたものが冷たい場合は絶対に食べない。 滅多に起こらない事なのだが、食事が冷めていると感じたら食べない方がいいだろう。 調理後、長い間置いた可能性があるからだ。 メキシコに限らず、何処ででも注意したい事項である。 4、乳製品は極力避ける。 私の場合、一旦火を通したチーズ(例えば、エンチラーダの上でとろけているチーズなど)は食べても、生のままで出てくるチーズ(野菜サラダの上にパラパラとかかっているチーズなど)は食べないようにしている。 先ほども述べたように、旅行者下痢症には色々な原因が考えられ、食事や飲み物に気をつけてもかかる場合があるが、万が一かかってしまったら、脱水症状を防ぐ為にも水(水と言っても勿論水道からの水ではなく、ボトルに入った水の事)をたっぷり補給するのをお忘れなく、、、。 モンテスマ王の復讐はなかなか手強いのでとにかく油断は禁物である。 後記: 幸い、モンテスマ王の怒りに触れた事はないのですが、体調を整えて旅に出るのも旅行者下痢症予防のひとつなのではないかと思います。 旅行者下痢症にはいくつもの俗称があり、特に行き先がメキシコであった場合は今回取り上げたMontezuma’s revengeに、 Aztec two step(アステック トゥー ステップ)、メキシコではTurista(トゥリスタ)などという呼び方があります。 また、東洋諸国を訪れた際に経験する下痢には、Delhi belly(デリ ベリー)、Hong Kong dog(ホンコン ドッグ)という俗称もあり、下痢の俗称はあげればきりがないほどです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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