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カテゴリ:アメリカで学んだこと、知ったこと
メキシコ・ティファナの街を歩き回っていると、薬局がやたら多い事に気づく。
しかもティファナ市のみで1000軒以上もあると言われているそうで、薬局同士が隣にずらっと並んでいる事だってあるのだ。 そういえば、フアレスの街(テキサス州・エルパソと国境を挟んで隣り合わせのメキシコの町)を訪れた時も、ティファナほどではないとは言え、同じ事を感じた記憶がある。 私の近所に住んでいた高齢の方によれば、なんでも『高齢者の為のメキシコバスツアー』なんていうものもあって、その中にはちゃっかり薬局へ寄る時間が組まれている事もあるのだそうだ。 私自身、お姑ごんの薬をメキシコへ買いに行く事もあるが、アメリカ合衆国に比べて安価で購入出来るという理由からである。 そもそもアメリカには、日本にあるようないわゆる「国民皆保険制度」はなく、政府による保険制度には、65歳以上の高齢者や65未満でも身体に障害をもつ者、そして慢性腎不全患者を対象としたMedicare(メディケア)と低所得者を対象としたMedicaid(メディケイド)の2つしか存在せず、他は民間の保険会社を通して医療保険に加入する形になっている。 保険加入に関しても政府は一切介入せず、医療保険の加入も個人の意思に任せられている為、無保険者が多く存在するのも現実である。 しかも、政府による保険制度でも、処方薬代となるとカバーされない事もあるので、別途で民間の保険(処方薬保険や処方薬もカバーしてくれる医療保険など)に入りでもしないと、全額自己負担になった時には恐ろしいほどの出費が生じたりする事もあるのだ。 こういった状況だからこそ、お隣のメキシコへ(またはお隣のカナダへ)わざわざ出かけ、安価な薬を求めに行ったりする人がいるのだが、薬も場合によってはアメリカ合衆国で販売されている薬の半値以下で手に入れる事が出来るので割に合う事もある。(アメリカ合衆国で買った方が安い薬もあるが、、、。) 必要なのは医者からもらうprescription(プリスクリプション:処方箋)のみ、、、。 メキシコの医者にそれを見せてメキシコで通用するprescriptionを書いてもらえば、購入も実に簡単だ。 ~メキシコで買う利点と問題点~ メキシコで薬を購入する事に関しての利点と問題点を私が思いつくだけ挙げてみようと思う。 *利点* 1、Generic drug(ジェネリック ドラッグ:登録商標はされていないものの、同じ効果がある薬品)が手に入りやすい。 時にアメリカ合衆国で買った方が安い事もあると先で述べたが、それはブランドを買う場合の話で、同じ成分で同じ効能があるとされているGeneric(ジェネリック)の場合だとかなりの節約になる。 *問題点 1、アメリカ合衆国で販売されていない薬を購入する事が出来るが、違法になりかねない。 アメリカ合衆国で薬を販売するには、まずアメリカのFDA( Food and Drug Administration フード アンド ドラッグ アドミニストレーション:食品医薬品局)に認可されなければならない。 その為には、長年に渡る慎重な審査を受けなければならないのだが、そうしている間にもヨーロッパなどの国々で認可される事もあり、アメリカ合衆国よりもメキシコで先に販売される事もある。 また、こうした最新の薬のみではなく、アメリカ合衆国で売られなくなった薬なども、メキシコで手に入れる事が可能だったりする。 ところが、基本的に海外で認可されていてもFDAが認可していない薬の持込みは違法となっているので注意。(ただし、例外もあり、生死にかかわる病を患っている者などは一定の条件の元で、FDAが認可していない新薬を購入する事が出来る。詳しくはThe U.S. Customs & Border protectionのサイトにて。) また、FDAは品質が保障出来ないという面で、利点項目に挙げた事項も勧めていない。 2、時に、prescription(プリスクリプション:処方箋)無しでも購入出来る。 そもそもこれは違法行為であるし、Side effect(サイド エフェクト:副作用)などの情報を医者から教えられる事もなく買うのは、時として危険をはらむ事もあるので気をつけたい。 3、市場に出回っている偽造の薬を購入してしまう恐れがある。 4、アメリカ合衆国で違法、または危険とされている薬を手に入れる事が可能。 アメリカ合衆国国内に入国する際には、必ず国境地点で荷物を調べられるし、入国者は必ず購入した物を申告しなければいけない義務があるが、時に違法薬がすり抜けてアメリカ合衆国に入っていく場合もあるのだとか、、、。 大人だけでなく、ティーネイジャーでさえも、簡単に違法薬を手に入れる事が可能な点は大きく取り沙汰されている。 、、、、などだろうか。 そして、薬を購入する際に気をつけたい事は、 1、メキシコの薬局で購入した方が断然安いという観念にとらわれて、何でもかんでもメキシコの薬局で購入するのではなく、予め国内の薬局での相場をリサーチをしてみる。(drugstore.com、cvs.com、walgreen.comなどの薬局のHPでも、リサーチは可能。 ) 2、薬の情報を良く知る事。また、一人よがりに判断するのではなく、医者や薬剤師にも情報を教えてもらう事。 医師の指導の下で、薬をとった方がより安全である。 3、prescribed drugs(プリスクライブド ドラッグ:処方薬) は50回使用分の購入・アメリカ合衆国内への持込みが認められており、また、個人で使用する薬は購入出来るが、その他の用途の為に購入してはいけない事(2004年現在)になっているので十分に気をつける事。 色々と細かい制限もあるし、法律も頻繁に変わる事もあるので、メキシコに入国する前にU.S.Customs(米税関)のステーションに立ち寄り、情報を得た方が無難だろう。 4、薬を買ったら必ずレシートをもらい、大事に持っておく。 購入した場所を証明出来るし、これは薬だけではなく、何を買っても実行したいものだ。 、、、である。 今回は薬について書いたが、いつか歯科、眼科、癌治療などについても書いてみたいと思う。 追記: 詳しくは、www.cbp.gov 若しくは www.fda.gov にて情報を得る事が出来ます。 参考資料: *The New York Times "Low Prices for Prescription Drugs Lure Americans to Mexico" By TIM WEINER August 14, 2001 参考HP: *The people’s guide to Mexico “Buying Prescription Medicines in Mexico” by David "El Codo" Eidell http://www.peoplesguide.com/1pages/chapts/health/buymed/1med-index.html お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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