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カテゴリ:アメリカで学んだこと、知ったこと
犬を飼っているということもあり、広い庭付きの一軒家を借りているのだが、芝刈りをする度に『広い庭付きはよしておけば良かったかな~。』と後悔の念が湧いてくることもある。
業者による庭の手入れ付きで貸してくれるところもあるが、大抵、一軒家となるとそうもいかないらしく、私が今住んでいる家もTenant(テナント:借家人)が芝刈り、水遣り、雑草抜きなどの庭の手入れをすることになっている。 賃貸契約書にも記載されているが、庭の状態も例に漏れず、借りる契約を交わした時点の状態を保たなければいけないことになっているのだ。 何でもでかいアメリカのせいなのか、それとも、何でも特大サイズと言われているテキサス州のせいなのかは分からないが、今借りている家の庭はただっ広くて、家の敷地よりも大きく、私の近所の家々もそんな感じだ。 (ちなみに、今借りている家の庭は、家の正面、横、裏の庭を合わせて約2,800SQ FT.余り(約2,800スクエアフィート=約260平方メートル)もある。) 郊外に住んでいるから広いというのもあるだろうが、とにかく、芝刈り作業にとりかかる時には幾分気合が必要になるほどの大きさである。 使用しているのは、ガソリンエンジンつきの芝刈り機とはいえ手押し式なので、私の体力では、家の裏庭の芝刈り(エッジの手入れ込み)だけで1時間余りかかってしまうのだが、特に春・夏は芝生の草が伸びるペースが速くなることもあり、暫く放っておくだけでも庭がジャングル化してしまうので、毎週または隔週のペースで芝刈りをこなさないといけないのが痛いところだ。 特に、庭を綺麗にするのは良き隣人としてのマナーの一つとして見なされ、芝生がステイタスシンボルのアメリカでは尚更のことで、これが更にコミュニティータウン(*)内にある住宅に住んでいるとなると、特に家の正面の庭などの外からも目につく芝生などは、それぞれのコミュニティーで定まった規則、または、homeowners' associations(ホームオーナーズアソシエーション:住居所有者による住宅管理組合で、HOAと俗に呼ばれる。)が管理する規則に従って綺麗な状態に保たないといけないことになっていることも多い。 万が一、「芝が手入れされていない家」にしてしまうと、コミュニティーそのものの質だけでなく、コミュニティー全体の不動産価値が下がるとの批判を近所から受けることもあるくらいだから、芝刈り作業もあなどれないのである。 こういった面からもアメリカでは、家の前の庭は私的なものではなく、むしろ公的なものという見方をする傾向が強いと言えるであろう。 そういったところは、何だか「個人主義の国・アメリカ」らしくないのだが、綺麗な景観を保とうとか、あるいは、町並みの一部としてきちんとまとまろうなどという意識は、私もアメリカに住んでから持ち始めたような気がする。 ~景観を保つために洗濯物の外干しは禁止!?~ 景観を保つと言えば、アメリカに来たばかりの当初は、洗濯物を外干し出来ない場所もあるということに驚いてしまった。 なんでも、洗濯物が外に干されている光景は景観を損なうと見なされているらしく、コミュニティーやhomeowners' association(ホームオーナーズアソシエーション)が定めた規則などによって、洗濯物を外で干すことが禁止されていることがある。 私が住むコミュニティーはまだ新しいせいか、洗濯物に関しては今のところこれといった規制もないのだが、近所の人たちに尋ねると、洗濯物を外に干すと貧乏臭いし、low-income class(低所得者層)のコミュニティーに見えかねないので自分も外干しはしないし、周囲の人にもやって欲しくないという声も聞かれた。 そういえばアメリカでは、衣類乾燥機の普及率が高いということもあって、乾燥機で洗濯物を乾かすという方法があるので、外干しの必要性は余りないのである。 また、地下室がある家庭では地下室で洗濯物を干したりといった具合で、特にミドルクラス(中流階級)以上のコミュニティーとなると、外干しをしている家庭はそう多くはない。 外干しがlow-income class(低所得者層)のコミュニティーに見えると言った人の考えも、恐らく「不動産価値が下がる」という考えに通じるものであろうと思うと同時に、アメリカでは、コミュニティーが一体となってみんなで景観を守ることが、自分が保持する資産の価値を守ることの手段になっているのだと気づかされるのである。 また、実際にコミュニティーやhomeowners' association(ホームオーナーズアソシエーション)が定めた規則の中でも、「不動産価値を保つため」と理由をはっきりと掲げて、外干しを禁止しているところもあるようだ。 洗濯物の外干しに関しての規則について調べてみたのだが、規則にも色々あって興味深いので、以下にいくつか挙げたいと思う。 ・物干し用ロープを外に張るのは一切禁止。(No outside clotheslines.) ・物干し用ロープを使って洗濯物を干すことはもちろん、玄関先やバルコニーの手すりなどに洗濯物をかけて干すことも禁止する。 ・パラソル型洗濯物干しや、取り外しが可能な物干しロープなどは、コミュニティー責任者の許可があれば使用しても良い。但し、洗濯物が乾き次第、物干し道具と共に洗濯物をすぐに取り入れること。フェンスや手すりなどに洗濯物を掛けて干すことも禁止する。 ・洗濯物を外に干す際には、裏庭のフェンス内に干すようにし、干した洗濯物が隣人の家や道路から見えないように注意すること。 ・ガレージドアが開いた状態で、ガレージ内に洗濯物を干してはならない。 ・物干しロープをフェンスに掛けて使用してはならない。 ・物干しロープ、または衛星放送用受信アンテナやテレビの屋外アンテナを設置することを禁止する。 などと様々である。 近年は、地球温暖化を懸念し、Project Laundry List, Inc. (http://laundrylist.org/index2.htm)などの団体が"the right to dry(外干しする権利)"を守るための運動を展開していることもあり、将来的に外干しが増える可能性もあるかもしれないが、今のところはまだ洗濯物の外干しを禁止しているところも少なくないといった状況だ。 *コミュニティータウン・・・分譲住宅地のようなものだが、街区ごとに規則があり、住宅地の維持・管理に関しても住民の共同意識がより高い。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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