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田中およよNo2の「なんだかなー」日記

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2009年11月22日
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テーマ:ニュース(100162)
カテゴリ:超硬派
何日たったのだろうか。
フェリー乗り場で市橋容疑者が拘束されてから。
どのように逃亡していたのか、彼の口からは何も
話されていない。
拘束されてからは、まだ、20日もたっていない。

彼が逃げていた2年の月日にくらべれば短いものだ。


まず、断っておくけど、僕は市橋容疑者が無罪だとか、罪を
償う必要はないなんて思っていない。
適正な取調べを受け、贖罪と悔恨の思いを持ち、適正なる
法の裁きを受けるべきであると、思う。

さらに、僕らが市橋容疑者について知っている情報は
マスコミを通じてのものだから、直接確認したわけではない。


でも、僕は考えてしまう。
なぜ、市橋容疑者は2年も逃げる事ができたのだろうと。
もしかすると、楽しかったのではないか。
いや、心のどこかで彼は逃亡を求めていたのではないかと。

逮捕前の彼の人生を見ると、決して、上手く行ったとは
言えない。
医学の道は閉ざされ、なんとなく、大学で園芸を学んでいる。
その間も逮捕をされたり、問題を起こしている。
でも、結局、衣食住に関しては、両親に助けられている。
つまりは、20代の後半になっても、親の仕送りで立派な
マンションに住んでいる。
浴槽をベランダに置けるくらいの広いマンションだ。

いや、親のお金でマンションに住む事が悪いことだと
言っているわけではない。
世の中にはそういう、金銭に恵まれているからこそ、
金銭にルーズになる人もいるのだ。
今の総理大臣だって自分の事をそういっているじゃないか。

まあ、総理大臣の話は、ここではどうでもいい。

問題なのは、市橋容疑者自身がそこで何を
感じていたかということだ。

自分では何も決められず、誰かに助けられてしまう
無力感があったんじゃないだろうか。
同時に、誰かの助けを求めても大丈夫だという安心感も。
その無力感を打ち破りたいという気持ちと、安心感から
抜けたくないという気持ちが彼の日常でせめぎあっていたん
じゃないだろうか。

せめぎあいは、結構つかれる。
そんな、くだらないせめぎあい疲れきってしまった時には、
どこかで別の自分に生まれ変わることを希求していたように思う。
こんなくだらない悩みを持たない、力強い自分に
生まれ変われたらな、と。


そして、事件が起こる。
彼は逃げる。


報道によると、彼は逮捕の1年前には大阪の西成区で見つけた
職場で肉体労働に従事していたようだ。
その寮の部屋は、ベッドがあるだけの板張りだった。
廊下には豆電球がよく似合うような建物だ。

きっと、そこでの市橋容疑者は、間違いなく自分で職場を選び
働いていた。
逃亡中の彼は、自分の知恵と肉体だけで生きていたはずだ。
逃亡の方法を自分で考え、そのためにありつける職業に
しがみつき、次の場所を考える。
不必要に困難なミッションだ。
しかも、誰にもあてにできない仕事だ。
おそらく、そこで市橋容疑者は自分の力でも生きていける事を
学んでいたのではないだろうか。

そういえば、市橋容疑者の両親は言っていた。
「てっきり、死んでいると思っていた。
あの子はそんなに強い子じゃないから」

でも、実際の市橋容疑者はとても強い人間だった。
困難の中を逃げるということでは。
いや、強いに人間に変わったのかもしれない。
容姿も含めて。

少なくとも、逃亡中の市橋容疑者は、両親から弱い人間と
認識されたゆえに、経済的な強い援助を受け取っていた
外見ばかり気にする人間じゃない。
ひたすら、明日もつかまらないように逃げる狡猾な
人間だ。

報道の通り、両親からの援助を受けていなかったのならば、
の話だけれども。

誤解を招くけど、市橋容疑者は逃亡中に両親や、あるいは
自分でも判らなかった力を感じていたのじゃないだろうか。
その変化を楽しんでいたように思う。
そうじゃないと、2年間もつらい逃亡生活を続ける事なんて
できないんじゃないだろうか。

ただ、彼の人生にとって不幸な事は、その自分の力への
目覚めが事件という形をとってしまった事だ。

そんな事件が起きる前に、自分で周囲の期待や思い込みを
蹴飛ばすことはできなかったのだろうか。
また、逆にいうと、周囲の誰かが、市橋容疑者にも強さが
あることを信じて、蹴りだす事ができなかったのだろうか。
温もりから、蹴りだしていれば、彼は新しい自分を
自然に見つけられたかもしれないのに。

最後に僕は自分に問いかける。
僕は今でも、温もりに囲まれすぎているのではないか、と。
彼と、僕らの差はどこにあるのだろうと。

その問いには答えはでない。
きっと、市橋容疑者に聞いたって、答えはでないだろう。


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最終更新日  2009年11月23日 06時12分06秒
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