「独断流「読書」必勝法」 清水義範
独断流「読書」必勝法私はプロの書いた読書感想文、アンソロジー、読書ナビを読むのが大好き。この本も、偶然図書館で見つけて、すぐに読みました。目次を見ると、19の小説の題名が目次になっていて、前半は誰でも読んだことのありそうな本が並んでいます。「坊ちゃん」「ロビンソン・クルーソー」「伊豆の踊り子」「ガリヴァー旅行記」・・・どれも目からうろこがぽろぽろ落ちるくらい、新鮮で意外な発見だらけ。「ロビンソン・クルーソー」は、ビジネスに才能のある男が、一人で資本主義経済をやっている、経済小説である。「ガリヴァー旅行記」は、「ロビンソン・クルーソー」に腹を立てたスウィフトが、挑戦状のように書いたものである。「伊豆の踊り子」は、むずかしいところは一つもないのに、不思議な情感ばかりが残る、なぞめいた短編小説である。(同感!同感!!)「細雪」は、豊かでぜいたくな王朝文学の一種とも言えるが、典雅な文章で語られる下品な物語である。どうですか?ちょっとびっくりしちゃうでしょう??!!びっくりしながらも、なーるほどと納得してしまう点も多くて、ほんとうにおもしろく読みました。後半にいくにつれて、「谷間の百合」だの「ボヴァリー夫人」だの「若い芸術家の肖像」といった、私にとってはあまりなじみのない小説が増えてきて、こちらは実際に読んでいないと、理解しにくいように思いました。少なくとも、この本を読んで、この本をきっと読もうと思うことはなかったです。すでに読んだ人にとっては、おもしろいのかもしれませんね。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ところで、実は、半年以上も前に書いたある小説の感想文に、最近書き込みを下さった方がありました。私はその小説をあまりおもしろくないと感じたので、どこがどういうふうに面白くないかを自分の感じたままに書きました。(感想文とはそういうものですが)ところが、最近書き込みを下さった方は、その本を読んで10回以上も泣いてしまったほど感動されたそうです。ドラマ化までされた小説ですから、そういう人があっても、不思議はありません。逆に、私が絶賛しても、つまらなかったと思う人がいても、あたりまえのことです。ただ、その人はそうは思わなかったみたいで、その書き込みは痛烈な皮肉と悪意に満ちたものでした。その人はきっと、自分の好きな小説を私にけなされて、頭に来たのでしょう。その気持ちはわからないでもありませんが、こんな書き込みをされると、私自身もいい気持ちではありません。というか、非常に不快です。個人的なブログで、個人的な読書日記を書いて、それをささやかな楽しみとしている私ですが、こういう場所にも、好き嫌いをはっきり言えない風潮があるとしたら、とても悲しいと思いました。読書日記をつけておられる方はたくさんいらっしゃいますが、皆さんこんな経験がおありなんでしょうか。たとえば、「細雪」のことを下品だと独断した清水義範さんに対して、谷崎ファンの方はどう思われただろうか。これがブログなら、皮肉な書き込みで反論したんだろうか・・・などと、それなりに傷ついて、ぱぐらは考えています。