「空想科学日本昔話読本」 柳田理科雄
「空想科学読本」といえば、何年か前のベストセラーですね。ウルトラマンや仮面ライダーや、あるいはアンパンマンたち、超能力を持つ正義のヒーローとその能力を、現代科学で実証再現した、まじめでユーモラスな本です。男の子にはきっとウケたことでしょうね。うちの息子も、当時小学生だったと思うけど、ドラえもんのページを、穴が開くほど読んでいましたっけ。私もちょっと手にとっては見たけれど、あまり興味がわかなくて、読みませんでした。私にとって正義のヒーローの超能力は、特に解明されなくてもいいんです。強くて優しいのなら、科学的に実証されなくてもじゅうぶんに魅力的。そう。女性には、分からないおもしろさなのかもしれません。今までに何冊も続編が出ているそうですが、今日ご紹介する「空想科学日本昔話読本」は、とてもおもしろかった。何度も一人ワハハと笑ってしまった本でした。ウルトラマンの超能力に興味のない私でも、かぐや姫、かちかち山など、16の懐かしい昔話を、科学的に解明する無意味さと、軽い文章のおもしろさ。疲れた頭を、適度にマッサージしてもらった気分です。たとえば、こういうの、皆さんも興味が湧いてきませんか?身長9,4cmの少年対2mの鬼。勝負を左右したのは、一寸法師の意外な体力と鬼の作戦ミスであった。浦島太郎を歓待したあげく、友達もいない未来に送り込み、その母を孤独死させ、生活を立て直すのも難しい老人にした乙姫様の、謎多き行動に迫る。うさぎはタヌキに殺されたおばあさんとは赤の他人。なのに背負った薪に火を放ち、泥舟に乗せてタヌキを葬る。なぜそこまで?!おじいさんが雀の怪我を治してやれば、おばあさんはその舌を切る。こんな夫婦でも長年連れ添ってこられた理由とは?ちゃんとした本を読みたくないくらい疲れたときに、ベッドの中で軽く読んで、まぶたがトロンでおやすみなさい。そんなときにちょうどいい本ですよ。空想科学日本昔話読本