【若いころはパリピ】自叙伝 ジャン=リュック・ピカード
自叙伝 ジャン=リュック・ピカード 「抵抗は無意味だ」(387ページ)著者・編者デイヴィッド・A・グッドマン=著出版情報竹書房出版年月2018年10月発行『新スタートレック』(アメリカでのテレビ放映は1987年9月~1994年5月)で、ギャラクシー級宇宙艦〈U.S.S.エンタープライズ NCC-1701-D〉で活躍したジャン=リュック・ピカード艦長の自叙伝という形で、新スタートレック世界を振り返る。テレビ版エピソードでは、理想の指揮官であるピカードだが、若い頃はパリピだった。子ども嫌いの背後には父や兄との確執があったり、ボーグと同化したときの心情など、ピカードの内面が描かれている点は興味深い。また、超越者としてのQやガイナンの役回りも楽しい。「宇宙大作戦」からシリーズを観ているシニアなトレッキーにお勧めだ。ジャン=リュック・ピカードは、フランスにあるワイン農家の次男として生まれた。その先祖は9世紀にまで遡ることができる。最新技術を敬遠するピカード家だったが、ジャン=リュックは、太陽系を出た先祖がいないことに気づき、宇宙艦隊アカデミーへの進学を志す。父と兄はワイン造りに精力を傾けジャン=リュックを無視したが、母は9歳の誕生日にスミソニアン博物館に連れて行き、ゼフラム・コクレーンの超光速宇宙船〈フェニックス〉や最初の深宇宙探査船〈エンタープライズ〉を見ることができた。2回目のアカデミー入学試験をパスしたジャン=リュックは、父に別れも告げずに家を出た。マラソン大会で優勝し自信をつけた彼は、ハンソン艦長の目に止まる。4年間の教育課程を修了し、惑星連邦大統領ウフーラが祝辞を述べる中、少尉として任官した。だが、ノーシカ人とのいざこざで大怪我を負い、ハンソン艦長が指揮を執る〈U.S.S.ニューオリンズ〉に乗艦することがかなわず、〈U.S.S.リライアント〉の下級科学士官の任務に就く。考古学調査のためにミリカ3号星を訪れた〈U.S.S.リライアント〉は、ジャン=リュックの機転で過激派に囚われていた大使を救出。彼は大尉に昇進した。第74基地で転属先の〈U.S.S.スターゲイザー〉の到着を待っていたジャン=リュックにマッコイ提督から声がかかり、儀仗兵として、スポック大使の結婚式に参列した。〈U.S.S.スターゲイザー〉では、恒星に落下しそうなところを持ち前の機転で切り抜け、大佐に昇進。28歳にしてスターゲイザーの艦長の座を手に入れた。操舵士官としてジャック・クラッシャー少尉が着任する。保安主任はチェバ、船医はドクター・アイラットが乗艦した。80年前、カーク船長が活動停止させた〈惑星の殺し屋〉がロミュラン帝国の領域へ向かって移動していた。ピカードらはこれを止める。カーデシア人のグリン・ホバットと遭遇する。彼らはレプリケーターに関心をもっていた。スターゲイザーは改修のために地球に戻る。ピカードは母親の死に立ち会う。母親の看護をしていたジェニースと恋仲に落ちる。一方、ジャック・クラッシャーは医師を目指すビバリー・ハワードと交際していた。ピカードはハンソン提督の参謀総長としてデスクワークの日々を送るが、ジェニースを捨て、ふたたび〈U.S.S.スターゲイザー〉の艦長として宇宙へ出る。ジャックとビバリーの間にウェスリーが誕生する。一方、ピカードは地球に戻り、亡くなった父親の遺品を受け取る。父もアカデミーに願書を出しており、拒否されたのだった。カーデシア帝国は惑星連邦への襲撃を繰り返していた。ピカードは、レプリケーターの技術をカーデシアに提供することを提案する。チェコフ提督は、「戦争を終わりにできるとすれば」と言ってピカードの提案に賛同する。だが、この作戦でジャック・クラッシャーが殉職してしまう。スターゲイザーはマクシア・ゼータ星系で攻撃を受け、ピカードらは脱出する。スカリー機関部長が殉職する。スターゲイザーを失ったことでピカードは軍法会議にかけられたが、無罪となる。ピカードは、アンドロイドのデータ大尉とともにデノビュラに上陸し、彼らが戦争のない亜空間へ恒星系ごと旅立つことを知る。クイン提督はピカードを惑星連邦旗艦〈U.S.S.エンタープライズ〉の艦長に指名する。彼は50歳になっていた。副長にウィリアム・トーマス・ライカー、主任パイロットにデータ、医療主任にビバリー・クラッシャー、操舵士にジョーディ・ラ=フォージ、保安部員にクリンゴン人のウォーフ、カウンセラーにベタゾイドと地球人のハーフのディアナ・トロイが就いた。ビバリーの子どもウェスリーも乗艦した。だが、子ども嫌いなピカードは、「子どもはブリッジへの立ち入り禁止」という看板を掲げさせた。エンタープライズは処女航海でデネブ星へ向かう途中、高次元生命体のQに遭遇し、全人類の罪を問う裁判にかけられる。(新スタートレック 第1話・2話「未知への飛翔」)ピカードと何度か会っているエル・オーリア人女性ガイナンが、エンタープライズに乗艦し、ラウンジ・バー「10フォワード」のバーテンダーとなる。ガイナンとQはお互いを嫌いあいっていた。また、とても長命で、1891年にタイムスリップしたピカードらと遭遇している。(新スタートレック 第126話・128話「タイム・スリップ・エイリアン」)ボーグはピカードの身体を乗っ取り、ロキュータスとして惑星連邦に「抵抗は無意味だ」と最後通牒を送る。この戦闘により、宇宙艦隊は39隻の船と11,000人の人命を失った。(新スタートレック 第74話・75話「浮遊機械都市ボーグ」ピカードは実家に戻り、兄ロベールと話し込んだ。ピカード家の博物館には、ロベールの肖像画と、太陽系から外に出た初のピカードとしてジャン=リュックが描かれていた。エンタープライズは、惑星ベイジョーの宇宙ステーション〈ディープ・スペース・ナイン〉を訪れた。その前身は、ピカードがかつて、エクセルシオールで訪れたカーデシアのテロック・ノール宇宙ステーションだった。ピカードはカーデシア人に出会うことを恐れた。(スタートレック:ディープ・スペース・ナイン 第1話・2話「聖なる神殿の謎」)ヴェリディアン3号星で、ピカードは80年前に死んだはずのジェイムズ・T・カークに出会い、ともにソラン博士を倒す。だが、〈U.S.S.エンタープライズ〉は破壊されてしまう。(映画「スタートレック ジェネレーションズ」)ボーグ集合体が再び太陽系へ侵攻してきた。ボーグは過去へタイムトラベルを行った。ピカードらは〈U.S.S.エンタープライズE〉に乗って歴史を元に戻すため、2063年、ゼフラム・コクレーンが人類初のワープ飛行を行う前日にタイムトラベルを敢行する。ロミュラン帝国の政務長官シンゾンとの戦いでデータは死んだ(映画「ネメシス/S.T.X」)。データのプロトタイプB-4とピカードが話しているところへQが現れ、指を鳴らすと、データが戻った。ピカードはエンタープライズを降り、ビバリーと結婚する。結婚式にはQも現れた。サレック、スポックと精神融合した経験を活かし、ピカードは惑星連邦大使としてバルカンに赴任する。ホーバス星が超新星となり、スポックはそれを止めるためにロミュラスへ向かうが間に合わず、行方不明になった。ロミュランの母星も破壊されてしまう。だが、スポックと精神融合した経験があるピカードは、彼が死んでいないことを確信していた。ピカードは実家に戻り、ワイン造りに精を出していた。彼は90歳になっていた。