谷川岳で迷う
猿ヶ京の旅館は親切で、谷川岳を散歩すると言ったら、ガイドブックの谷川岳ハイキングの部分をコピーして渡してくれた。それを良く読んでおけば、多分迷わなかったと思うのだが・・・ 天気は曇りで、旅館の人の言うとおり、山越えの道を通るとすぐ水上で、谷川岳までは3,40分で着いた。「谷川岳山岳資料館」というところは、本格的な登山をする人の装備や本の展示をしていた。昭和35年の「谷川岳宙づり遺体収容」のビデオをエンドレスで流しているらしかった。安易に谷川岳に入らないように、こういう映像を流しているんだろうなあ。ここで、ハイキングの地図をもらう。 ちょっと歩くと直ぐに「谷川岳登山指導センター」というのがあった。確かここで登山計画を提出し、許可が下りないと山に入れないはず。谷川岳と聞くと「遭難」の文字が連想されるほど群馬にいたころは、毎年遭難のニュースを聞いていたなあと思い出した。でも、われわれが歩くコースは、一の倉沢までは車で入れるコース。まだ通行止めにはなっていなくて、車やバイクが歩くわれわれを追い越していって、興ざめだった。 マチガ沢に着く前に撮った写真がこれ。 わ~、きれい!というのりで取った。 そのまま歩き続けて、「一の倉沢出合」という所に着いた。ここからの眺めは絶景。真ん中の白いのは氷河だと思われる。違うかな?霧がひどくて、一の倉沢のてっぺんまではなかなか見えなかったが、一瞬見えたそれはそそり立つ岸壁で、手前に曲がっているように見えて、威圧感があった。 一の倉沢は右側にあるので、この写真では頂上は見えない。 ここで沢遊びをしている人たちがけっこういた。われわれは一回りしようと思っていたので、ここでは小休止しただけで、車両通行止めの柵を越えて歩いていく。「幽の沢」という所に来ると、岸壁のいたるところに金属のプレートが打ち付けてある。文面は「○○君何年何月何日××岸壁にて遭難、ここに眠る。嗚呼!」などの遭難者の追悼プレート。十代後半から二十代前半の若者が多く、なんでこんなとこ登りたがったんだろうねと言い合う。 ほとんど坂もなく、平坦な道が続く。ただ途中で雨が降ってきて傘を差しながらのハイキング。足許もときどきかなりのぬかるみで、歩くのに苦労する。でも、京都と違い、周りの木々の背が高く、圧迫感がない。谷が深いので、しばしば視界が開けて向こう側が見える。向こう側は高い山で景色が良い。わたしは歩いていて、とても気持ちよかった。やっぱり山ってこうじゃなくちゃ! ただひたすら歩いていくと、沢で道が途切れているところに来る。降りるにはロープを伝わらないとダメ。登るのも金の棒につかまる必要がある。弟が一人そこを渡り、ちょっと先の案内板を見に行く。「蓬峠」という所に向かっている道らしく、「土合」を目指すわれわれの行く先ではない。どうも道を間違えたらしいと判断して戻ることにする。ただ、道は一本しかなく、迷いようも無かった気がして、ちょっと不思議。 とにかく戻る。一の倉沢出合まで戻り、そこで大休止。昨日叔母ちゃんにもらったお赤飯を食べる。まさどんとかなぶんは、川で足を冷やして喜んでいた。 川の水はきれいで、冷たくて、手を洗うだけでも気持ちよかった。後は来た道を戻った。安心感はあったが、詰まらなかった。でも、もう疲れていて、足が痛かった。 ロープウェー駅でコーヒーブレイク。ここの売店で売っていた「くるみゆべし」を試食したら、おいしかった。多分宝川温泉の宿に売っているだろうと思い、買わなかった。 妹のダンナは明日仕事なので、妹夫婦とここで別れ、弟と女3人は宝川温泉に向かう。藤原ダムの向こうで、温泉はかなり遠かった。 それでも4時半くらいには着いて、いろいろある浴衣の好きなのを選んだ後、部屋へ案内される。露天風呂には洗い場はないそうで、先ず温泉内の大浴場に行き、身体を洗ってから100畳とか200畳とかの露天風呂に行くことにする。 女性専用の露天風呂はあるが、男性専用はなし。残りの3つは混浴の露天風呂。女性はバスタオルを巻いて入って良いことになっている。でも、取りあえずは3人で女性用の露天風呂に行ってみる。 虻がたくさんいて、脱衣所にも入り込んでいる。都会っこのまさどんとかなぶんは虻大嫌い。騒ぐので、おいてあった蠅取りで叩いて殺す。露天風呂のお湯の中にも虻が沈んでいたそうな。100畳の露天風呂は確かに広かった。人もほとんどいなかったが、虻が嫌な二人は早々に出たがった。わたしも長風呂ではないので、すぐ出る。 脱衣所の外のトイレに入ったが、紙がちらかっていて、周りがびしょびしょできれいではなかった。 夕飯は宴会場で出された。30分以上前に茹でたそうめんとか、大量に焼いて保存してあった脂ぎった鮎の塩焼きとかで、料理はあまりおいしくなかった。隣のテーブルの年配の男性は料理にほとんど手を付けず、早々にご飯とお汁を頼み、それもほとんど食べずに奥さんを残して部屋に帰ってしまった。部屋代が高くても料理は一緒のようで、口が奢っている人には耐えられない料理かも。 弟が旅館の人を捕まえて、子どもたちがズボンの裾を汚したので、洗濯してもらえるかどうか尋ねると、フロントで聞いてくれとの事だった。フロントで聞くと、洗濯してくれるというので、二人に持っていかせた。そしたら結局素人がやるので、自分たちでやったほうがいいじゃないかとか言われて、タオルを渡されて帰ってきた。それならそうと最初から言って、タオルを渡せば済むことで、なんのためにわざわざジーパンを持っていったのか分からない。子どもだけで行ったから、馬鹿にされたのだろうと弟は言っていた。このホテル、一見サービス良さそうで、実はたいしたことないというホテルの典型かも。一軒宿で競争相手はいないので、こうなるのかもね。宝川温泉旺泉閣、もう行かない。猿ヶ京の 生寿苑は良かった。 われわれが食事を終えてくつろいでいると、雨が降り出した。それももの凄い雨。これが谷川岳じゃなくてよかったねと言い合った。酒井法子逮捕のニュースしかないテレビを見ていると、この辺でどうやら地震もあったらしい。わからなかったけど。大雨洪水警報も出ているらしい。 明日無事に帰れるのかと多少心配しつつ、軽く酒盛りをして、早めに寝る。