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パンダの奥さん日記

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2008年04月11日
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カテゴリ:しんみり
月に見守られて、大通りの○○薬局にひた走った木曜の夜。

人の気配が消えたところで、

鍋の中の得体の知れないものを、市指定のゴミ袋に入れ、

適当に、しかし、パンダ母の足の快復を真剣に祈りながら、

包丁を投げた。

幸い、一度目で、刃が向こうを向いて落っこちてくれたので、

ほっとして、ダッシュで家に帰った。




そして、




翌日。

つまり金曜日の朝、恐る恐る、パンダ母に


「あの・・・お義母さん・・・

 わたし、今日パン教室行かないほうがいいでしょうか?」



と聞いてみた。

パンダ母は、ちょっと渋い顔をしたけれど、


「行かなくちゃいけないでしょ?行っといでよ。」


と言ってくれたので、お言葉に甘えて、パン教室に行った。

パンをこね、お菓子を焼き、昼を回ったので、焼けたパンを食べていたら、携帯携帯電話


「あぁ・・・オンマだけど・・・入院したから。。。」


えええええっ?!!!

そ、そんな。。。

昨日の、わたしのやり方がまずかったの?

ゴミ袋じゃなくて、やっぱり撒かなくちゃいけなかったの?

祈り方が足りなかったの?

それとも、うっかり呪ってしまったの?





大急ぎで家に帰り、歩いて数分の成形外科の病院に行くと、

6人部屋のにぎやかな病室に、パンダ母がしょぼんと寝ている。


「お義母さん~~~」


と部屋に入ると、パンダ母は、次から次からおつかいを頼み始めた。

パンダ父のお世話。

これは何とかなる。

変てこ売り場に通ってるおばさんに、

その日の目玉商品をもらってきてもらいたい。

これも、何とかしよう。

問題は、パンダ母が毎日集金に出かけている、契(ケ)だ。

契については、いまだによくわからないけど、ここに載ってる通り。


「今日のとこは、とりあえず、

 ○○と□□と▲▲と@@に集金に行ってきて。

 ○○のおかみさんには、あたしからちゃんと話してあるから。」



夕方とぼとぼと重い足取りで、商店街をゆく奥さん足跡足跡足跡

まず、ブティック○○に行くと、気の好さそうなアジュンマが出てきて、

契のお金を出し、


「ここにハンコ押してね。」


わたしがその手帳にハンコを押し、店を出ようとすると、


「お向かいが□□だからね。」


と、次の集金先を指差した。ありがとうさんです・・・

向かいもおばさんブティックだった。そこの店主も愛想のいいアジュンマで、

わたしがパンダ母の代理で集金しているのだと知ると、


「あらら~、お嫁さんが大変だねえ~。。。」


と、同情してくれた。

お商売してる人というのは、みんな朗らかでいい人そうだな~と思いながら、

3軒目の▲▲の店の扉を押した。

▲▲も衣料雑貨のお店だけど、3軒の中では一番おばさんっぽいお店かな?


「いらっしゃいませ~~~~♪」


と、お店のアジュンマがにこやかに迎えてくれた、と思ったら、


「あの~・・・義母の代理で集金に来ました。。」


わたしが口を開くや、アジュンマから笑みが消え去った。


「明日にしてくれない?今、○○さんがいないから。」


知らんがな、○○さんがどうとかこうとか・・・

一瞬、パンダ母の顔が脳裏に浮かんだが、仕方がない、


「はい。じゃ、さようなら~。」


と、とっとと帰ってきてしまった。

あ、いけない。もう1軒あるんだったよ。

▲▲の角を曲がって、@@食堂へ。


ぎぃ~~~~


「いらっしゃいませ~♪」


すいません、客じゃなくて。


「あの~・・・義母の代わりに契の集金に来ました~。」


厨房からカウンターに身を乗り出したおばさんが、


「ええっ?何だって~??!」


もう一度道々何度も暗唱した台詞に間違いはない・・・はず・・・


「お母さんの代わりに契の集金に来ま・・・」


大和なでしこのわたしが、細い声でもう一度繰り返したものの、

全てを言い終わらないうちに、おかみさんが


「あ~~~っ、うちはそういうのいいから!よそでやっておくれっ!!」


へっ?!


よそでやっておくれ、って、よそってどこ?

え?店間違った??


すごすごと店を出ようと、ドアを押す前に、ふと、振り返り


「なんだい?まだ、なんか?」


「あの~・・・契のお金なんですけど~。。。」


ともう一度だけつぶやいてみた。

すると、おかみさん、目をまん丸くして、


「あっら~~~!!!ごめん、ごめん!!!

 あら、やだ、集金?お義母さんどうしたの?

 ごめんね~。てっきり、変な外人が来たのかと思って~~!!」



変な外人が来ることあるの、この店??

アナタノタメニ、オ祈リサセテクダサ~イとか?

国ニ帰ルオ金ガ足リマセン、困ッテマスヨ、ワタシ~・・・とか?


「あ~あ~!そういえば、お義母さんのお祝いの席で会ったわよね~!」


あ・・・ああ、あの、あの、忘れてくれたほうが幸せってな1日のことね・・・


「あ、ああ、はぁ。あはははは~。」


笑ってごまかしていると、ようやく、おかみさんが、滞っていたお金を出してきてくれた。


「お義母さん、相当悪いの?」


「あ、ええ、今日から入院しちゃって・・・」


「え~?そりゃ大変だね~。

 あはは、いやだ、あたしったら、変な外人かと思って、ごめんね~。」



と、またおかみさんの話が巻き戻ってしまい、長くなりそうだったので、


「あ~、いえ、じゃ、さようなら~」


と、そそくさと店を後にした。

こんなのが毎日続くのか~と思うと、気分が沈んできた。

わたしは、環境の変化というのにめっぽう弱いのだよ。

市場を通りかかったら、春の花たちがいっぱい並んでる。

小さなバラの鉢を買った。

初仕事のごほうび。

早速屋上に植え替えたよ。

今年は、パンダ母がそんな感じで具合良くないから、

いつもの年なら、屋上いっぱいに植えるトンガラシが、まだ1本もない。

いつもは、場所を奪い合うように、トンガラシに混ざって、

わたしがハーブや花の苗を植えてるんだけど。






やっぱり、家族揃って健康が一番だよね。




参りました。








































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最終更新日  2008年04月16日 09時22分39秒
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