パンダの奥さん日記

ここのところ、ずっと忙しくしていた。

お盆に日本からマケコちゃんが遊びに来ていて、

久しぶりにごろごろゆっくりおしゃべりできて、

その日はソウルに一泊して、十分旅人気分を満喫し、


さ、明日からまたバイト！


と、やる気も湧いた。

が、

その週末、親切キムさんから


「夏休みだし、ナミソムまで行ってみませんか？」


と誘われ、パンダ親子だけなら断れそうだったんだけど、

キムさんの可愛い姪っ子さんも来ると聞き、

それじゃあ、と、ご一緒させてもらった。

姪っ子のチェリは子パンダと同い年なのよ。

電車でソウルの端っこまでたどり着き、

そこで、キムさんたちと合流。

スーパーで炭や食料を買い込み、カピョン(果平)の川原でバーベキュー。

奥さんの強引なリクエストで、焼肉なのに、〆はラーメン。

車のトランクに、鍋まで載せてるキムさん。

なんていうのか、わたしよか主婦っぽいよ。

子供たちはパンツ一丁で水浴び。

おととし里帰りしたときに、実家の兄嫁さんのお母さんが下さった

子パンダのサンダルも、もう今年が最後かな。


　　　　

　　　　　　　　　　　　　　　　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　


ススキの穂も揺れて、おみなえしの花も咲いてて、

秋の気配が漂っている。

こういう時期は苦手なのよね。

都会からお盆で遊びに来ていた従兄弟たちが、帰ってしまい、

寂しくなったところに、蝉の勢いもなくなってきて、

残ってるのは夏休みの宿題とか新学期の準備とかで・・・

学生じゃなくなって、そんでもって、今じゃ、毎日が日曜日の主婦だけど、

夏休みが終わってくのって、なんか寂しいわ～。


その後、初めてナミソムに行って来た。

冬ソナの撮影地として一気に有名になったみたいだけど、

そのせいなのかな、なんだか島に似合わないへんてこな建物や施設もあって、

ただの、素朴な島のほうがいいのに、

ちょっともったいないと思った。

でも、素敵は素敵、な島だったよ。

ものすごい人だったし、冬の誰もいないときにまた行ってみたいわ。


さ、バイト、バイト！！


と思っていたら、次の週は、また同じく独身コンビの

ウォーリーとウドンさん・・・


「月岳山(ウォラクサン)に行こうよ～。

　俺たちまだ夏休み取ってなかったんだよ～。」


ああ・・・みなさん・・・なぜ彼女を誘わないで、

パンダ親子とたわむれたがるの？

奥さんバイトが全く進まないのよ・・・


と、わたしゃちょっと乗り気じゃなかったんだけど、

パン仲間のヨンイさんに


「月岳山って知ってる？」


って聞くと


「え～？行くの～？あそこの渓谷の水は最高だよ～！！！」


とうらやましそうにされたので、じゃ、行こうかな♪

とその気になった偏屈な奥さん

後で知ったのだけど、国立公園なんだね。

重なる山並みも、大きな湖もきれいだった。

渓谷の流れも、本当に気持ちよかったわ。

何がいいって、わたしがずっと付いてなくても、

パンダと２人のおじさんが、子パンダの面倒を見てくれてること。

あ、その間にわたしゃ夕飯の支度よ。

ペンションのおじさんも親切だった。

前にムジュに行ったことがあるけれど、ムジュほど混んでないし、

家から２時間くらいで行けるので、わたしはすっかり気に入った。

はんらさんちからなら、ひょいっと１時間くらいで行けるんじゃないかしら？


パンダ夫婦は、アイスボックスに食料やら調味料やら詰め込んで、

パンダが


「奥さん、夜はバーベキューで、朝はカレーにしてね。」


とジャガイモやにんじん、米も持参。


「えっと、ラーメンと。。。味噌汁も作るよね。。。」


あなた一体何食食う気？何泊する気？

パンダが食料調達班なので、ウドンさんは車を出し、

ウォーリーはペンション代をもってくれた。

幼なじみで付き合いが長いと、こういうのは阿吽の呼吸で、

なんかいいよな～。


そうして、高くなってきた空の下、軽快にドライブしていると

ウォーリーが不意に


「来年は、アメリカ行こうよ～。」


と、言い出した。

ウォーリーは何年かアメリカ暮らしの経験があり、ログハウスの家も持っているのだ。



「あっち着いたら、レンタカーで、みんなで交代で運転して、

　ずっと西のほうを回ろうよ。」


いや、もう、西でも東でもどこでもついて行くわ。


「飛行機代と、あと・・・そうだな、

　一人３万円ずつもあれば２週間楽しめるよ。」


２週間～～～～！！！

砂漠も横切るんだって。

いや～ん、砂漠で寝っころがって、満天の星を見てみたいわ。



「ウドン、休み取れる？」


「ああ。」


「奥さん、車の免許持ってる？」


「あ、はい！はい！！」


「じゃ、問題ないね。６月くらいに行こうか。」


ウォーリーもウドンさんも稼ぎまくってるのでお金の心配は要らない。

問題はパンダ親子だ。

時間はあるが、金が無い

しかし、パンダは


「うゎ～アメリカか～～～」


と、既に瞳を輝かせている。

男はいいなあ、お気楽で・・・

でも、こういうお気楽なところがないと、

一生に一度も行けない気もしてくるのだった。



時間はある。

むやみにある、この時間を、

金に換えなくては・・・


奥さん、バイトだ。

がんばれ～


さ、バイト、バイト！！