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テーマ:同居は嫌ですか?(1164)
カテゴリ:作ったもの
パン・菓子の教室に通うのも一段落。
9月からは料理教室に通っている。 というのも、パンダ母はわたしが作った料理は和食も韓国料理もほとんど食べないし、 食べても 「美味しい。」 とは言われないし、せいぜいが 「塩加減ちょうどいい。」 止まりである。 作った煮物が翌朝汁物になっていたり、別物になっていることもある。 食卓に置きっぱなしで、冷蔵庫に入れてなかったため、 朝になったら臭ってたというのもしばしば。 わたしが汁物を作ると、なぜか汁物をまた作るパンダ母。 どうせなら、煮物とか和え物、別の品にしてくれないかしら? と、そこまではいいが、朝起きると、 パンダ母製の汁物の鍋は温まっていて、奥さんの鍋は冷たいまま、 とかいうこともしょっちゅうで。 そういう台所のストレスもたまっていたし、 料理でも習って、もうちょっとなんとかするかと思い立った。 パン教室で仲良くなったミジョンさんと同じ班だし、 他の奥様方も明るくてさくさくしてていい感じだ。 先生も優しそう。きれいな人だ。 まだ数回しか習ってないけど、こないだの薬食(ヤクシク)という甘いおこわは、 パンダ母も美味しいそうに食べていた。 さて、今回のメニューは九折板(クジョルパン)と呼ばれるきれいな重箱に盛られた料理。 『大長今』(テジャングム)にも 出てきてた宮廷料理だということだよ。 クジョルパンにも色々あって、教室で習ったのは、 乾き物の材料で作った、いわゆる酒の肴。 「手間かかるから、ソウルなんかでこんなおつまみ出てきたら 2万円くらいしますよ。」 と、先生。 酒のつまみで2万円かいな・・・ とあきれたが、実際作業を始めてみると、4人揃ってちまちま必死に作業しても なかなかはかどらず、本当に手間だけはかかった。 確かにこれ一人でやったら、2万円くらい請求したくなるかも。 九つの器に一つ一つ埋めていく。 松の実に松の葉を刺す (そのまま食えよ!) ビーフジャーキーをプリーツスカートのように刻む(そのまま食えよ!) 干し柿を花びらのようにひらき、松の実を飾る (そのまま食えよ!) クルミをゆがいた後に油で揚げる (そのまま食えよ!) ソフトさきいかをさらに裂き、海苔でとめる (そのまま食えよ!) 結び昆布を油で揚げる (これは旨い!) 銀杏を炒める (これも旨い!) 生栗をダイヤモンド状にカットする (ゆでてくれ!!) 干したナツメの種を取り、朝鮮人参を芯にして巻く (どうやったって食えん!!) これがオールスターキャスト。 さきいか裂いてた奥様はちょっと発狂しそうになってたね。 わたしの隣の新婚若奥様は、5分に1回くらい 「このまま食べたほうが美味しいと思うんだけど。」 を繰り返していた。奥さん激しく同意。 そこへ美人先生が来られた。きれに盛り付けて下さって、 若奥様が 「んも~食べるのもったいないです~!」 と言うと、あっさり 「そうね。みんなで分けるのもあれだしね。 この重箱、誰が持ってきたの?え?奥? じゃ、奥が持って帰ったら? このおつまみには焼酎はダメよ。 ウィスキーか・・・う~んワインでもいいわ。 旦那さん喜ぶわよ~ あ、それから奥さんは白いレースのエプロンね。もちろん。」 一同静まり返ったが、すぐにミジョンさんが 「そうね、奥さんが重箱持ってきたんだし、このまま持ってけばいいよ。」 隣の若奥様も 「そうしたら~?こんなんもったいなくて食べられないし~。」 え?そう?いいの?でも2万円て言ってたよね?? いいの?いいの? 発狂しかかっていた、さきいかの奥様の視線だけが鋭く突き刺さってきたので、 「え~、ダメだよ~。こんな立派なの受け取れないわよ。 今食べるか、分けて持って帰ろうよ。」 と、わたしが言うと、さきいか奥様は笑えるほど頬を引きつらせながら、 「いっ・・・いいのよ・・・分けても、ぐちゃぐちゃになるから・・・」 と、手の甲をひらひら揺らした。先生はまだいらっしゃって、 「ま~、みなさん、心が広い方ばかりでよかったわね~。 奥、いい?忘れないで。エプロンはレースよ。 レースのエプロンよ。レース」 先生、大丈夫ですか?? 大変負担だったのだけど、お言葉に甘えて、お重はわたしが。 残った材料は3人の奥様方で分けてお持ち帰り。 教室を出るとミジョンさんが 「奥さん、なんか食べて帰ろうよ。」 と言うので、教室近くのクッパのお店でお昼を食べながら、 ミジョンさんにチュソクでしんどかった話などを聞いてもらった。 「ねえ、日本ではチュソクみたいなのないの?」 「え~、盆と正月はあるけど、それでもこっちみたいに 嫁だけが働いてしんどいとか、 何がなんでもこうしないといけないって料理やしきたりも減ったし、 わりと自由で楽なほうだと思う。」 と答えると、すごく驚いていて 「え~?そうなの? 日本でも同じようにやるんだと思ってた。 じゃ、奥、こっちにお嫁に来て、すっごく大変なんじゃない??」 「うん。大変。」 そっか、ミジョンさんみたいな若い世代でも、ウリナラと日本じゃ そんな変わらないと思ってるのか・・・ じゃ、パンダ母が、ウリナラでやってること=世界共通って思うのも無理ないか・・・ 「けどさ、こうして週2つ3つ新しい料理習うから、すごく助かる。 うちの姑、あたしのおかずなんてほとんど食べないし、 美味しいってほめてもらうこともないから。」 と、これまた愚痴ると、ミジョンさんが 「ああ~ん、奥、韓国の年寄りってみんなそうなの。 表現力が無いのよ。表現力が。気にしなくていいよ。 『不味い』って言われないなら、それは『美味しい』って言われてるのと 同じだって、思ってればいいよ。」 え~?そうなの~~~? 超楽観的なんですけど(笑) でも、そう思ってたほうがわたしは楽になるよね。 ありがとう、ミジョンさん。 ありがとう、みんな~~~。 と、奥さんご機嫌で帰宅。 重箱を物置から探し出してくれたのはパンダ母だったし、 それもありがたかったから、パンダ母にも 「お義母さん~、ちょっと見てくださいな~。 きれいに出来たでしょ~?」 と声をかけた。パンダ母が食卓の九折板を見て、 「そうだよ。こうやってやるもんなのよ。」 とシレーっとした顔で言った。 「重箱ね、同じ班でわたししか持って行かなかったから、 みんなが中味ごと持たせてくれたんですよ~」 「重箱、なんで持ってこなかったの?」 「え?班に一つあれば良かったから。。。他の人持ってないって言うし。」 「何で持ってないの?」 「(知るかっ?!!) さあ・・・若い人は持ってないでしょう?」 「買わないと!!!」 ああ~。。。兄嫁以上にやはりこの人とは会話が成り立たない。 と思ってたとこへ、追い討ち。 「ソウルの兄嫁も結婚したとき、こんな風に重箱に いっぱいあれこれ詰めて持ってきたよ。 そうそう、でっかいタコも一緒だったねぇ~。 うちの上の娘を嫁に出したときも、あたしはちゃんと持たせたし、 下の娘が結婚したときも、持たせたし。」 じゃ何か? あたしが何も重箱持たずに嫁に来た、そう言いたいのか?? 奥さん、落ち着いて。 相手は表現力のないウリナラの年寄りなんだから! と冷静に考えようとするが、あ~無理無理。 この年寄りの頭ん中は、ウリナラでやること=世界共通なんだから。 あたしが嫁に来るまで、キムチは世界中の食べ物で、 アメリカでもヨーロッパでもアフリカでもどこでも、 冬には一年分にキムチを漬け込むと思い込んでいたのだから。 あ~~~~ あたしが馬鹿だった。 やはり『バカの壁』とか『超バカの壁』というのは存在するんですね、養老先生。。。 帰りのバスの中で、画像と共に 「今日は美味しい肴があるから、早く帰ってきてね~」 とパンダに送ったメールも虚しく、 いそいそと帰ってきたパンダを待ち受けていたものは、 白いレースのエプロンでもなく、美味しいワインでもなく、 角を生やして仁王立ちする奥さんだった。 奥さんの話を聞いて、パンダが言った。 「もうちょっとだけ我慢してくれ。」 「それ同居して以来ずっと聞いてるんだけど、 もうちょっと、ってどんだけなの?」 思えばわたしも甘かった。 もうちょっと、と今まで言われ続けてきて、もう4年目だ。 もっと早くに、期限を決めていればよかったのだ。 わたしが、いつまでなのかと詰め寄ると、 「・・・・今年・・・今年は我慢してくれ。来年は別居しよう。」 来年って言ったって、1月1日から12月31日まであるんだけど・・・ とりあえず、まあいいわ。 あ、待って。 良くないわ。 これから寒くなる一方だってのに、まだこの家で過ごすなんて・・・ できれば、円満に、おととしの冬のようにパンダ母のほうから 「2階は寒いから、どっかアパート借りてあんたたちだけで住みなさい。」 って言ってくれるような状況に持ち込むのがベストだ。 ってことは、あれか・・・おととし同様、わたしが体張って インフルエンザでぶっ倒れて寝込むしかないのか??!! 別居も命がけだな、全く。 とにかく、体力はつけておくか。 あ、いや、体力つけたら風邪引かないのか? いや、でも、いくら別居のためとはいえ、体調不調や体力消耗はイカンだろう。。。 やっぱり体力よか、演技力か。 この冬はインフルエンザ患者を演じ切るわ、わたし。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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