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カテゴリ:文鮮明先生み言葉選集(講演文)
『対話と同盟「世界宗教議会」』 1985年11月28日 米国・マッカフィー、ニュージャージー 名誉ある議長、学者、世界中の宗教指導者、ならびに紳士、淑女の皆様。 私は、皆様が世界宗教議会に御出席くださいましたことを、心より歓迎いたします。私たちのこの集会は、普通のイベントではありません。宗教、文化、伝統そして国籍の異なる八十五カ国の人々が、心を開き、互いに調和し、人類の末来についての関心をもってここに集まったこと自体が、既に偉大な業績といえます。神もこの歴史的出来事を喜んでおられると確信いたします。 私たちは、異なった宗教的背景をもって、ここに集まってきております。人間存在という根本的問題に対する解答は、同一ではありません。人類の苦しみの原因に対する理解においては、同じ準拠体系の枠内では考えておりません。私たちの世界平和を求める方法は多様です。しかし、それでも私たちは、共通の立場をもっています。それは、私たちがみな、絶対者と私たちとの関係において、問題を解決しようとしているということです。 洋の東西、南北を問わず、罪と不信と混乱の中に生きている人々は、真実かつ永遠なる愛と、幸福と、平和を切望してきました。人々は悪なる欲望の誘惑に打ち勝ち、善なる欲望に従って、本心の喜ぶ幸福を得ようと、あらゆる努力をしてきました。歴史を通して人間の経験は、そのような理想の追求はほとんど成功しないと警告しておりますが、人々の本心は、容易にあきらめようとはしませんでした。すべての人間は、民族や伝統の相違にかかわりなく、この際極的目標を追求しています。 もし、私たち人間が、自らの努力ではその目的を達成することができないとしたならば、私たちは、人間を越えて存在する、永遠、真実、絶対なる存在に頼らざるを得ません。私たち人間は、自らが有限なる存在であるということを知っております。私たちは自分自身の運命を決定せることができないのですから、私たちが究極の力とみなす絶対者に、必ずや頼るようになるのです。真実の愛と平和と幸福を意図しておられる絶対者がいらっしゃるのですから、これらのことはすべて神と共にあってのみ、必ずや実現されるものと信じます。 私たちは、人類が探し求めている理想の根源であるこの絶対者について、もっと知るべきです。 私は、自分自身の霊的体験と絶対者との深い交わりを通して、霊界に精通し、神の意志と愛と心情を知りました。宗教は、単に真理や倫理的教えであるだけでなく、人々の、絶対的に信頼でき、また関係をもてるものを見いだそうとする、本心の衝動に中心をおくものです。真の宗教的直観は、絶対者、無限なる者に出会います。この直観によって、私たち一人一人への神の召命を聞くことができるのです。そのような、絶対者との本然的な交わりの状態は、どんな個々の宗教組織や形式さえも超越します。そのような状態においてのみ、人間は完成と幸福に到達するのです。この神と人間との関係は、唯一で普遍的です。超越者は唯一であり、神と関係を結ぶ人間の能力は普遍的なのですから、人間の究極の目的が二つ以上あるということはあり得ません。個人の目的は一つです。そのような理想的個人が形成する家庭の目的も一つです。理想国家や理想世界の目的も一つです。すべての道は、愛と幸福と平和に満ちた神の理想世界へ向かっています。 愛と幸福と平和の理想は、孤立した個人においては不可能です。それは他者との関係においてのみ得られるものです。絶対者でさえも、他との関係をもたずに理想を達成することはできません。神がお一人であれば、神はだれを愛されるのでしょう。神は御自身の理想をどこに見いだすことができるでしょうか。 こう考えてみると、私たちは神の創造の動機を理解することができます。神は御自身の理想を実現し、神の愛を成就するために、人間を創造されたのです。神は愛と幸福と平和の理想を、地上の人間生活においてのみ実現することができるのです。 この意味において、本然の人間はどんなに貴重でしょうか。人間は、神と同じレベルに立つものではありません。しかしながら、神と人間は、関係をもつこようになっており、究極的には、一つになるようになっています。すなわち、神と人間の関係は、親子の関係なのです。ちょうど神が永遠で絶対であられるように、人間もまた、神の子女として、絶対的かつ永遠なる価値をもった存在となるのです。 さらに、人間は、神の理想実現のための対象です。永遠かつ絶対なる神のみ旨は、神と人間が完全に一つになったところにおいて、完成するのです。ですから、人生の目的も、絶対かつ永遠であります。 神は、永遠、不変、絶対です。神の創造目的も、永遠、不変、絶対であり、それは、一つの目的で統一された、一つの理想世界を創造することでした。今日の罪と闘争と不信の世界は、人間が本然の道から堕落したために存在するようになりました。神は世界の宗教を通して、堕落した人間を本然の状態に復帰するために働いてこられたのです。堕落人間の救いは、メシヤによる、神の摂理によって完了するでしょう。 神の創造目的が絶対なのですから、神の復帰摂理の目的もまた、いかなる価を払ってでも達成されなければなりません。したがって、理想世界のメシヤ的希望は、単なる漠然とした夢ではなく、私たちの人生において確固とした現実となるべきです。同様に、すべての宗教の目的は、地上での日常生活において、神のみ旨を実現することにあります。全体摂理の目的のために神は、各時代と民族、環境に適した多くの宗教を通して、善の基台を広げてこられました。しかし、これらの諸宗教の究極的目的は、一途に、神のみ旨である、平和と幸福の理想世界を実現することであります。宗教は、個人の救いやそれぞれの宗派の繁栄に関心をもつ以上に、世界を救うための神のみ旨にもっと関心をもつべきです。私は今こそ、すべての宗教団体が、神の真なるみ旨を、もう一度一緒に探し求めるべき時であると思います。 私が知る限りにおいて、神は宗派心の強いお方ではありません。神は教義のささいな点にこだわっておられません。私たちは、教義や儀式に盲目的に固執することによって生じる神学的論争から、自らを即座に解放すべきです。そしてその代わりに、神との生きた交わりに焦点を当てるべきです。私は、早急に、宗教の雰囲気を浄化し、一つになる必要があると思います。そこでは、信者は生きた信仰をもち、すべての人が神と交わることができるのです。神の親なる心情と偉大な愛の中では、皮膚の色や国籍の相違による差別などは考えられないことです。国家間や文化的伝統の間には、洋の東西、南北間においても、障壁はあり得ないのです。今日、神は全人類を神の子女として抱き抱えようとされていま教間の対話と調和によって、私たちは神の創造目的であり、かつ人類の共通の理想である、平和な一つの理想世界を実現しなければなりません。 尊敬すべき世界宗教の代表者の皆様。今日の現実を正直に見てみますと、今や信じるだけではなく、行動する時代であるということが分かるようになります。価値体系の混乱、道徳的腐敗、麻薬の常用、テロリズム、人種差別、大量殺戮、戦争、富の不公平分配、人権無視、そして全体主義的共産主義などを含む深刻な問題が、なぜ私たちの社会に満ちているのでしょうか。これらの悪は、神との関係を否定する快楽主義、無神論的唯物主義そして世俗的ヒューマニズムから生じた当然の結果です。これらはすべて、現代の衰微する信仰と霊的枯渇の結果であります。 今日の世界の責任を、だれがとることができるでしょうか。軍人や政治家でしょうか。実業家、あるいは新技術をもった人々でしょうか。決してそうではありません。神は宗教指導者に、現代の予言者に、聖職者に、これらの問題を解決してほしいと願われているのです。 すべての宗教者たちは、現代の不安定な霊的基盤に対して責任を感じ、悔い改めるべきです。長い宗教の歴史において私たちは、生きた神を、説得力をもって証しておりません。私たちは愛の実践をなすにおいて、誠実ではありませんでした。私たちの過去の偽善ゆえに、無神論が横行するようになったのです。私たちは、これらのことすべてに対して、罪を深く感じるべきです。 今日、神は私たちを召命しておられます。深い自己反省の内的基盤に立って、すべての宗教者は、あらゆる悪の横行に対して挑戦し、神のみ旨が地上に実現されるように、創造的に働かなければなりません。生ける神は、単に経典の文脈や儀式の中においてのみ私たちと関係をもつことを願われているのではなく、神のみ旨を心に抱き、毎日の生活においてそれを実践している人々の心の中に住みたいと希望しておられます。 世界と人類の未来のために長く祈祷し熟考したのちに、私は神の熱烈な希望と聖霊の強い力が、全世界を覆い尽くしているのを感じるようになりました。今日、世界は一新されなければなりません。全世界の宗教指導者は共に集い、あらゆる宗教の清浄化運動を推進していくべきです。悔い改めと、もう一度新たな真の献身があるべきです。世界は、変わらなければなりません。新しい宗教改革があるべきです。「生きた信仰」、「実践的信仰」の旗が、世界の各地で振られなければなりません。すべての宗教は、世界を貧困と病気から解放するために、自己の利害を超えて働くべきです。愛の実践と、燃え上がる信仰の確信による私たちの証によって、無神論さえも、生きた神の真実を確信するでしょう。偉大なる調和と愛と同情をもたらす、宗教的かつ霊的革命を通してのみ私たちは、最終的に平和な理想世界を実現することでしょう。 尊敬すべき代表者の皆様。神の崇高な召命にこたえて、世界の宗教団体は、適意と誤解と無知の泥沼からはい上がるべきです。相互に尊敬と友情を抱いて、大規模な宗教共同体を創設すべきです。そして、共に私たちの宗教的意志を行動に現し、この地球上のあらゆる所で実践すべきです。 宗政は、来世のみを目指すものではありません。地上は神の創造物であり、神のみ旨が実現されるのは、この地上においてなのです。もし天上天国、または極楽(Sukhavati:サンスクリット語)が神の理想の場所であるならば、私たちはただ望んでいるだけではそこへ行くことができません。それよりも、私たちは、兄弟姉妹や万物のために生き、それらを愛し、大切にしなければなりません。理想を実現することができるのは、他者との関係においてのみなのです。 宗教は、一般的な社会倫理や社会の方針を超越したものですが、私たちは社会における宗教の機能を無視すべきではありません。宗教者は、現実の問題に関心をもち、神の意志を具体的解決に適用すべきです。さらに宗教は、霊的刷新を鼓舞し、政治、経済、社会政策、教育に責任をもっている人々に、高潔な価値観を与えるべきです。聖霊によって啓発された心によって、こうした人々は、各自の分野における問題を解決することができます。神は、宗教の真実を掲げ、それをそれぞれの社会状況に関連づけることのできるような、生きた霊性をもった宗教者を呼び求めておられます。真実や、神との生きた交わりを基台とした人々は、必ず他者に影響を与え、どこにおいても霊性の復興をもたらすことでしょう。真の宗教は、世俗世界の趨勢に従うことはなく、ただ、神のみ旨を中心として、たとえ反対や迫害を受けたとしてもそれに屈せず、世界を啓発し、世界の人々を指導しなければなりません。 宗教間の調和と統一および生きた信仰のための運動は、時には孤独な道を行くかもしれません。しかし、すぐにそれは、物事を歴史的かつ世界的見地から見ることのできる新鮮な心をもった多くの人々から、圧倒的支持を得るようになるでしょう。 私は、神の摂理の方向に従って、世界を改革し、地上に神の理想を実現するために、全精力を傾けてきました。まず第一に、統一教会の全勢力を動員して、宗教間の調和による世界平和のために働いてきました。私は、心より、皆様方の宗教もこの道において積極的に協力し参加してくださることを希望しておりますが、それは、私の努力を軽減したいからではなく、また統一教会の財源を惜しんでいるのでもありません。それは、すべての宗教的伝統から生じる霊的資源と創造性が、神の摂理の方向に一挙に動員されるのを、一日も早く見たいと希望するからです。この道は、世界平和の実現に通じているのです。 御存じかもしれませんが、世界宗教議会は歴史的意義のある企画です。世俗世界さえも国連等を通して調和を求めているのですから、宗教団体がお互いに争うべきでしょうか。私は長い期間、先輩宗教の指導者の方々が世界宗教議会を始められることを期待しておりました。長い期間待ったのちに、私はこの企画を起こしました。それは、どうしても始められるべきであると信じるからです。この議会それ自体が意味のある業績ですが、回を重ねることによって、議会がますます意義深いものとなることを希望します。 私は、この議会に三つの希望を抱いています世 まず第一に、世界の宗教伝統は、互いに尊敬し、少なくとも宗教間の対立や戦争を阻止するように機能すべきです。第二に、この議会が、できることなら宗教共同体となって、世界に奉仕するように望みます。また、宗教者が具体的行動をとるように呼びかけ、すべての人々が神を中心とした価値観によって生きるように奨励し、人々の心と魂の成長をはぐくむことに同意し、かつ決意してほしいと願うものです。第三に、この議会が、全宗教の主要な指導者が参加するような組織へと発展すべきであると信じます。この議会は、最高の価値と人生の目的を掲げ、すべての宗教者、すべての団体、すべての国家にそれを提議しなければなりません。絶対者との交わりとお互いへの愛によってのみ、個人、集団、国家は、地上天国を準備し、その一員となることができるのです。 私は、各宗教の代表者として皆様方一人一人が、輝かしい未来と新しい宗教改革の基台となり、世界を指導することのできる霊的統一を見いだされるよう希望します。論文提出や討論、総会、委員会、芸術公演、瞑想、祈祷において、どうぞ、お互いの信仰を尊重し精いっぱい全体の調和のために貢献してください。宗教の世界的、歴史的使命である地上における神のみ旨実現を達成するために、私たちは前進いたしましょう。 私は、企画と準備をしてくださった企画委員会の皆様の御努力と、議会の具体的諸事のために尽力してくださったスタッフの皆様の熱心な働きに対して感謝いたします。 神が、この歴史的議会と代表者の皆様一人一人を祝福してくださいますように。 一休さんのような機知(トンチ)ではありません。 奇知=人とは異なる知恵 世界平和を願う奇知の外の凡人が徒然なるがままに書く日記です。 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2021.12.21 19:57:14
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