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カテゴリ:本(小説以外)の話
このところ何かと槍玉にあげられるNHKですが、我が家は夫婦揃ってノンフィクションやドキュメンタリー番組が好きなので、NHK視聴率が結構高いです。
民放のドキュメンタリー番組はテーマは良くても、なぜかクイズ仕立てになっていたり、芸能人のルポになっていたりするのが鬱陶しい。 クイズも個人的な感想もいらないので、もっと事実と映像をみせてくれ!! (NHKもプラネットアースの緒形拳は、内容がすばらしかっただけに興ざめでしたが・・・。) 子供と一緒に早く寝てしまう私のお気に入りは、夜7時から放送している教育テレビの『地球ドラマチック』。 世界各国の様々なノンフィクション番組をみることができます。 ■地球ドラマチック http://www.nhk.or.jp/dramatic/ 昨日の『地球ドラマチック』はBBC製作の『エルニーニョ・地球規模の天候異変』でした。 エルニーニョ現象は古くから気候に大きな影響をあたえ、いくつかの古代文明が突如消滅した原因のひとつだとみられています。 そのエルニーニョ現象に近年の地球温暖化がそのような影響を与えるのかについては解明されていないそうですが、もしも温暖化による海水温の上昇などから毎年のような気候現象として定着した場合、南米の降雨量が極端に減少しアマゾンの熱帯雨林が50年で枯れ果てる、という予測もあるそうです。 熱帯雨林は「地球の肺」とも呼ばれ、大量のCO2を吸収しています。 この熱帯雨林が壊滅した場合、地球温暖化はさらに劇的に進行するのは避けられないでしょう。 その確立は六分の一と計算されていました。 「50年後」ときいて、とっさに自分の年齢ではなく、娘の年齢を足して「57歳か・・・。」と考えてしまいました。 もちろんこれは数ある予測のうちの一つであって、果たして50年後の世界がどのようなものになっているのかは誰にもわかりませんが、もしもこの予測通りに進行した場合、50年後の人類は「どうしてわかっていたのに、なにも有効な手立てをうつことができなかったのか」と思うことでしょう。 イースター島の古代文明が崩壊したのは、モアイを作るために木を乱伐したことによる環境破壊が原因であると考えられています。 現代からみて「モアイのためになんて馬鹿なことを」と断ずるのは簡単ですが、これはまさに現代人がおかれている問題の縮図に他ならないと思います。 数年前、テレビでみて興味を持ったこの問題を詳しく扱った本を最近読みました。 『銃・病原菌・鉄』でピューリッツア賞を受賞しているジャレド・ダイアモンドの近作『文明崩壊 滅亡と存亡の命運を分けるもの』です。 イースター島に限らず、過去に崩壊したいくつかの文明と現在問題を抱えているいくつかのケースを多角的に精査、解析した労作です。 あらゆる角度からの反論に備えるためと思われますが、細かい(くどい)描写が多く、気軽に読むには量が多すぎるとも感じますが、それを補ってあまりある興味深い内容です。 本書によると多くの崩壊した文明はゆるやかに崩壊に向かうのではなく、頂点を極めたあとに急速に崩壊に向かうことが多いとのこと。 正直、読めば読むほど、暗澹たる気持ちにもなります。 中国の激烈な環境破壊は知っていても、オーストラリアの環境問題については、ほとんど知識がありませんでした。 また先日の日記でもとりあげたルワンダの大虐殺のバックグラウンドにある環境・貧困問題についても詳述されています。 何かと目から鱗!の1冊(というか上下巻だったので、2冊)です。 ただあまりにも量が多いので、読むのに結構疲れました。 内容の濃さから考えると1章ずつ、文庫になってもいいくらい。 この手の問題は映像があると訴求力倍増なので、5夜連続のNHKスペシャルにでもして欲しいなあ~~と思いました。 こちらは昨日の夜明けです。 最近、空気が澄んでいるので、毎朝夕に美しいグラデーションをみることができます。 50年後にも、この夜明けがありますように。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
November 10, 2006 05:48:16 AM
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