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先週の暑いくらいの日曜日、旅行中の娘以外の一家三人でお花見にいきました。
行き先は「靖国神社」。 私にとって、靖国神社は学校とバイト先をつなぐ通り道で、学生時代には幾度となく通った馴染み深い場所。 (好きな場所という意味ではありません。) 平日の閑散とした境内を見てまわったり、新館の建つ前の古い遊就館にも入ってみたこともあります。 植樹札に記された部隊名が非常に生々しく印象的でした。 (↓こんな感じです・・・。) 若かった当時より知識も増え、関心も高くなった今、改めて靖国神社(というか遊就館)を見てみたい、という気持ちはあったのですが、それだけのために時間を費やす気にもなれず、花見に便乗することに(^ ^;) 行ってみてびっくりしたのですが、出店の数も多くものすごい人出でした! とりあえず昼ビールを飲みつつ、ぶらぶら。 みんな、どんな理由でここをチョイスしたのかなー、なんて思いながら拝殿脇の遊就館へ。 遊就館が大きく立派になっていて、またまたびっくり。 入館料は800円。ちょっと高いなあ・・・。 展示内容は、まあやっぱりな、というものです。 (アメリカから批判が出ていた第二次世界大戦の米国関係の記述を、昨年一部変更したばかりのようですが、全体から考えるとごく些細なものだと思います。) 展示室を出たところにはミュージアムショップがあり、日章旗と戦艦大和と「靖国神社」という文字を印刷したマグカップとか、ゼロ戦や大和のプラモ、自衛隊グッズなどが販売されています・・・。 圧巻は書籍コーナー。 戦争に関したものばかりなのですが、ざっとみた感じではほぼ全てが「大東亜戦争肯定論」とか「南京大虐殺はなかった」系のもの。 よくもまあ、これだけ集めたと思うくらい、たくさんありました。 館内にある子供向け(!)のパンフレットの文章に靖国神社の「大東亜戦争」(と靖国では呼ぶ)観が、簡潔に集約されていると思うので抜粋します。 「日本の独立と日本を取り巻くアジアの平和を守るためには、悲しいことですが外国との戦いも何度か起こったのです。(中略)戦争は本当に悲しい出来事ですが、日本の独立をしっかりと守り、平和な国として、まわりのアジアの国々と共に栄えていくためには、戦わなければならなかったのです。」 ・・・・・。 靖国史観に私が感じるもっとも大きな違和感は「戦争に対する反省がない」ことです。 戦争へといたる道を考える際、もちろん欧米列強の圧力とそれに対抗するための日本の懸命の努力という面は、一つの見方として決してまちがったものではないと思うのですが、だからといって戦争は欧米列強のせいだけで、日本に罪はない、ということにはならないのではないでしょうか。 罪は罪で相殺されるものではないと思います。 例え周りにどんな非があったとしても、また戦争に本当に大義があったとしても、戦争そのものは非常に悲惨なものであり、多くの人に多大な苦痛をもたらしたという罪が軽くなる訳ではない。 特攻や、武器もなく食料もなく餓死した南洋戦線の兵士といった犠牲もまた、連合軍のせいであって日本には責任のないものなのでしょうか。 開戦原因の解釈はさておいても、戦争自体についてなんの反省の言葉も無いのでは、とても広く理解を得られるとは思えません。 展示の最後に、戦死者の遺影のコーナーがあります。 みな、若者ばかりです。 その膨大な数には、ただただ悲しく、戦争というのはなんと辛いものか、と心から思いました。 そこに添えられた文は「靖国の神々に感謝しましょう」というようなもの。 彼らの無念の死には深い悲しみ、二度とこんなことを起こしてはいけない、という気持ちは感じますが、どうしても「感謝」する気には、私はなれません。 この「感謝」というキーワードは、遊就館のあちこちで見られます。 靖国は「慰霊施設」と呼ばれますが、正確にいうならば「慰霊顕彰施設」、それも「顕彰」のほうに重点がおかれているのだと思います。 「お国のため」に命を捧げたことを褒め称え、感謝する。 そこには、また「なにか」があったら「お国のために命を捧げろ」というものを感じてしまいます。 と色々書きましたが、靖国神社は単なる宗教法人です。 一宗教法人がどのような歴史認識を展開しようと、もちろん自由。 本当はなんの異論もありません。 ここが選択の余地のない唯一のの戦死者慰霊施設でなければ・・・の話ですが。 以前の日記にも書きましたが、靖国問題というのはその歴史認識でもA級戦犯合祀でもなくて、「私的な機関に公的な役割を担わせていること」なのだと、私は思っています。 ■関連日記 靖国神社の存在の矛盾 http://plaza.rakuten.co.jp/peace4earth/diary/200602010000/ 今の靖国神社の歴史認識のまま、海外の要人等が参拝することは非常に難しいでしょう。 多くの人がわだかまりを持つ施設に祀られ、議論にさらされる戦死者と遺族の方は気の毒だと感じます。 遺族の気持ちというのも、もちろん一つではなく、合祀を取り下げて欲しいと思う人から、首相に参拝して欲しいと思う人までそれぞれ。 戦後60年以上、靖国神社を参拝してきた遺族の方の気持ちも傷つけたくはない・・・。 靖国はいわば、葬りそこなって実体をもってしまった亡霊のようなものに感じます。 従軍慰安婦問題などで持論を少しずつ展開しては、ガイアツでひっこめたり、と相変わらず煮え切らない安倍首相ですが、815参拝はしてもしなくても問題噴出必至。 果たして、どうなることか・・・。 話はかわりますが、明日(というか今日)は都知事選ですね。 都民の皆さん、選挙に行きましょうね!! 靖国神社の前では、石原伸晃が父親の応援演説してました。 あそこでやるっていうのが、石原っぽい・・・。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
April 10, 2007 06:46:39 AM
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