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結婚差別の体験から「きっと笑って会える日を」
きっと笑って会える日を お兄さん 元気ですか 二年前の六月 八年ぶりに会えた時の 感激は忘れません お互い 言葉もなく なつかしさと 嬉しさで 胸がはりさけそうでした。 言葉が なかなか 見つからず ただ 涙ばかり あふれました 私が「A地区」の人と 結婚したいといった時 「親に こんな想いをさせてまで……。」と ショックで 床にふせた お母さんの前で 言われましたね 今でも 私を恨んでいますか 親不孝な妹だと思っていますか そのお母さんも 今は”部落差別に”ぶつかって 「人間にとって いちばん大切なことが 見えてきた 自分の中の何かが 変ってきた」 と言ってくれています。 でも……。 このあいだ 家に帰ったとき 「お兄さんの結婚話が また だめになった」と聞きました。 「私のことが 原因してるのかなあ」と聞いたら 「そんなこと ないと思うけど……」と 私によけいな心配をかけまいとしながらも 言葉を 濁してしまいました そのことを聞くたびに 胸が痛みます。 決して 後悔したり 卑下 しているのではないのです むしろ ここに来て 本当に よかった と 誇りをもって 言いきれます だけど お兄さんの結婚話が うまくいかない と聞くのは 本当に辛いです お兄さん!もっと強くなって! そんなことで 結婚をためらうようなひと! こっちから おことわりや! 勝手な 言いぐさかもしれないけれど…… そのぐらいの気持ちに なってほしい もし そのことで お兄さんが 私を恨んだり 憎んだりしているとしたら…… 部落に嫁いだ妹より”部落差別”を憎んでください でも きっと いい人が現れると思います 私と「A地区」の出逢いがあったように やさしいお兄さんだからこそ きっと きっと いい出逢いが…… お姉さん 「部落の人とは 親せきになりたくない」と猛反対したお姉さん あれっきり 一度も 会っていないけど 子どもたちは 大きくなったでしょうね Bちゃんは もうすぐ高校生? 私みたいな妹がいることは 知らないのかなあ でも Bちゃんたちも 大きくなって 学校で社会で”部落問題”にぶつかった時 子どもに どう 言いますか?「差別しろ」と言うのですか もし 万が一 そうだとしたら あと 何十年たっても 会えることはないでしょうね でも 私は信じています お姉さんは 私のこと ”かたときも 忘れてはいないし いちばん 気にしていくれている”と いつか 会える日を楽しみにしています きっと 笑って会える日を <お母さんの手記> 思い起こせば、十数年前、末娘が私達夫婦、姉兄の猛反対をふり切って部落の男性と結婚した当時は、筆舌に尽くしがたい思いでいっぱいでした。よりによって部落民と一緒になるなんて、その思いはなかなか捨てきれず世の中のあり方に腹を立てたりしたものです。 私達が子供の頃は親も又周囲も部落民を蔑んだものです。「あの地区へ行くとこわい人が居るから絶対行ってはいけない」とまでいわれて育てられて来ました。その位、異質の様に思はされて来た部落の人間を自分の生んだ娘が結婚相手に選んだ、「こんな馬鹿な事があるだろうか、悪い夢でも見ているのだったらさめてほしい」、何度もそう思ったものです。でもまぎれもなくそれは現実として私達一家を暗いものとしてしまったのです。つらい思いからのがれるべく主人は単身赴任地からめったに帰らなくなり、私もこのままでは参ってしまうとふと趣味を見つけました。幸いその事で幾分か心を和ます事はできましたがやはり苦しい歳月でした。 そのうち娘から連絡が入る様になり無事で暮らしてゐるのならいいと思う事としました。追々と子供も二人出来、その頃から私共も娘から、差別を受けた側の人達の事を聞かされたりさりげなく送ってくれる本を読んでいくにつれ、だんだんと私共の気持ちが変って行きました。 謂れなき差別に長い間苦しめられて来た人達に、私共は追い打ちをかける様に偏見を持って接して来た事が恥ずかしくさへ思える様になって参りました。 もし娘が部落の男性と結婚しなかったら私達は過った考えのまま人を平気で差別する人間として一生過ごす事となったでしょう。 私は娘に人間の本質を見る事を教へられ又本当の愛の強さを身に持って知らせてくれた事を有難いと思へる様になりました。 昨年、気になっていた息子の結婚の際も姉妹の中で一番気を使ってくれた心優しい娘夫婦に、今は感謝の気持ちで一パイです。未だ未だ差別は根強く残っているのも事実です。 「差別」ーこの言葉が地球上から消えさることを願ってペンを置きます。 「心に翼を」 ”自分をたいせつにできない人は、他人もたいせつにできない” 自分が「差別」というものを体験していちばん感じたことです。 部落差別を知り、そこから始まったほんとうの人間としての営み。 差別している立場を自覚することは、良いこと。 決して恐れることはない。 そこには、構造や仕組みがある。それを許さなければいい。 許さないと思ったら、そういう生き方をしようと思う。 自覚し行動することをやりつづけることができるのが、人間の すばらしさなのだから… これは、我が社で人権研修が行われたときの講師の先生の体験に基づく実話です。但し、匿名姓の強いネット社会なので氏名及びお住まいの地区名は伏せました。この度、先生はブログ掲載を快諾して下さいました。この場をもって厚く御礼申し上げます。 まったけ 拝 【関連記事】 まったけ日記100ー麻生太郎氏の部落差別発言を断じて許さない!ー http://blogs.yahoo.co.jp/f4_ttm/9495382.html まったけ日記156ーまったけの部落問題入門-【部落問題の参考文献一覧があります。】 http://blogs.yahoo.co.jp/f4_ttm/21153413.html お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.11.14 14:51:21
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