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テーマ:マイノリティー生活(66)
カテゴリ:おはなし(作り話)
ソウルの 肌に刺さりそうな寒気の中 奥から白い湯気を出している 愛想のいいお兄さんたちが店頭に立つ大学芋屋さんの前で、 ケイは先月知り合ったばかりの人を待っていた。 目の前に立つ 深いこげ茶色の肌の彼と 中央ヨーロッパ風の風貌をしたケイは 同じソウルの冬空の下 同じガイジンとして梨花大学駅前に佇んでいた。 彼もまた誰かを待っているのだろうか 声をかけてみようか、とちらちら考えつつも でも、エイが来てしまったら、そこで会話を中断するのもなんだし・・・ 誤解されたりするかなぁ~~ など、つらつらと考えたりしてるうちに ストレートの亜麻色の髪の毛が階段の下から現われ 身軽に階段を駆け上がる、少年っぽい風貌をした細身のエイが、 ケイの「先月知り合ったばかりの人」が現われた。 無愛想なエイの表情は ケイが声をかけると 人懐っこい笑顔に変わり ケイは、自分がエイにとって特別な人であるような錯覚を覚えた。 さっきまで 同じフレームの中で ソウルの駅前で佇む外国人たち を演じていた相手に 心の中でそっとさよならを言って ケイは、今度はエイと ソウルを闊歩する外国人たちのフレーム に移った。 ぷちっ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006年12月14日 10時45分43秒
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