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2007年05月06日
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テーマ:人間関係(925)
今日も荒沢を連れてくる井沢の様子を見ながら
保険室を担当する林先生は、井沢の困惑を見抜いていた。


林は、思春期にいる荒沢の心のゆれの危うさを考えていた。
そして、原因がはっきりとはわからないながらも、こういうものは長期戦になることを知っていた。


そもそも、食べなくなってしまうところから考えてはいてはだめだ、と林は考えている。原因はその前に積み重なっている。問題は、積み重なった問題が何で、何がきっかけでそれが放出したか、だと林は、井沢に伝えたくて仕方がなかったが、相談を受けてもいないのに、そう言うことを口に出すのもためらわれた。


井沢は井沢で、林に荒沢のことを相談してみようかと考えてみたこともある。

でも、倒れた後の荒沢を収容するだけの保健室で働く、ちょっと自分よりも保健や病気の知識があるだけの林「先生」にいったい担任である自分にもわからない何がわかるだろうか、とも思った。井沢には、摂食障害が一種の「気から来る病」であるという意識が希薄だった。しかし、この学校では、それが普通だった。多くの教師たちは、健康な体には健康な精神が宿る、と信じているふしがあった。






荒沢は、また保健室のベッドで目覚めた。
「今学期に入ってから、何度目だろう・・・。
これじゃあ、もう、授業にもついていけないなぁ。
申し訳ないなぁ。」
ぼんやりした頭のことで考えるのは、両親や家族にたいしての申し訳なさだけだ。

でも、荒沢自身にも、食欲がまったくなくなってしまったのに「これ」といった理由が見つけられるわけではない。


起きてくると、林先生がいつもどおり、机で何かをしている。

振り向いた林は、これもいつもどおり、「気分はどうだい?」と聞いてきた。
「この先生は、いつも何も聞かない」と、荒沢は少し不満げに思う。


林は林でタイミングをうまく計ろうとしているのだが、どうもそれがいつだか良くわからない。
自分があまりいろいろと聞かれるのを嫌がるタイプだし、向こうは「多感な年頃の」女の子なものだから、ついいろいろと聞くのをためらってしまう。
でも、荒沢は、「今日の気分」以外の、もっと実のあることを聞かれるのを待っている。自分の中のこんがらがった糸をほぐしてくれる相手を探している。でも、何ヶ月も通っている保健室の林は、その役目を果たしてくれそうにもなかった。






ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

これは、フィクションです。
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最終更新日  2007年05月06日 20時02分38秒
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