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テーマ:ノンジャンル。(2214)
カテゴリ:おはなし(作り話)
山を見つめるようになったのは、いつからかわからない。
あるいは、大好きな話をそこで落としたときからだろうか。 大好きなものをあそこに落としてきたから、気になって仕方がないのだろうか。 今日もかなたにそびえる山のうねを探して、私の目は地平線の上を泳いでいる。 ―――――――――― 今日もボクは、つい好きな人の頭上の向こうを探ってしまう。 今現在、ボクはここにいるのに、いつも探しているのは、もっと向こうにある何か。 その「何か」が何なのか、ボクにすらわかっていない。 答えを知る日は来るのだろうか。 ―――――――――― 手元ばっかり見るくせがついたのはいつだろうねぇ。 老眼がひどくなったときからかしらねぇ・・・。 前は縫い物は好きだったんだよ。嫌なことがあっても、不思議と気分が落ち着いてくるもんでね。でも、いつごろからか、それが楽しくなくなった。 そのころから、何もせずに手だけ見るようになったような気がするねぇ。 ――――――――― ほんとのところは、誰にもわからない。 もしかしたら、視線の先にあるものが見つかる日がくるのかも知れないし、ずっと見つからないのかもしれない。 でも、自分は何かを探しているかもしれない。 そう感じるだけでも、なんらかの安堵を得られたことはないだろうか。 ――――――――――― これは、フィクションです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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