岡山の清水白桃。
大学時代、夏休みに広島から香川に帰省する際はいつも、岡山駅での乗り換えが楽しみでしかたなかった。今は改築して新幹線から在来線への乗り換えの距離が短縮されたが、当時は長い通路を歩かねばならず、その通路脇で、この時期ずらーっと並ぶのが、岡山産白桃の露店だった。箱詰めの高価な桃は眺めるだけ。少し傷のついた、しかし傷物でなければ結構なお値段になりそうな桃を探した。確か、学生だった私が買ったのは500円の傷桃1個だったように覚えている。それでも、大荷物とは別に大事に大事に抱えて帰ったのだった。今でも時々思い出したかのように、「あの時食べた桃の味は忘れられないね、」と母は言う。そういえばここ数年、桃を食べても地元産のものばかりだったと気がついた。隣町の特産品のひとつが桃ということもあり、貰ったり安く手に入ることが多かったせいもある。香川でも清水白桃を生産しているが、なんなんだろう、あの岡山産の別格なおいしさは。乳白色の柔らかい皮をつるっと手で剥いて、がぶりと齧り付く幸せ。(笑)先週、備中松山城からの帰りに、親友宅でその清水白桃をごちそうになり、お土産まで貰ってしまった。親友の家から車で10分も走れば、道路脇に続く桃畑。「春に桜が終ると、ここは一面桃の花でいっぱいになるのよ。」白桃の花は遅咲きなんだろうか。それにしても、桃の花がどこまでも広がる風景ってまさに桃源郷なんだろうな。その季節にも訪れてみたいし、でも、やっぱり一番は白桃の実がなる今がいい。(笑) 戴いた桃はあっという間になくなった。そして、「桃は岡山産の清水白桃じゃなきゃ!」と、改めて思った。「今年の桃はどの種も例年より早いから、清水白桃はもうすぐ終わるらしいよ。」岡山在住の友が親切に教えてくれた。そこで今日、私はわざわざ岡山に用事を作り、そのついでに産直市場をのぞくことにした。正確には用事の方がついでだが。(笑)こうはっきり書かれていれば、ここに桃があることは一目瞭然!安くて美味しい桃を狙う多くの人たちを押し分け、私も桃とり合戦に参加して来たのだった。(笑)たった今、また一つ食べてみた。うん、やっぱり桃は岡山の清水白桃じゃなきゃ!!