ジェローム・カーン
【 Till the clouds roll by 】'46 MGMこりゃまた、傘を差している。劇中劇で、舞台を再現しているシーン。ジーン・ケリーの映画に驚くことはなかったのかもな、古の舞台ネタが洗練されただけだったのかもしれない。他にも、ブランコを板に乗せたり、象がでてきたり!舞台はなんでもありだったみたいだから、実際、雨くらい、降らせたのかもしれんなぁ、舞台で。「ジェローム・カーンの半生記、豪華キャストが織りなす絢爛ミュージカル!」なんだそうだが。正直、ジューン・アリスンとジュディ・ガーランド、あとはシナトラくらいしか判別できなかった(笑)だいたい、この映画が製作されたのからして 1946 で、舞台背景になっている「Show Boat」ブロードウェイ初演は、ええと、1927 ?だったか?'27 は大恐慌の二年前、'46 はポツダム宣言の翌年ですわ。ひぇー。驚きませんか、この歴史の厚み?!だってジェローム・カーンは、いわゆるスタンダード、今現在もライブでしょっちゅう聴ける曲の作曲者なんだもの。Yesterdays , Fine romance , All the things you are 、Smoke gets in your eyes も彼の作曲なんだわな。これらは'46 の時点で既出の、多分、ヒット曲だった。おらの手持ちのサボイのパーカーで、一番古い録音が 1944 。うーむ、だから、ブルーズも循環(こりゃ、ガーシュインだ)も、それ以前に存在していた音楽だったんだよなぁ。それはそれは、いにしえである。基本的にブレイクしたみんなが知っている有名曲を、バッパーが取り上げて。後から生まれたおいら達は、そっちを先に聴いただけのことで。ロマンティックなストリングスアレンジが、なにかと新鮮な、本日であった。カーン本人が、自分のことを「ミュージシャン」と称しているのが、これまた新鮮な驚きだった。そうか。コンポーザーもミュージシャンで括るのか。ミュージシャンて、かっこいいもんだなぁ。映画によるとカーン以前は、イギリス人の作曲家が、ブロードウェイを席巻していたんだそうだ。移民の国出身と旧大陸は、ショービス的にまだ格差があったみたいで。白人のアメリカ人が、苦労していた時代があるというのが、驚き。だからトリがシナトラのおーるまん・りばーで、なぜにこの曲がシナトラ?と思ったのは、浅はかだった。よく考えりゃ、ばりばり公民権運動以前なんだし。あのマイルスだって警官に殴られたんだもんなぁ。おいらはレイ・チャールズのが好きでしたが、閑話休題。ブロードウェイのネオンライトには、ミュージカルの作曲者の名前が、麗々とかかげられていたらしい。かくのごとく↓ 無知なおいらは感動した。こりゃもっともな、正しい扱いだ。だからこそ、今もアメリカのネットラジオには、カーンチャンネルとか、ポーター、ロジャーチャンネルがあるんだろな。ディズニーとかと並んで、それが歴史が浅いアメリカの、誉れになってるんだろう。あいや。別に、嫌味じゃないんですよ、これ。敗戦によって、米文化にばくばく侵食されてきたのは確かで、いち日本人としては、実際むっとすることも多いし、アメリカのすべてを是とするわけでは、全くないのですが。やっぱり、かっこいいところも、多いんだわね、アメリカって。つかジャズ好きだと、こりゃも、しょうがないですよねー(笑)