カテゴリ:買った本、読んだ本
本屋に行くたびにちょっと気になっていた本。 うずまきノートさんのこの本の感想を読んで、 すごく読みたくなった。 ハードカバーの本を買うのは久しぶり。 いつも新刊は図書館でリクエストをして 忘れたころ届いたものを読むことが多いが すぐに読みたかった。 あと、たぶん誰かに貸したくなる予感がした。 リリー・フランキーさんのコラムや サイケファンシーなイラストは 時々目にしていたし、テレビや雑誌に出ている姿も見て なんともいえない風貌を醸し出している、 少し変わった人・・・という印象があった。 そんな少しへんと思っていた人がこんなに素敵な文章を 書とは全然知らなかった。 自分のことを書いているけど、自叙伝ってかんじじゃない。 エッセイというのではないし、 淡々と面白おかしく綴る文章に 時々、びっくりするような鋭い考察力があり 心の隅っこを突くような心理描写を上手く表現している私小説だ。 人情に厚く、明るく前向きで 家に来た人にはたくさんのお料理を振るまい、 オトンとはずっと別居生活で環境もくるくる変わり たくさんの苦労をしてきたが 息子には何があっても心配させなかったオカン。 ガンになっても最後の方まで弱音を吐かずに 息子に気を使うオカン。 そんなオカンの後ろ姿を見て育った息子の 母への思い入れはどんなに強いものだろう。 本当にストレートにオカンが 大好きだったということが伝わってきた。 こんなに堂々とお母さんが大好きと言えるなんて 希薄な家族関係も多い中で素晴らしいことだと思う。 私の両親は地味で面白みのない人たちだけど 他人に迷惑かけないよう、気を使いすぎるほど気を使い、 誠実に堅実に生きている。 子どもの頃は何も思わなかったが そんな両親の元で育つことができて ほんとうによかった。 『いつか本当にやってくる事。確実に訪れることが わかっている恐怖。ボクが一番恐れている事』 末期のガンに苦しむオカンを目の前に 何もしてあげられないというリリーさんの辛さや 喪失感に涙が止まらなかった。 でもその涙はやがて心地よいものへ変化する。 最期はオトン、息子に看取られ、 葬儀にはオカンの手料理を食べた人たち、 オカンが仲良くなった人たちが来てくれる。 みんなみんなオカンが大好きだった人。 そんなたくさんのひとたちに 見送られ、息子にこんなに愛され、 幸せな人生だったんじゃないかと思う。 オカンの残した手紙、 オカンへの最後のメッセージ、どれも 心に沁みて五感が震えた。 『オカン。今までいろいろ、ごめんね。 そして、ありがとね。オカンに育ててもろうたことを、 ボクは誇りに思うとるよ。』 さて、今のところ息子たちは 「おかあさん、おかあさん」と慕ってくれているが 思春期の親をうっとおしいと思う時期を越え、 大人になったとき わたしのことをどう思うのだろうか? 誇りに思ってくれるのだろうか? そんな母になれるよう、私も頑張らなくちゃ。 東京タワー お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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