Ａｒｔ ｏｆ Ｌｉｆｅ研究所 プレイバックシアター　　　　　　

毎回思うのだが、
初回というのはいいものだ。

ちょっとした緊張感と、期待感と、
そして、最後の表情との変化が、楽しめる。

終わってから、常連組みの参加者の一人が言った。

保育つきの講座なので、早くお迎えに行く人たちが帰った後、
子どもが幼稚園や小学校に進級したお母さんたちが、輪になって、
ちょっとした座になったのだ。

「はじめてくる人を見ると、
何年か前のわたしが、そこに居る」と。

そのときを通過して、味わったものだけが、
その微細な内面を、測り知ろうとするのだろうか。

「固く閉じられたこころの窓を、ノックしたくなる。」と。
「わたしが、ノックされて、少し開き始めると、世界が変わって、
見え方が変わって、楽になったように。」と。

一同が、うなづきながら、同様の感覚を持っているようだ。

もちろん、こじ開けようという乱暴はしない。
待っている人に、こちらから、
ちょっとノックする、という働きかけをしたくなっているというのだ。

その言葉を言ったお母さんは、数年前、講座の中で、
皆が当たり前にやっている事を、一緒にすることが出来ないと、
輪から外れて涙していた事が、あったのだ。

その同じ人が、自分から、「いいんだよ、大丈夫だよ。」と言ってあげたいと言っている。

自分が経験したからこそ、そして今そこから抜け出して、
その頃の自分を、温かいまなざしで見ることができる。

そんな先輩ママたちは、素敵だと思う。

講師として、リードする立場ではあるけれど、
参加者一人ひとりが、有能なファシリテーターだ。

他の参加者をよく見ていて、その変化をしっかりと感じている。
それぞれの変容振りを知っているからこそ、
今現在の状態だけを見て、簡単にその人を判断したり、裁いたりしない。

今は、そういう状況で居るだけなのだと、
その人が、今の常態を充分に生きていないとしたら、
本来のその人が引き出されるように、互いをホールドしあう関係性。

同期の人、２期の人、３期の人、そして今日からのニューフェイスたち。
それぞれが、ひとりでなく、共にサバイブしてきた。
それぞれ違う人生であったとしても、大変な時期を一緒に通過してくると、
戦士のように、信頼しあう強い絆で結ばれる。

それぞれを讃えあう姿は、美しい。