きのう4月24日は植物学者・牧野富太郎博士の生誕160周年だった。(1862年4月24日-1957年1月18日)
私は子どものころから牧野富太郎博士の植物図鑑に親しんできた。小学生のときに愛用していた図鑑は現在も図鑑類の書棚に並べてある。もう函も本体ジャケットもぼろぼろになっている。しかし捨てずにそのままの状態で所蔵している。現在愛用しているのは3,896種の植物を収録する1,133ページ(H26cm X W19cm、厚さ6.5cm)の『牧野 新日本植物圖鑑』である。しかしこの図鑑も購入してから49年も経つ。
図鑑というのは有難い本で、学術的にしっかりしたものであれば、何十年と使用できる。ただし、遺伝学の発達によって過去の記述を変えなければならないことがおきる。たとえば種・属・科などの変更である。牧野博士がお亡くなりになって以後に起り始めた学術上の変更である。
牧野博士の植物図鑑の特徴は、植物を同定する学術記述(ラテン語の学名、和名、植物の個的特徴)に加えて漢籍や民間伝承などを参照した「漢名」「日本名」を記述し、さらにその「渡来歴」や「俗名」や「地方名」などを記述していることにある。そのような事柄は博士の随筆にも書かれているが、図鑑に記述していられることが実は大変重要だ、と私は思う。
上に述べた2冊の図鑑の画像を牧野富太郎博士の御誕生日を祝して掲載しよう。
牧野富太郎著『学生版原色植物圖鑑』北隆館 定価700円
昭和29年5月1日 初版発行
昭和31年7月15日 九版発行(上掲)頒布番号第20696号
牧野博士の検印有り
左ページ下になにやら私の小学生時代の分数計算の落書きがある。なぜこんなところで計算したのだろう。とっさに持ち合わせの紙がなかったのかもしれない。
牧野富太郎著『牧野 新日本植物圖鑑』北隆館
編集;東京大学教授 理学博士 前川文夫
東京大学教授 理学博士 原 寛
お茶の水女子大学教授
理学博士 津山 尚
昭和36年6月30日 初版発行
昭和49年8月15日 二十七版発行(上掲)
頒布番号58923 牧野博士検印及び他一検印あり