玄関脇の一隅にアガパンサスと二人静を植えている。もう花の時期は過ぎてしまった。二人静はその名に似合わないたくましさで、2年前に植えたときはほっそりとして小さかったのだが、今や株も増え、葉も大きく、なんだかふてぶてしいほどだ。これぞ白拍子静の芯の強さが現れたのかもしれない。
ところでアガパンサスと二人静の勢いに気圧されもせず、小さなカタバミ(酢漿草)が一輪の可憐な花を咲かせていた。カタバミはいわゆる雑草である。我が小庭は雑草大歓迎で、むしろ雑草しかない。園芸店で売られている花は一つもない。カタバミもいつの間にか片隅に居どころを見つけたようだ。元来が丈10cmほどの三つ葉の植物。その三つ葉の中央からすっくと細い茎が伸び、最初は豆の花のような花からすぐに五弁の花となる。鄙に稀なる美少女、という感じがする。
和名の漢字表記が示すとおり、口に含むと酸っぱい。昔はこの葉を集めて鏡を磨いたという。その知恵を思うと、どうしてそれに気づいたのだろうと不思議になる。植物の葉は種々あるが、その膨大な種類の中から、鏡の曇りを磨くにはカタバミがよいと、・・・つまり文化の発祥に興味がわく。
かたばみや合わせ鏡の古女房 青穹(山田維史)