セミが鳴く季節はまだ先のことだが、CNNがセミの病気について興味深いニュースを報じている。アメリカのセミの季節は日本より早いのだろうか、今年の春は10年間以上も土の中にいたセミが10億匹以上も発生することが予想されるそうだ。
このセミのなかにはマッソスポラという病原菌に体をのっとられ、ゾンビのように菌に操られて菌をまきちらすものがある。マッソスポラ菌はセミの生殖器を破壊し、腹部を病菌の胞子にいれかえてしまう。胞子は大量に増殖し、やがてセミの生殖器と腹部は脱落してしまう。生殖器と腹部が脱落したセミの腹部には白い胞子嚢がついている。
セミは体を引き裂かれながら動き回り、しかも性欲は異常に亢進し、雌雄の別なく相手を呼び寄せるようになる。相手のセミに病菌を感染させてしまうのである。つまり病菌に感染したセミがオスであれば、メスをもとめることはもちろん、オスも呼び寄せる。健康なメスは羽ばたいてオスを誘い寄せるが、病菌に感染するとオスもメスもオスをおびき寄せて感染させてしまう。胞子嚢が裂けると、セミが飛びながら胞子をばらまく。
セミは幼虫で土中で17年間、あるいは13年間、成虫になる時まで過ごしている。マッソスポラがどのような過程でセミの体内に潜り込むのかはまだ解明されていないようだが、感染セミは10年間以上たってもこの感染を繰り返す。しかしながらマッソスポラが人間に感染することはないようだ。
今年、アメリカ・イリノイ州では17年周期のセミが、また中西部から南東部一体に生息する13年周期のセミが同時に発生し羽化するはずである。この発生周期がことなるセミが同時に発生するのは1803年以来なのだという。アメリカの今年の春は、セミの大発生が予想されている。