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テーマ:DVD映画鑑賞(14212)
カテゴリ:「神の子たち」四ノ宮監督
<前回の続きです>
今回も前回の記事に引き続き、 四ノ宮浩監督の『忘れられた子供たち』をご紹介致します。 下記に引用する文は次回作、(仮題) 「天国の子どもたち-世界中の貧困と飢餓と戦争をなくすために-」 のたたき台として現在公開されている監督ご自身の手記、 「新作映画・そして僕自身のためのノート」からの抜粋になります。 四ノ宮監督が、このフィリピンの地で映画撮影を始められた当初から 現在までの思いを綴られているこの手記の中から 『忘れられた子供たち』に関係する箇所をご紹介するものです。 (プロダクション様ご了承済みです) ※以下、四ノ宮監督の手記 「新作映画・そして僕自身のためのノート」からの転載です。 1988年9月頃、友人の誘いもあり、僕は初めてフィリピンに渡り、「世界の貧しさ」という現実にぶつかった。僕はその時、僕の財布からお金をせびりに押し寄せてくる貧しい人々の大群にうろたえた。その時の僕は、初めて泊まったホテルからさえ一歩も出られなくなるぐらいの身の危険を感じ、体は小刻みに震えていた。 ~中略~ 日本への帰国も脳裏によぎり始めたまさにその時、僕は、マニラの北のマニラ湾沿いに位置する40年以上続いていた地図にも載っていない「スモーキーマウンテン」と呼ばれていたゴミ捨て場の街に出くわした。 僕は、その日のことを、昨日の出来事のように鮮明に何もかも覚えている。その記憶は絶対に一生忘れることのない強烈な体験だった。そのゴミ捨て場は、マニラ中の家庭や工場からの産業廃棄物も一部含んだゴミが捨てられ続けた、広さ21ha高さ40mの巨大なゴミ山だった。驚くことに、ゴミ山の斜面には、3000世帯2万1千人の暮らす掘っ立て小屋が所狭しと並んでいた。この場所は、政府のゴミ捨て場なので、当然、勝手に住み着いた住民のための水道や電気なども通っておらず、フィリピン人からも国の恥部だ、臭いやつらだと陰口をたたかれた差別された街だった。このゴミ捨て場の周りはすべて強烈過ぎるすえた生ゴミの悪臭とハエの大群で覆われ、口を閉じていないとハエが口の中に飛び込んでくる様である。 僕は、遠巻きから、ゴミ捨て場の頂上を見ると、ゴミ収集車から捨てられたゴミに向かって懸命に走って群がり、そのゴミを拾っている豆粒大の老若男女の数百数千人の人間らしき姿がみえた。僕は、その時「自分の想像している地獄とはここの事だったのか」と正直、思ってしまった。 そのあと、僕は一緒にいったスタッフ達とこのゴミ捨て場の街を見て回ることにし、ゴミ捨て場の頂上を目指し歩き始めた。僕はかなり動揺していたが、誰にもそのことを悟られるのがいやで一番後ろを歩くことにした。道はかなりぬかるみ、靴が重くなっていくのがわかる。ちょうど、山の中腹に差し掛かったぐらいで、向こうの路地から、今ゴミ拾いを終えたばかりだと思われる強烈なにおいの4、5人の女の子たちが僕たちをめがけやってきた。僕はとっさにポケットに手を突っ込み小銭をさがし、その子たちから言われたら渡そうと準備した。ところがその子たちは、僕たちとすれ違いざまに澄んだ瞳で微笑を浮かべ「カムスタカナ」(日本語でこんにちはという意味)と挨拶の言葉をいい、ただ僕たちの前を通り過ぎていった。 僕は、この日、この地獄だと思ったゴミ捨て場で偶然出会った子どもたちに惹かれた。ここに住む少年少女たちは、このゴミ捨て場で生まれ、育ち、多くは途中で死んでいく運命と聞いたが、僕はどうしても、この子どもたちの澄んだ瞳のわけを知りたくて撮影を始めた。 以上、四ノ宮監督の手記から転載させていただきました。 この手記は、『5000人製作委員会』の資料を申し込んだ時に 資料として同封されていたものです。 かなりの長文でしたが、 とても感動しながら読ませていただいたことを思い出します。 尚、この手記は、監督のプロダクションのHPでもご覧になれます。 下記リンク先(トップページ)のトピック、 『~~現在製作中の映画仮タイトルが変更になりました~~』 の「新作映画・そして僕自身のためのノート」から見て下さい。 私が読んだ、四ノ宮監督の手記の全文を見ることが出来ます。 http://www.office4-pro.com/ そして、次回作の製作費を捻出する為に発足された 『5000人製作委員会』にもぜひ参加をご検討下さい。 この会に参加されると、『神の子たち』もしくは 『忘れられた子どもたち』のサンプルDVDが送られてきます。 プロダクションの話ではサンプルDVDと市販品DVDの違いは、 監督ご自身の解説の入っている第二音声がないということと、 画質が少々劣化している違いがあるとのことでした。 私が確認したところでは、画質の劣化は気にならない程度で、 上記に加えて、サンプルDVDにはチャプターがないくらいでした。 映画収録内容は同一のものですので、その点の心配はありません。 また、『5000人製作委員会』に参加されると、 HPの『5000人委員会名簿』と映画のエンドロールに名前が載るそうです。 私は、HPではハンドルネームにしましたが、 映画では実名にしていただこうとお願いするつもりです(^^) ★『5000人製作委員会』の詳細は、 下記リンク先の前回記事をご参照下さい。 http://plaza.rakuten.co.jp/pmdecorp/diary/200612020000/ 四ノ宮浩(しのみや・ひろし) 1958年仙台市生まれ。大学在学中に寺山修司率いる 「天井桟敷」に入団し、大学は中退。 その後、様々な職業をへて、1986年監督デビュー。 1995年ドキュメンタリー映画 「忘れられた子供たち―スカベンジャー」を完成。 第44回マンハイム国際映画祭ベストドキュメンタリー賞受賞など 受賞歴多数。 2001年5月「神の子たち」完成。 第52回ベルリン国際映画祭、モントリオール国際映画祭へ 正式招待を受ける。 またNYでのNewDirector/NewFilms映画祭 (ニューヨーク近代美術館 MOMA)での上映の際、 ニューヨークタイムズ紙に 映画レビュー が掲載された。 http://www011.upp.so-net.ne.jp/office4pro/kaminoko/ny_review.htm 2002年10月シネマアンビエンテ環境映画祭 (トリノ、イタリア)コンペティション部門グランプリを受賞。 その後世界20カ国以上の国で映画が今も見られ続けている。 映画「(仮題)天国の子どもたち」現在製作中。 ★オフィスフォープロダクションHP http://www.office4-pro.com/ 四ノ宮監督の最新動向がわかります! 監督ご自身の手記がとても印象に残るHPです。 3作品についても詳しくページが作られています。 【1】に戻ります ★映画『神の子たち』についての過去記事はこちら http://plaza.rakuten.co.jp/pmdecorp/diary/200611180001/ ★『神の子たち』関連写真と記事の特集(mahalさんの資料を編集) http://plaza.rakuten.co.jp/pmdecorp/diary/200611260001/ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009年03月09日 12時59分51秒
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