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2004年12月23日
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カテゴリ:今日のできごと



いろいろ考えたが、これが一番いい方法だと実行に移す。

まずは電話をしてみる。

以前、聞いていた娘さんの家の電話番号

まったく身ずしらずの人への電話は緊張する。



電話のコールが、何度も繰り返し聞えてくる。

もう、受話器を置こうとした7回目か、8回目のコールの時

受話器が上がる音がした。

『もしもし、〇〇さんのお宅ですか?』

『はい、そうです…』

聞えてきたのはかなり年のおばあさんの声だった。

ラッキー!私が用事があるのは彼女だ。

娘さんには用事がない。

説明する手間が省けた。



私は3年前から、民生委員をしている。

今年で4年目だ。

彼女とはこの時期と敬老会の時期に顔を合わせる。

彼女はふじ子さんという、本来、私の住む同じ町内にいる人だ。

ただ、いつもは娘さん宅に行っていてたまにしか帰って来ない。


もう、タイムリミットが近づいていたので、いつ帰ってくるか

わからない彼女を待っていられないので電話をしたのだ。




『歳末助け合い運動』という言葉

皆さんの中にも協力したり、名前だけは聞いた事が

あるという人がいると思う。


私は今日、それを受取人に渡すため、電話をしたのだ。

皆さんが協力してくれた浄財はいろんな分野に分配されるが
いわゆる、生活自立困難者に正月のもち代として、
年末のこの時期にいくばくかのお金が配られるのだ。



このお金は正確には歳末たすけあい見舞金という。

民生委員になるまではこのお金がどういう風に使われているのか
知ることもなかったし、興味もなかった。


私の担当地区には4人いる。

3人はいつでも会える。

もう、配り終えていた。

役所に領収書を届ける締め切りは25日だ。

何度も行ったが、戻ってていないようだった。

それで私は娘さんのところに失礼だが、行くことにしたのだ。




『こんにちは。民生委員の〇〇です。』
おばさんの耳まで用件が届くように一つ一つ、言葉を区切って話す。

納得したようだった。

これで一安心。

振り込め詐欺が流行っているが、こっちはお金を配る方なので
疑っていないようだった。


ところがそれからが大変だった。

娘さん宅に行くことを了承してくれたのはいいのだが、
場所がはっきりしないのだ。


北九州大学前の自衛隊の近くというのはわかった。

その前の〇〇ビルの3階だという。

しかし、自衛隊の敷地は半端でない広さ。

正門前は大学だ。

どの場所を指しているのか、さっぱりわからない。

何度か手がかりを得るため、質問すると、

『何でわからんのかね?』とブツブツ言うのが聞えた。

仕方がない…

要領を得ないまま、とりあえず、車に乗り込んだ。


20分くらいして自衛隊前に到着した。

ビルの名前を確認したいが、トロトロ行くと、後ろの車に迷惑だ。

かといって適当な止める場所も見つからず、

自衛隊と大学の周辺を何度もグルグル回ってしまう。


この辺は大学のあるせいで、ワンルームマンションが乱立している。

どれもこれも居住ビルのようだ。

そして、やたら、目に付く不動産屋。


そうだ!不動産屋にはゼンリンの地図があるはずだ。

これは助けてもらおう

めぼしい、不動産屋を見つけるとドアを開けた。

女性従業員さんが対応し、すぐにゼンリンの地図を持ってきてくれた。

いきさつを話すと、

『それは大変ですね。お年よりは要領を得ませんからね。』

と気の毒がってくれた。

2人でおばあさんが言う、名前のビルを

自衛隊の駐屯地の周辺を中心に探し始めた。


そして、数分後、不動産屋さんの方が先に見つけてくれた。

確かに道を挟んで自衛隊の前のビルだった。

ただ、首都高が走っていて、ビルが少し、奥まって歩道が広いので

これでは車で捜して見つけられないはずだ。



親切な不動産屋さんにお礼を言うと、

そのビルをめがけて車を走らす。

そして、言われた3階の部屋を探す。

あった。

娘さんの名字の表札だ。

チャイムを鳴らす。

なかなかでない。

警戒をしているのか?

もう、1回、電話をしてみようかと思案していると

ふじ子さんは印鑑を持って出迎えてくれた。



お年寄りに事件に巻き込まれては危ないからと

印鑑を持たせない子どもが増えているらしいが、

さすが、お金をもらう時は違う。

にこやかに笑いながら、出迎えてくれ、

しかも、手編みもマフラーまでもらってしまった。


家に帰り、娘に見せると娘は一言、

『趣味、悪い…』と言った。

確かに、かなり、どぎつい緑色のマフラーだ。

でも、いらないとは言えなかった。


ふじ子さんはたぶん、80歳くらいだろうが、その年で

マフラーを編むなんてある意味すごいと思うから。


カギ編みで手作りの暖かさを感じる。



でも、やはり、娘が言うように首に巻くには
少々、抵抗はあるのは事実だ。

どうしよう?


とりあえず、首に巻いてみた。


あれ?


意外といいかも?


小さめで短いので、派手に見えない。


どう?

と娘に見せたら、

娘も意外そうに『いいかも』と言う。



今日は九州地方もずいぶん寒くなった。

このマフラー、明日から、私の首元を
温かくしてくれるかもしれない。

80歳近いおばあさんが私にグッドタイミングで
暖かさを運んできてくれた。

蓮4044 







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Last updated  2004年12月23日 23時20分59秒
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