退職
43歳になったあるご。先月をもって23年間勤めた小学校教諭を退職した。初めて『先生』と呼ばれた日のこと。今でも鮮明に覚えている。あれから23年。前だけを向いて走ってきた。40歳を超える頃から、そのスピードが徐々に遅くなり、昨年、ついに立ち止まってしまった。立ち止まって、自分自身を振り返ってみた。そこには、仕事も育児も家事も親孝行も何もかも満足にこなせていない自分が立っていた。自分が小学生だった頃、そのときの先生方の後ろ姿を見て、『小学校の先生になりたい!』と思い、勉強はあんまり好きじゃなかったけど、採用試験のときだけは必死で勉強して、なりたくてなりたくてなりたくてなった小学校の先生。未練がない・・・と言えば嘘になる。人に迷惑をかけないだけの体力と能力があればずっとずっと続けたかった。でも、最後の年を我が母校で教壇に立つことができたこと。かわいらしい1年2組27名を担任させていただいたことは、心から幸せに思っている。何も知らず、『先生、来年も担任してな。』と笑顔で言ってくれた子どもたちを心からいとおしく思う。4月からは、非常勤講師として、週10時間。新規採用者指導教官として勤めさせていただくこととなった。これからは、前だけを見て歩くのではなく、時にはよそ見もしながら、気持ちにゆとりを持って、のんびり・・・けれど一歩一歩を踏みしめながら、歩いて行きたいと思っている。