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カテゴリ:プログレッシヴ・ロック
それまでR&Bバンドをやっていたというフィル、デレク、レイのシャルマン三兄弟を中心に"新しい音楽"を求めて結成されたのだとか。 彼らは'70年に、名門レーベルであるVertigoからデビュー。 商業的成功には縁がなかったものの、技巧派ながら複雑な楽曲を分かりやすいタッチで聴かせる音楽性と演奏力は高い評価を受けた。 英国プログレ・バンドの中でも技巧派の筆頭として挙げる人も多く、現在でもマニアの間では根強い人気を誇る。 また、アルバム・ジャケットがいちいち強烈なのも特徴で、特にグリム童話に出てきそうなオッサンでおなじみの1st(下写真)などは、ファンならずとも見たことはあるかもしれない。 そして、グロテスクなタコがこれまた強いインパクトを持つ4thアルバム、その名もずばり『Octopus』は、彼らの代表作として知られる一枚。 個人的にも3rdの『Three Freinds』、7thの『Free Hand』と並んで大好きなアルバムだ。 ちなみにジャケット・デザインは、YESなどで知られるロジャー・ディーンである。 おさめられているのは全部で8曲。時間にして35分だ。 プログレとはいっても、ひとつひとつの曲がポップにコンパクトにまとめられているので非常に聴きやすい。 それでいてエキセントリックさや技巧派としての側面もしっかり表れている所がミソである。 めくるめく展開が面白いハード・ジャズ・ロック「The Advent Of Panurge」、超絶テクと変拍子炸裂のインスト・ナンバー「The Boys In The Band」、思わず「XTCじゃねえかよ!」と言いたくなるねじれポップ・チューン「Raconteur, Troubadour」、四声アカペラ・コーラスが楽しい「Knots」など、どの曲も魅力的。 その中でも、個人的ないちばんのお気に入りは、7曲目にあたる「Think Of Me With Kindness」だ。 演奏時間にしてわずか3分30秒というこの曲は、彼らの叙情的な一面があらわれた佳作である。 作、ヴォーカルはキーボード担当のケリー・ミネアだ。 クラシカルで穏やかなピアノ、ケリーのジェントルな歌声に心惹かれる。 リズム隊が加わる所などは、ポップでジャジーな気持ちよさがある。 リリカルな響きをたたえたオルガン、牧歌的なトランペットの音色も素晴らしい。このへんは中期ビートルズなんかにも通じるなぁ。 曲調がころころ変わる構成ながら、それを自然にさらりと聴かせてしまう所にもグループの力量が示されている。 「あれ? ここで終わり?」と思わされるエンディングも、後ろ髪が引かれる思いがしてヒジョーによろしい(笑 この密度の濃さとあっさり感のバランスが、曲の生命力にもなっている。 プログレ・ファンはもちろん、ポップス・ファンにもオススメできる素敵な一曲です この後も彼らは『The Power And The Glory』、『Free Hand』などの傑作を発表。 さらにその後は、(多くのプログレ・バンドがそうだったように)時代を生き抜くためのポップな音作りを指向していくが、迫り来る若手勢力には対抗できず、バンドは'80年に解散してしまった。 現役当時、本国イギリスではほとんど人気がなかったというジェントル・ジャイアント。 だが、残された作品はどれも質が高いし、今も風化していないと思う。 一時期出回った、再発CDも中古なら手に入りやすいと思われるので、興味をもたれた方は御一聴あれ。 つーコトで「Think Of Me With Kindness」を聴くにはここをクリック! ポップで心あたたまる一曲やねぇ(´ー`) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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