この因子が複雑に絡み合って肥満がおこるとみられています。
1.過食
過食によって摂取エネルギーが過剰になると、
体に代謝異常がなくても貯蔵エネルギーを増やすように働き、
体脂肪が増えていきます。
2.誤った食事のとり方
食事回数や食事時間が肥満に影響しています。
1日2食の欠食型や、1日の食事量の半分以上を夜に食べる
夜食症候群も肥満につながる食事のとり方です。
3.遺伝
これは肥満体という形質が遺伝するのではなく、
体脂肪をある一定量まで蓄えられるという能力が遺伝します。
そのため太りうる遺伝因子をもった人が、
栄養を取りすぎると初めて肥満体になります。
4.運動不足
運動不足になると、基礎代謝が減少し、
貯蔵エネルギーが増えやすくなります。
また、インスリンの分泌状態が乱れ、
脂肪蓄積に傾いた代謝状態が作られるため肥満となります。
5.熱産生障害
脂肪細胞には、エネルギーの貯蔵庫として働く白色脂肪細胞と、
熱産生を行う褐色脂肪細胞とがあります。
この褐色脂肪細胞が適切に働かないと消費エネルギー減少型の
体質をつくって貯蔵エネルギーを増やすので、
肥満の成因になる可能性があります。
肥満治療の原則は、エネルギーを長期的かつ継続的に
負のバランスに保つことにあります。
過剰に蓄積された脂肪をエネルギー源として再利用し、
減量を図ります。
脂肪1gの持つエネルギーは9キロカロリーですが、
体脂肪1kgを燃焼させるためには
7千2百キロカロリーの赤字状態を作ればよいことになります。
1日約千キロカロリーのエネルギー不足状態を作れば、
週に1kg、月に4kgの減量が図れるはずです。
減量には運動療法と食事療法を併用することが必要です。
運動療法としては、いつでもどこでも、
1人でも行えることが必要です。
1万歩の歩行運動は約2、3百キロカロリーのエネルギーを消費します。
1週間に千キロカロリー以上の運動をすることが
成人病の予防に役立つといわれていますので、
1日1万歩を歩けば、1週間でこの水準を
軽く上回る運動量に達するという
すばらしい効果のあることが分かります。
食習慣の改善としては、ゆっくり食べること、
ながら食いをしないこと、夜遅く食べないこと、
一度にたくさん食べないこと、つまみ食いをしないこと、
1口20回以上かむことなどです。
またできるだけ足を使い、階段を利用するなどして、
生活習慣にも気を付けましょう。
減量を始めて1、2週間は思うように体重が減少しますが、
3、4週間経つとペースが鈍くなります。
この時期焦らずに続ければ、再び体重が落ち始めます。
短期間に急速減量を試みる方法は、
体重のリバウンドを起こしやすいので、
長期的に徐々に減量していく方法がよいでしょう。
減量の目指すところは、余分な脂肪を分解、
燃焼することにあります。
運動療法、食事療法を上手に取り入れて、
成人病の予防に役立ててください。