人の体重の50~60%は水分が占め、次いで多いのが脂肪分(体脂肪量)です。
脂肪分の体重に占める割合(体脂肪率といいます)が、男性で20%、女性で25%を超えると『肥満』と判定されます。
体の脂肪量は、生体電気インピーダンス法や二重X線吸収法といった機器によって正確に測定できますが、身長と体重からでも簡単に推定できますから、時々チェックするのが肥満予防の第一歩です。
現在、体脂肪量の推定によく用いられているのは「体格指数」(Body Mass Index、略してBMI)です。
計算式は 体重(kg)÷ [身長(m)×身長(m)] です。
例えば、Aさんの体重が75kg、身長1m65cmとすると
75(kg)÷[1.65(m)×1.65(m)]
となり、《27.6》という数値が出てきます。
日本肥満学会では、体格指数の理想値を《22》とし、その20%以上、つまり《体格指数26.4以上》を肥満と決めていますから、Aさんは明らかに肥満で、減量しなくてはなりません。
脂肪の量だけでなく、蓄積している場所も重要です。
皮下に脂肪がたまる「皮下脂肪型肥満」よりも、腸間膜に脂肪が蓄積する「内臓脂肪型肥満」の方が、糖尿病、高脂血症、高血圧、虚血性心臓病などを起こしやすく、より危険だからです。
肥満の基準《体格指数26.4》以下でも、しばしば内臓脂肪の蓄積がみられる方がいます。
確かに体格指数では太っていることになりませんが、たまっている場所が問題で、この場合は内臓脂肪型肥満と同様の注意が必要になります。
一方、「至適体重」(ベストウェイト)という考え方があることも知っておいてほしい点です。
身体活動に最も適した体重、つまり仕事や運動をする時に最も活動しやすい体重を意味しています。
これは、少々太っていてもよく運動をしている人は、少ししか運動しない標準体重の人に比べて死亡率が低い、という事実に基づいています。
要するに、毎日を楽しく、快適に暮らし、活発に仕事をこなせる体重が、その人にとってベストということなのです。