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カテゴリ:教授の読書日記
今年もあと10日足らずになりました。そろそろ恒例の「今年読んだ本ベスト」の発表と参りましょうか。ではまず第5位から。
第5位:ピーター・スワンソン著『そしてミランダを殺す』 そしてミランダを殺す (創元推理文庫) [ ピーター・スワンソン ] 今年もあまり娯楽的な本は読めなかったのですが、そんな数少ない娯楽読書体験から1冊。奥さんの浮気が元で、この奥さんを殺してやろうかと思い始めたある男が、空港のVIP待合室である若い女性と意気投合、この娘さんに奥さんの浮気と自分の殺意のことを話したら、「じゃ、私が代わりに殺してあげる!」的なことを言われてその気になって・・・、という話。でまた、この娘さんが殺人の天才なんですけど、この娘さんの方にも殺人を引き受ける必然があって、その辺から話が面白くなっていくというね。男の視点と娘の視点が交互に描かれる方式も面白かった。 第4位:佐藤優著『国家の罠』 国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて (新潮文庫 新潮文庫) [ 佐藤 優 ] 先輩同僚に勧められて読んだのですが、確かに面白かった。外務省の闇がよーくわかります。 第3位:荒川洋治著『文庫の読書』 文庫の読書 (中公文庫 あ96-2) [ 荒川洋治 ] 本のことを語らせたら、荒川さんの右に出るものはないですなあ。荒川さんが紹介するだけで、その本がどうしても読みたくなる。文芸時評だの、書評だのをやる上で、荒川さんの書き方は参考になります。ま、参考になっても、荒川さんのようには書けないんですけどね。 第2位:アイン・ランド著『水源』 【中古】水源 /ビジネス社/アイン・ランド(単行本) 若き天才建築家のビルドゥングスロマン。まあ、面白い。高尚な文学ではなく、世俗的な文学として圧倒的な面白さ。ディケンズ的な面白さと言ったら、少々買いかぶり過ぎか。 第1位:ジョセフ・ピース/アンドルー・ポター著『反逆の神話』 反逆の神話〔新版〕 「反体制」はカネになる (ハヤカワ文庫NF) [ ジョセフ・ヒース ] カウンター・カルチャー批判の本。私はもちろん、カウンター・カルチャーを高く評価する側の人間なんですけど、これを読んだら、あまりに鋭い批判であり、かつ、御説ごもっともだったので、ぎゃふんと言わされてしまった。たしかに、カウンター・カルチャーというのは、反体制とはいいながら、一枚岩ではないし、詰めの甘いところ、自己矛盾したところに満ちている。そういうところを、これほど鋭く突かれてしまったら、なかなか立ち直れない。カウンター・カルチャーを讃えるのであれば、その前にまずこの本を読んで、自省しないとダメって感じ。参りました。 ま、そんな感じですかね。 ついでに、今年読んだ本のワーストも記しておきましょう。今年読んだ本で、一番のク〇だったのは・・・ ワースト1位:吉田修一著『さよなら渓谷』 そもそも主人公の名前が「尾崎俊介」っていうところからして実に気に入らん! ほんと、こんな小説にこの名前を使われて、腹立たしいったらありゃしない。 姉に「この小説、読んだことある?」って尋ねたら、姉曰く「あるけど、お前には読んだと言えなかった」と。 ま、著者は、少なくとも我が家からは出禁扱いだな。 とまあ、こんな感じ。今年もまた、自分の本を書くので手一杯で、仕事関連の本はそこそこ読んだけれども、それ以外となると、あまり自慢できる読書体験はしていない。来年こそは、もう少し心と仕事に余裕を持ち、自分の楽しみのための読書を充実させるようにしたいものであります。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
December 23, 2023 12:21:52 AM
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