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釈迦楽

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December 26, 2023
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カテゴリ:教授の読書日記
鈴木秀子著『9つの性格 エニアグラムで見つかる「本当の自分」と最良の人間関係』(PHP文庫)という本を読了したので、心覚えをつけておきましょう。

 この本は、副題にもある通り、エニアグラムについての本。最近、「MBTI」という性格診断が話題で、私も試したことがありますが(私は「主人公キャラ」だそうですが)、エニアグラムってのはあれのもっと奥深いヤーツーね。

 ちなみに、何でアメリカ文学者の私がエニアグラムについての本を読んでいるかと申しますと、エニアグラムって、アメリカ1970年代の「ヒューマン・ポテンシャル運動」に非常に関連が深いから。

 ヒューマン・ポテンシャル運動とは、人間の能力をもっと高めようという志向の運動だったのですが、その一環として、色々な方法が試された。その一つが「アリカ・トレーニング」という奴で、これは南米ボリビアの精神指導者オスカー・イチャソが開発した自己啓発法なんだけど、そのアリカの中で使われた性格分析がエニアグラムだったのよ。で、それを弟子のクラウディオ・ナランホがさらに理論化し、ヘレン・パーマーがアメリカに広めたので、今日まで伝わっているわけ。ちなみにオスカー・イチャソはエニアグラムの原理をロシアの神秘学者ゲオルギイ・グルジェフから得ており、グルジェフはそれをイスラム思想から得ているので、エニアグラムの原理ってのは、千年以上の歴史がある、ということにもなる。なかなか深いものがあるわけね。
 
 さて、肝心のエニアグラムですが、本書によると、人間の性格というのはきっちり9つに分類できると。これはもう、「人間は男と女に分類できる」というのと同じくらい、基本的にそれ以外はない、という話なのね。しかも男と女の比率がほぼ同率であるように、9つに分類された性格を持った人類はほぼ同数いる。仮に世界人口を72億人と仮定すると、9つの性格が8億人ずつ存在する、ということね。

 つまり、世界は9つの性格を持った人々によって構成されている、非常に豊かなものであると。エニアグラムは、人類に9つの性格があることを、多様性のある豊かなものであると捉えている。そこが面白い。

 で、MBTIだとか血液型分類とか、そういうのとは異なりまして、エニアグラムというのは、個人の性格を分類すること自体に意義を見出しているわけではありません。そうではなくて、自分が9つの性格のうちのどれに当てはまるかを自覚した上で、その長所と短所を認識し、長所を伸ばし、短所をある程度矯めることで、より完全な人間になることを目指すと同時に、自分と異なる性格を持った人々と、どううまく付き合っていくかを自覚的に考えることを促す、というところに意味があると考えているわけ。

 つまり、エニアグラムは、自己啓発思想なんです。

 ちなみに、自分がどの性格分類に所属するかは、テストによって判明するのですが、多分、私は「タイプ4」だと思う。

 ちなみにタイプ4のプロフィールは「特別な存在であろうとする人」なんですと。曰く「自分が特別な人間であることを自負しており、何よりも感動を大切にし、平凡さを嫌う。他人より悲しみや孤独などを深く味わえると感じており、思いやりがあり、人を支え励ますことを好む。また自分をドラマの中の訳者のように感じており、立ち居振る舞いからファッションまで洗練された感じ、表現力豊かな印象を他人に与える。「特別な存在である」「ユニークだ」「深い感動を味わえる」ということで満足感を得る」と。

 というと、なんかいいことばっかりみたいですけど、タイプ4には固有の欠点がある。エニアグラムの用語では「囚われ」というのですが、それは何かというと、「平凡さを避ける」ということ。曰く、「タイプ4は、平凡であることを避け、自分のことを他人とは違った特別な人間だと思いたいという「囚われ」がある。自分の感受性に自信をもっているので、感性の世界に入り込み、現実を無視する傾向がある。またその豊かな感受性ゆえに周囲の理解が得られないと感じ、それが疎外感のレベルまで達すると、欝状態になりやすく、引きこもろうとする。自分の特別視ゆえに、現実に満足することができず、いつでも”本当の人生はこれから始まる”と感じている。常に深い感動を求めるその姿勢は、洗練されたイメージと共に、大げさでお高くとまった感じを周囲に与える」ですと。なるほど。

 こういう「囚われ」は、タイプ4の性格を持った人が後天的に獲得しがちな習性なんですな。

 ちなみに、エニアグラムでは、9つのタイプを3つのカテゴリーに分類しております。タイプ8・9・1は「本能センター」、タイプ2・3・4は「感情センター」、タイプ5・6・7は「思考センター」という大分類に属し、特にタイプ9・3・6のように、それぞれのセンターのど真ん中にいる人は、なかなか他のセンターの性格を獲得することができない。一方、タイプ4は、自らは「感情センター」に属するものの、「思考センター」の隣に位置するので、思考センターの人たちとは共鳴しやすいと。

 なるほどね!

 さて、こんな感じで自分がどの性格なのかが判明した後は、これを元にして自己改善を図らなくては!

 で、エニアグラムの凄いところは、9つそれぞれの性格について、どういう風に自己改善をすればいいか、明確に規定しているところ。

 これはエニアグラムの図を見ると一目瞭然なんですけど、たとえばタイプ4は、タイプ1の長所、すなわち「私は勤勉である」という方向に努力すると、好結果が生まれる、という風になっているんですな。逆に言うとそこがタイプ4の弱点なので、その弱点をカバーするように、タイプ1の方に寄っていくように努力すると、よりタイプ4の良い面を伸ばせると。

 そう、エニアグラムは、各性格の短所を取り除くのではなく、別なある特定のタイプの方向に向かうよう、努力せよ、とアドバイスをしているんです。なぜなら、各タイプの短所は、そのタイプの原動力にもなっているから。それを取り除くのは意味がない。そうではなくて、一番欠けている方面へベクトルを向けることで、全体のバランスを整えることを目指すわけ。

 だからね、エニアグラムを勉強すると、自分がどういうことに注意すれば、より円満な人格を得られるかがものすごく明確に把握できる。そこが凄いところなのよ。

 で、さらに、このことは単に自分の性格を矯正するということだけではないのね。そうではなくて、自分が接する人、たとえば会社であれば上司・同僚・部下がいるわけですが、その上司や同僚や部下がどのタイプであるかを把握すれば、そういう連中の性格的な傾向が分かり、それを踏まえて接することができる。そうすれば、彼らに対してどうやってアプローチすると、一番実りの多い協力関係を築けるかが明確に分かるんです。

 ちなみに、私・タイプ4が会社の部下だったとしたらどんな人物か、本書から抜いてみましょうか。

 「タイプ4に服従という概念はない。彼らにとって、企業で働くというのは、自分の能力が認められ、その能力によって企業に貢献することを意味する。彼らの意識の中では、企業と自分は、対等なギブアンドテイクの関係にあるのだ。
 彼らが、従順に従うのは、彼ら自身がとびきり高いステイタスを有すると認める相手に対してだけである。高いステイタスの条件は、地位、能力に申し分なく、感性やライフスタイルの点で高貴さをもっていることだ。タイプ4は、こうした権力者に深い尊敬の念を抱き、自分のユニークな才能を認めてもらい、世話を焼かれたいと思っている。彼らにとっては「選び抜かれた人々から選ばれる」というのが無上の喜びなのだ。自分が、その質を認めた人間に愛されたいと思っているのだ。
 その一方でタイプ4は、”小さな権力者”を無視する傾向がある。小さな権力者とは、能力的に自分より劣るが、地位として、自分より高い上司である。
 こうした志向を持つタイプ4を管理するのは至難の業だ。上司を小さな権力者と見なせば、それを避ける。彼らは、通常のルールは自分に該当しないと考える傾向があるので、「みんなやっていることだから、君だけわがままを認めるわけにはいかない」という叱責はぴんとこない。(後略)」

 いやあ、エニアグラムめ、ワタクシのことがよく分かっているじゃないの!! で、タイプ4はこういう奴だから、もし彼が熱心に働いていないのであれば、自分が認められてないと思っている証拠だから、上司としては、まずタイプ4の魅力的な部分を評価するところから始めるのが上策。なぜなら、自分を評価してくれる上司には、タイプ4は心を開くから。しかもタイプ4は、褒められて図に乗るタイプではないので、そこを心配する必要もないと。

 とまあ、そんな風に「まず褒め作戦」でやれば、タイプ4の人間を、掌の上で転がすことができると。いやはや、まいった、まいった。

 ね。だから、エニアグラムは自己改善であると同時に、非常にシンプルかつ明確な人間関係改善策でもあるわけですよ。

 で、そういう人間関係改善というのは、それこそ1970年代的テーマであって、たとえばエンカウンターグループとか、ゲシュタルト療法とか、この時代に流行した様々な精神療法も、根本的にはこの人間関係改善というところに収斂するわけよ。

 ま、エニアグラムが出てきた背景は、ちょっとインチキ臭いところもなくはない(例えば、オスカー・イチャソなんかも、エニアグラムのアイディアは天啓的にひらめいた、とか言っているわけだし)、根拠がしっかりしているのかどうか、よく分からないんだけれども、それが効果的かどうかとなると、明らかに効果的なんですな。神秘的だけれども効果的。だからこそカトリック教会がこの考え方を採用していたりするのであってね(本書の著者・鈴木秀子さんもカトリックの修道女だし)。

 というわけで、エニアグラムというのは、非常に面白い考え方、方法論なんだけど、この本を読むと、その面白さが手っ取り早く分かります。私も読んで非常に役立ちました。教授のおすすめ!と言っておきましょう。

これこれ!
 ↓

9つの性格 エニアグラムで見つかる「本当の自分」と最良の人間関係 (PHP文庫) [ 鈴木秀子 ]





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Last updated  December 26, 2023 10:57:35 PM
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ジェシカ@ Re[1]:オコナーの未完の小説(09/05) 釈迦楽さんへ ご返信ありがとうございま…
釈迦楽@ Re:オコナーの未完の小説(09/05) ジェシカさんへ  未完のものとして、『C…
釈迦楽@ Re[1]:恐ろしいほどの退歩(09/05) よびなみさんへ  あの奇想天外な数え方…
ジェシカ@ オコナーの未完の小説 すみません、話はずれるのですが、Jessica…
よびなみ@ Re:恐ろしいほどの退歩(09/05) 本題からは外れた感想になってしまいます…

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