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カテゴリ:教授の読書日記
多井学さんが書かれた『大学教授こそこそ日記』なる本を読了しましたので、ちょいと心覚えを。
これ、『交通誘導員ヨレヨレ日記』をはじめとする三五館シンシャから出ている一連のシリーズの一環として出ているもので、色々な職業の人の実体験から、外部からはなかなか見えないその職業の裏側というか、苦労話を暴露的に書くという本。私も前に『出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記』というのを読んだことがあって、それはそれで結構面白かった。で、今回の『大学教授こそこそ日記』ですが、これは先輩同僚のアニキことK教授からおススメされ、はい、と手渡されたもの。アニキに手渡されちゃったら読むしかないんでね。 これこれ! ↓ 大学教授こそこそ日記 (日記シリーズ) [ 多井 学 ] さて、著者の多井学さんですが、これはもちろん身分バレを隠すためのペンネームであって、本名は別。上智大を出て、アメリカとカナダの大学・大学院を出た国際関係論の先生で、長野県のS短大に就職したのを始め、そこから国立の徳島大に移籍、さらにそこから関西学院大学に移籍して今日に至る、という経歴。ここまでわかれば、ちょっと調べれば本名はすぐに分かります。本もそれなりに出されている人ですね。専門書もあるけど、「大学教授になる方法」的な本もある。どの道、この手の本が書きたい人なんですな。 で、3つの大学、それも弱小私立短大、地方国立大、メジャー私立4大と、それぞれ異なるタイプの大学に勤めたことがあるというのがいわば強みで、それぞれの大学に勤めていた時期に経験したことを、面白おかしく書いている。それを読むと、それぞれの大学に特徴というか、くせがあって、そういう癖のある職場に適応しながら生きる大学教員の生態がよく分かります。 特に、私自身が国立大学に勤めているので、多井さんが徳島大学に勤めていた時の話はすごくよく分かる。となると、弱小私立大学に勤めている人、メジャー私立大学に勤めている人、それぞれ、この本を読むと「ある、ある!」となることでしょう。同業の人間からすれば「ある、ある!」だし、大学というところに関係がない人が読めば、「へえ、大学教授って、そういう職業なんだ」というのが分かるかも知れない。 ま、そんな感じで、「ある、ある!」と思いながら、軽くさらっと読んじゃった。 もっとも、最後のところで、多井さんが奥さんを亡くした経緯と、その後の辛い生活のことがちらっと書かれていて、愛妻家が妻を亡くすとこうなるんだ、というところがあり、そこはちょっと可哀想。私も愛妻家の一人として、奥さんには自分より長生きしてもらわないといかんなと、あらためて思った次第。 ということで、読んで特にためになるという類の本ではないけれど、大学教授の方、あるいは大学の先生になりたいなと思っている方には面白い本かもしれません。その程度のものとして、おすすめ、と言っておきましょうかね。 大学教授こそこそ日記 当年62歳、学生諸君、そろそろ私語はやめてください/多井学【1000円以上送料無料】 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
January 20, 2024 01:20:33 PM
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