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テーマ:暮らしを楽しむ(388255)
カテゴリ:教授の雑感
かつて「英文科」などというワードが輝いて見えた時代とは異なり、今の大学でアメリカ文学を読む授業なんてほとんどないのですが、それでも私は年に一コマだけ、「Intermediate English」なる授業の中で、細々とアメリカの短篇小説を読む授業を行っております。
だけど、そういう時に悩むのがテキストの選択。 私が学生だった頃は、色々な大学テキスト出版社から、英米の短篇小説をセレクトした教科書が沢山出ていて選びたい放題だったのですが、今はもうTOEIC対策の教科書とか総合英語の教科書ばっかりで、英米短編集なんて絶版ばかり。値段も上がってしまったし。 だもので、私の授業では色々なアメリカ作家の短篇を、こっちの本からこの作品、あっちの本からあの作品といった具合にコピーし、学生に配っている始末。 だけど、受講生が10人前後ならそれでもいいのですが、たまに30人くらい受講する場合があって、そうなるとその都度テキストを30人分コピーするのは面倒なのよ。 で、煩雑なコピー作業をしているうちに、もう、自分でテキストを作っちゃおうかなと思いまして。 もちろん、ISBNのついた本格的な本にすると、版権を取るとかどうとか、面倒くさいことになるので、ただ私がセレクトしたアメリカ短編小説をコピーしたものを綴じただけのものにする。そういうのを100部か150部くらい作れば、私が定年を迎えるまでの数年、この授業で使う分は賄えるだろうと。そして印刷・製本は業者に任せ、研究費で支払って、完成したブツは実費で受講生に配ると。 ふうむ。なかなかいいアイディアでないの。 しかしそうなると、どんな短篇小説をセレクトするかが、楽しい悩みとなる。 一つの学期中に読める短編小説の数はたかが知れています。せいぜい3つか4つ。しかし毎年同じ短篇を読むのはかなわないので、せめて10篇か12篇くらいを選んでおいて、その年その年で読むものを変えたい。じゃあ、どれを選ぶか? まあ、ヘミングウェイは入れたいよね・・・。「インディアン・キャンプ」か「医師とその妻」あたり。スタインベックなら「菊」か「蛇」、フォークナーなら「あの夕日」か「エミリーへの薔薇」。 ケイト・ショパンなら「デジレの赤ん坊」か「一時間の物語」、ジョン・チーヴァ―なら「リユニオン」あたりか? オコナーなら「善人はめったにいない」、サリンジャーなら「エズメ」か「フラニー」あたり? アンダスンなら「つかれなかったウソ」、シャーリー・ジャクソンなら「くじ引き」、ポール・ボウルズなら「あなたはわたしではない」かな。 ヘンリージェイムズなら断然「荒涼のベンチ」だが、あれは長すぎるか。ナサニエル・ホーソーンなら「ラパチーニの娘」か「あざ」だけど、あれは英語が難しすぎるか。もちろん、メルヴィルなら「バートルビー」だが、これも難しいかな? サローヤンなら「空中ブランコに乗った大胆な若者」か。 その他、ポーなら? O・ヘンリーなら? カーヴァーなら? と楽しい想像は続きます。 版権切れ気味で、長くなくて、英語が易しくて・・・という幾つもの条件を睨みながらのセレクト。まあ、実現は1年後でもいいので、時間はまだある。この間、色々想像して楽しむことにいたしましょうかね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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