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カテゴリ:教授の読書日記
坂口恭平さんの書いた話題の本、『生きのびるための事務』を読了しましたので、心覚えをつけておきましょう。
これこれ! ↓ 生きのびるための事務 [ 坂口恭平 ] あのね、読んでビックリしたんだけど、この本、ものすごく良い本でした。出色の自己啓発本と言っていい。日本で唯一の自己啓発本研究者であり、かつ、基本、ベストセラーは読まない主義のワタクシが言うのだから間違いない。誰にとっても一読に値する名著とみた。 まず驚くのは、これを読むと、「事務」という概念が一変するということ。クリエイティブな仕事は好きだけど、事務は・・・などという、通俗的な事務概念がいかに間違っているかということがよく分かる。 本書曰く、社畜となって給料をもらうだけの人生に、事務は必要ないと。事務が必要なのは、クリエイティブなこと、自分の好きなことだけをやって人生を冒険しながら過していきたいと思っている人のみ。 だけど、そんな夢みたいなこと、誰にでもできるわけないじゃん! と思ったあなた! あなたこそ、この本を読まなくちゃ! 自分に才能があるのかないのか、そんなこと、誰にも分からないわけですよ。他人にはもちろん分からないけど、本人にだって分からない。だから、自分に「人から高く評価される才能があるかないか」にこだわっていたら、クリエイティブな人生、冒険的な人生に足を踏み出すことなんて、まあ、無理。 だけど、そこに「事務」を導入すると、その一歩が踏み出させるようになる。なぜなら、才能があるかないかではなく、自分がやりたいこと、好きだという理由でやり続けたいことを、実行に移すための、唯一のノウハウが事務だから。 自分に対する不安、そして先行きの不安は、事務を導入することで物理的に解消することができる。そのことを、本書は雄弁に、説得力をもって、読者に伝えてくれます。実際、何者でもなかった坂口さんは、事務によって、自分の好きなことだけして生きていく術を整えたわけですからね。 しかし、そう言ってしまうと、坂口さんがうまく行ったのは、坂口さんに客観的に才能があったから、ということであって、誰もが同じ方法でうまく行くとは限らないじゃん? という疑念も浮かび上がってきますが、いや、この本が主張しているのは、そういうことじゃなくて・・・という話になって、堂々巡りになるところはある。 だけど、本書を正しく読めば、この本は確かに、地に足の着いた「夢の実現法」にはなっていると思います。本書を読むと、ワクワクしますよ! このワクワク感こそ、良質の自己啓発本の証拠。 実際、事務仕事嫌いのワタクシ、書類を書くことがこの上なく嫌いなワタクシが、これほどまでに事務という概念に魅了されるとは思ってもいなかったです。ほんと、まさに意識革命って感じ。少なくとも、ワタクシにはとてもいい勉強になりましたし、ワタクシ自身が次の本の戦略を立てる際の参考には大いになりました。 っつーことで、この本、ベストセラー嫌いのワタクシにしては珍しく、熱烈おすすめ!と言っておきましょう。 生きのびるための事務 [ 坂口恭平 ] お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
September 18, 2024 04:29:14 PM
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