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カテゴリ:教授の読書日記
今話題の新書、三宅香帆さんの『なぜ本』を読みました。
とっても売れているようで、読書メーターの登録数も6000近い。感想だって1300越え。まあ、話題の本って感じですよね。 だ・け・ど。 一言で言って期待外れ。昨日読んだ『生きのびるための事務』とは好対照で、学ぶところがなかったわ~。 だってさ、この本、内容から言ったら、単なる「日本の自己啓発本出版史・自己啓発思想史」ですよ。 だけど、そういう風に見ると、まったく新味がない。そういう本であれば、牧野智和さんが『自己啓発の時代』とか『日常に侵入する自己啓発』という本で既にやっている。その単なる焼き直しよ。本書が引用しているような本は、私はほぼ全部読んでいるので、「ああ、あの本からアイディアを借りたのね」という感じで、すぐにお里が知れるような話ばっかり。オリジナルなものが一つもない。 でまた、自己啓発本を必要悪と見なして、そういうものが流行ってしまう日本の労働システムを批判するというスタンスも、牧野さんらの先行研究とまったく同じ。だから、新味がまったくないのよ。自己啓発本の面白さも、価値も、まったくわかってなさそうだし。 で、肝心の「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」の答えは、「日本人が働きすぎるから」で、その対処法としては、「あんまり一生懸命働かないようにすればいい、そうすれば本を読む余裕も生まれるから」って・・・。 まあ、アレだよね。ウクライナ戦争の解決法として、「みんなもっと仲良くすればいいと思う」と提案するようなもんだから。小学校3年生の学級会で、責任感ある女の子が手を挙げて言うようなレベル。そんなことができるものなら、っていう。 いやあ! ビックリだよ! これがベストセラーなのか! わかんないな~。なんでそういうことになるの? 別に面白い本じゃないのに。 ということで、ワタクシにはまったく響かない本だったのでした。教授のおすすめは、なーしーよ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
September 19, 2024 02:00:12 PM
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