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釈迦楽

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November 2, 2024
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カテゴリ:教授の読書日記
ジュリア・キャメロンが書いた自己啓発本のロングセラー、『ずっとやりたかったことを、やりなさい。』を読了しましたので、心覚えをつけておきます。


これこれ!
 ↓

新版 ずっとやりたかったことを、やりなさい。 [ ジュリア・キャメロン ]


 これ、読み始めてすぐに「ん?」となったのですが、一般向けの自己啓発本じゃないですね。

 じゃあ誰向けの自己啓発本かと言いますと、「クリエイター向け」。 

 いや、そうじゃなくて、「本当は小説家とか、映画監督みたいなクリエイターになりたかったんだけど、そうならないまま、批評家とか、大学教授とかになっちゃった人向け」だな。

 クリエイターになるって、大変だからね。作品を生み出せば、当然、批評の対象となって、クソミソに貶されたりする。特に最初のうちはね。

 で、その最初の試練が怖くて、自らクリエイターになれなかった連中の中に、そのルサンチマンから、逆にクリエイターを批判する側に回る人がいる。つまり批評家とか大学教授とかね。そういう連中は、「もしオレが小説を書いたら/映画を制作したら、もっといい作品が作れる」とどこかで思っているもんだから、当然、他人の作品をやっつけがちになる。特に才能ある若手が最初に作った作品に対しては厳しくて、酷評し、才能の芽をつぶしにかかると。

 で、ジュリア・キャメロンは、こういう「クリエイターになれなかった人」向けにこの本を書いたんですな。そんな、しょーもない若手イジメなんてしていないで、本当は自分自身が「ずっとやりたかったこと」をやりなさいよと。

 そういう本。だから、一般人向けの自己啓発本ではなく、クリエイターになりそこなった人に、「今からでも遅くない、クリエイターになりなさい」とすすめる本だったのでした。

 まあ、ジュリア・キャメロン自身、批評家とかにイジメられ、芽をつぶされそうになった挙句、どうにかこうにか脚本家・映画監督になりあがった人なので、その経験からこういう本を書いたのでありましょう。

 で、じゃあ、どうすればクリエイターになれるのか。この点について、本書全巻を通じてキャメロンが提唱しているのは、たった2つの方法のみ。気になるでしょ?

 一つは「モーニング・ページ」。もう一つは「アーティスト・デート」。この2つだけ。

 じゃあ「モーニング・ページ」とは何ぞや?と言いますと、朝、起きぬけに、手書きで(パソコンじゃダメよ)真っ白なノート3ページ分に、何でもいいから文章を書く。まとまった文章でなくても、その時、心によぎった考えをそのまま、思考の流れを自動筆記するみたいにして書く。3ページ分、ノートが埋まるまで書く。

 一方「アーティスト・デート」というのは、1週間に一度でいいから、2時間とか3時間程度の時間を費やして、ふらりと散歩に出たり、美術館に寄ったり、行ったことのない街を訪れて気になった店に入ったりすること。つまり、何か自分のアーティスト魂を刺戟するような体験をする時間を設ける、ということですな。

 はい、この2つだけ。この2つ(特に「モーニング・ページ」)を自分に強制し、1年とか2年とか続けていくと、あーら不思議、いつの間にやらあなたはずっとなりたかったクリエイターになっていますよ、と。

 え¨ーーーー、そうなの~~?!

 ではなぜそうなるかと言いますと、キャメロン曰く、クリエイターというのは、特殊な才能をもった一群の人たちの謂いではなく、人類全体のことだから。この世に生まれた人間は、本来、全員が全員、クリエイターだ、というのですな。もちろん、すごいクリエイターと、そうでもないクリエイターはいるけれども、クリエイターであるという意味では等価。それに、総じていえばすごいクリエイターが高い評価を得るとはいえ、そうでもないクリエイターが好き、という人だっている。

 そういえば永野が言っていたなあ、「ゴッホより、普通に、ラッセンが好き!」と。あれは、ひょっとすると、非常に深い真理を言い当てていたのかもしれません・・・。

 で、さらにキャメロン曰く、人間はみなクリエイターで、クリエイトすることを欲しているのだけれど、その一方で、自分のやりたいことをやることを恐れていると。この恐れが、自分を「ずっとやりたかったこと」から引き離す原因になっているわけね。

 なぜなら人間というものは、「失敗するのではないか」と恐れる以上に、「こんなことをしていたら、成功してしまうのではないか」ということを恐れているから。だから、せっかく神様が、その人の創造力を発揮させようとチャンスを恵んでくれている(こうした天与のチャンスのことをキャメロンは「シンクロニシティ」と呼ぶ)のに、それを無視したりする。キャメロンは言います、「人は、神がいないことよりも、いることの方をはるかに恐れている、というのが私の感想だ」と。

 うーん、この考察は深いな。

 で、この恐れを克服するためにどうしても必要なのが、「モーニング・ページ」であると。

 つまり、「モーニング・ページ」ってのは、天から降ってくるシンクロニシティと同調する恰好の方法だから。人は誰しも無心になって、恐れなく、真っ白なページに文字を埋めていく過程で、天与のクリエイティビティに気づくことになるから。遅かれ早かれ、必ずそうなる。何となれば、才能というのは、生れつくものではなく、こうやって降ってくるものであるから。

 ま、これが本書のアルファであり、オメガね。かくして、才能というものが、特権的なものではなく、民主的なものになったのであります。

 どう? 賛同した?

 私は・・・賛同するね。最初、大したことない本かと思っていたけど、ところどころ、唸るようなことが書いてある。それに、クリエイティブな才能というのは、誰にも降ってくるものだ、だからそれを受け取る気になれば、誰でも受け取れるものだ、という考え方は、ポジティヴでいいじゃない。

 というわけで、私はキャメロン教の信者となり、明日、朝起きた時からモーニング・ページ書くことにしました。私の主義は、「一応、何でも試してみる」だからね。

 どうせなら、それ専用のノートでも買って、それ専用の万年筆とか買っちゃおうかな。買えばやらざるを得なくなるじゃない? 前から欲しかった万年筆を買う、いいチャンスだし。

これこれ!
 ↓

【PILOT】パイロット キャップレス 万年筆 FCN-1MR (細字・中字)


 とまあ、本書はこういう感じの本だったのであります。だから、一般向けの自己啓発本ではないけれども、クリエイターになり損ねた大学教授(俺のことか?)には響く本ではあります。そういうものとして、教授のおすすめ! と言っておきましょう。


これこれ! 
 ↓

【中古】【全品10倍!11/1限定】ずっとやりたかったことを、やりなさい。 / ジュリア・キャメロン





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Last updated  November 2, 2024 12:45:37 PM
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