メナード美術館で「今井龍満展」に行く
昨日、美術展に行きたいという話をしましたが、結局、その欲望から逃れられず、今日は愛知県小牧市にあるメナード美術館に行って、現在開催中の「今井龍満展」を見てきました。これこれ! ↓今井龍満展 今井龍満さんのお父さんは今井俊満さんという人で、とても有名な画家さんなんですと。で、龍満さんは、お父さんの手伝いをするというので、一緒にフランスに行って、仕事を手伝ったりしながら、どうせならってんで現地の美術学校に通ったりもしたらしいのですが、そんなことをしているうちにちょこちょこっと猫の絵を描いてみたら、それがお客さんの目に留まって売れたと。 で、へえ、自分の絵って売れるんだ、とビックリしたりしている内に、自分も画家になってしまったと。 ちなみに、フランスで絵を勉強していた時、龍満さんが一生懸命、写実的な絵を描いてたら、先生に「お前は一体いつになったら自分のデッサンをするつもりなんだ」と怒られたと。 つまり、見たものを見た通りに書く写実だけやっていたのでは、いつまで経っても画家にはなれない。自分流にデフォルメするなり、なんなりしなければダメ、というのが、フランスの絵の学校の当たり前の方針だったんですな。面白いね。 で、現在の龍満さんですが、アクリル絵の具をタラ~っとたらしながら描線を描いていく「ポアリング」という手法で絵を描いておられる。絵具を上からたらしながら描くので、絵筆を使うのと異なり、タッチを完全に自分でコントロールすることができない。そこに偶然の要素が入り込むわけ。そこがまた面白いと。 で、そんな手法を使いながら、主として動物を描かれるのですが、これがね、なかなか見事なものでね。非常にカラフルなものなので、美しい色に飢えていた私には、ピッタリの展覧会でした。 それから、メナード美術館では、今回の今井龍満展に加えて常設展、すなわちメナード美術館が収蔵している絵画作品を展示する部屋もあるのですが、今回は、メナード美術館の収蔵品の中からどれを展示するか、ゲストである今井龍満さんに選んでもらったというのです。だから、常設展の方も今井さんの息がかかっていると。コレ、非常にいいアイディアですよね! で、今井さんが選んで、今井さんが選んだ作品にコメントを寄せている場合があるんですけど、このコメントが実に面白い。 たとえば、今井さんが選んだ展示品の中に、ピカソの絵があって、そこにはこんな要旨のコメントが書いてあった。昔、今井さんのお父さんがパリで修行をしていた時、たまたまピカソを見かけたと。で、今井さんのお父さんはピカソに「どうしたらあなたのような巨匠になれるんですか?」と聞いてみたと。 そしたら、ピカソが何と答えたか。「君も一万点くらい作品を描けば、巨匠になれるよ」と答えたのだそうです。 いやあ、面白いね。昔のパリだと、ピカソに普通に会えるんだ。で、ピカソはそういう答え方をするんだ。 その他、ルノワールは、昔は嫌いだったけど、最近はそうでもなくなった、とか、この画家は、昔住んでいた町の古本屋でたまたま画集を買って、以後、すごく影響を受けた、とか、この画家のことは全然知らなかったけど、今回、収蔵品の中から自由に選ぶとなった時に、パッと目に入って気に入ってしまったとか、そういうちょっとしたコメントが面白いわけ。 ということで、今回は今井龍満さんの展覧会も面白かったし、常設展も面白かったし、トータル、実に気持ちのいい時間を過すことができたのでした。やっぱり、根性で展覧会をサーチして良かった! いい気分転換になりました。