カテゴリ:社会・政治
今回は固い内容でごめんなさい。
今回のNHK内部告発事件をめぐって。 安倍氏と中川氏は言った。国際女性法廷を取り上げた番組が「明確に偏った内容だと思ったから、公正中立の立場で報道すべきと指摘した」、と。 でも誰が「中立公正」を決めることができるんだろう?このコメントから察するに、両者とも、自分の意見が「正しい」もしくは「偏っていない」と信じていることが伺える。でも、そもそも「偏っていない、公正中立」な意見を持っている人なんているんだろうか。みんな感情を持っている人間である以上、どんな意見にもある程度の主観は必ず入ってくる。人にはいろいろな見方がある。だから、全く「中立公正」な番組というのはありえない。もちろん、程度として「中立公正」に近い、というのはありえるとしても。でもこれも基準が難しい。だから「偏っている」意見を様々な場面から集めて、いろんな「偏っている」意見や視点を交えた番組を報道することが結果として「中立公正」になる、と考えたほうがいいと私は思う。何かに対して「偏っている」と決め付けることは、それ自体が一つの価値観を押し付ける行為だ。しかも、ただそこら辺の人が、「偏っている」と「指摘」するのとはわけが違う。議員はその立場から大きな影響力を持つ。それは権力の行使にもなりうる。 簡単に言えば、 Aさん 「私は漬物が好きだ。甘いから。」 Bさん 「私は漬物が嫌いだ。しょっぱいから」 Aさんの意見ばっかり取り上げてたら、まるでみんなが漬物を好きで、漬物は甘いかの様に思えてしまう。そこで、Bさんの意見を取りあげる。そうすると、漬物についての考え方が相対化される。でも、Bさんの考え方が削除されたら?もちろん、政治の問題と人の嗜好とは違う。でも人に嗜好がある限り、政治にも嗜好が影響することは否めないはずだ。上の例よりも政治の問題はもっとシビアで複雑。政治の場合、ある見解がある人を傷つける行為につながる場合が多いから。 彼らは、従軍慰安婦が「強制」なものではなかった、と信じている。でも当事者は「強制だった」と証言している。その従軍慰安婦問題が初めて裁かれたのが2000年の国際女性法廷。法廷は日本を有罪と判決、元慰安婦に対して賠償金を要求した。番組では元慰安婦の証言などが削除されたらしい。つまり、両議員は、証言部分を放送することが「偏っている」と考えたのだろう。この両議員の意見と同じ見解の人は多いのかもしれない。でも証言部分を削除した番組を「偏っている」と考える人もたくさんいる。だから、証言部分を削除した番組を放送したなら、証言部分を映した番組も放映するべきだ。今回の「政治介入」を検証するのも一つのやり方。でも、編集段階で削除した部分をこれからNHKで新たに放送することを私だったら提案する。それが結果として、「中正公立」になるはず。そのとき彼らがそれを拒否したら、明確に「政治介入」になるだろう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
January 16, 2005 12:29:44 AM
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