カテゴリ:社会・政治
海と自然が好きな人に。 その海は透き通っている。透き通っている海は、空の色を映す。雲の厚さ、水深、そして太陽の光の強さによって微妙なグラデーションを織り成す。そこは、サンゴ礁とジュゴンの海。 穏やかなさざなみしかない海岸の向こうに、一部分だけ白波が立っているラインが見える。この白波の立っている部分は、リーフと呼ばれる。このリーフの部分に、サンゴの群落がある。そしてそこに色鮮やかな魚たちが住む。もぐれば、とっておきの景色が見れるに違いない。それだけではない。このリーフ沿いに生息するサンゴは島を守る自然の防波堤でもあった。 ここの海は一年を通して水温20度以下には下がらないという。この海に、希少なジュゴンが住んでいる。ジュゴンは水温15度以上のところにしか住めない。ジュゴンが住むことのできる、最北端の海、といえる。 この海に、海岸から一キロほど行った所だろうか、4つの櫓(やぐら)が立っている。櫓というのは、建物を建設するときの足場に使われるパイプのような金属棒、つまり単管を組み合わせたもののこと。横幅、縦幅ともに3メートルはあるだろうか。それらは、特大のジャングルジムのように、海の上にたたずんでいる。単管には藻が生え、その下には既に魚が住み着いている。ハリセンボンに、キビナゴの子ども。 けれども、そんなのどかさとは対照的に、近くには不発弾。そしてそこには、烈しく、座りこみを続ける人々がいた。 何のために? ――人殺しをさせないために。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
March 21, 2005 11:11:39 PM
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