カテゴリ:日常
それは自転車に乗って家へ向かう途中のこと。 いつものことだけど、静かな夜だった。 家に近づいてきたとき、不意に猫の鳴き声が聞こえた。 声がするほうに目をやると、ちょっとやせた猫がそこにいる。 私の自転車の速度に合わせるように、ついてくる。 にゃあにゃあ鳴きながら、車輪に身を寄せてくる。 車輪に巻き込まれたら危ないなぁ・・・ そう思って、自転車の速度を緩めた。 あのねえ、悪いけど、ついてきても餌もなにもないよ? そこで立ち止まったら、猫は私の両足の間をすり抜けすり抜け、繰り返す。 なんだかかまってほしそうな感じ。 このままじゃ、家までついて来ちゃう。 うちは、猫飼えないんだよ・・・親が猫嫌いだからね。 家までは、あと100メートルだ。 そこで腹を決め、私は再び自転車に乗った。 猛スピードで、こぎ出す。 ついて来れないように、もう追いかけることができないように。 そして、猫も猛スピードで走り出した。 けれど、私には追いつかない。 猫の鳴き声がいっそう大きく聞こえてくる。 でも、もう振り返らない。 少し申し訳ない気持ちで家路に着いた。 ちょっとしてから、ごはんを食べている最中。 猫の甘ったるい鳴き声が聞こえてきた。 さっきの猫の声だ。 「春だからねえ。猫も恋の季節だね」 そう、親が言った。 ううん、ちがうよ。あれは、私を呼んでるんだよ・・・。 夜寝るとき。また猫の鳴き声が聞こえた。 ・・・まさか、まだいるの?私を探してるの?? すると、もう一匹の猫の声が聞こえてきた。 ・・・そっかあ、よかったね。相手を見つけたんだね。 そう思ったらなんだか安心して、とろとろ眠りに落ちていった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
April 17, 2005 04:10:18 PM
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