実質賃金の下落が過去最長を更新しましたが、そもそも日本国民の長期で見た実質賃金は、97年をピークに下落を続けています。
最大の理由は、もちろんデフレです。
デフレとは「総需要の不足」になりますので、付加価値の生産量が減っていきます。付加価値の生産=需要=所得であるため、国民は貧困化します。
例えば、
A:生産者が一日に(付加価値で)100円の製品を、100個生産した
場合、所得は一日1万円です。ここから、物価が10%下落したとします。すると、
B:生産者が一日に(付加価値で)90円の製品を、100個生産した
となります。所得は一日9000円に減りました。もっとも、物価が10%下落しているので、実質賃金は変わりません。
それでは、価格は100円のままで、生産量が90個に減ってしまった。この場合、
C:生産者が一日に(付加価値で)100円の製品を、90個生産した
となる。所得はB同様に9000円に減りますが、物価は下がっていないため、実質賃金は下落。
実質賃金の下落とは、生産性(生産者一人当たり生産量)低下をも意味しているのです。
また、実質賃金に影響を与える要因が、もう一つあります(※外部要因である消費税増税と輸入物価上昇は、ちと置いておいて)。労働分配率です。
企業の所得(粗利益)が増えたとしても、人件費に回す割合が下がっていくと、生産者の実質賃金は下がります。「これ」を政策的に推し進めてきたのが、90年代後半以降の日本政府なのです。
『企業の内部留保が過去最高の550兆円を突破…法人税が高い「昭和の経済システム」こそが最強だった!法人税を増税したほうが「賃上げに繋がる」意外なワケ
◆賃金は理由があって上がらなくなった
経済ジャーナリストが言う。
「大きなきっかけは、バブル崩壊や1990年代半ばの金融危機による不良債権処理に際し、株主構成の主役が企業間の持ち合いから外資など機関投資家に変わり、株主至上主義が色濃くなったことです。企業に配当圧力が強まり、最終利益をいかに多く出せるかに、経営の主眼が置かれるようになったのです。
これにより経費がシビアになって、仕入れコストと人件費が抑制的になり、経営が苦しくなった中小企業では、賃上げ原資の捻出すら苦労するようになりました。
そして、こうした企業側の事情に配慮してなのか、1999年の小渕政権や2004年の小泉政権下では労働者側に有利だった労働者派遣法が大幅に緩和され、企業は非正規雇用を利用しやすくなり、労働者にとっては正規雇用の就業先が減って不安定な働き方を余儀なくされることが増えたのです。
しかも企業にとって、正規雇用と同じコストを税込みで派遣や外注に置き換えれば消費税の『課税仕入れ』扱いとなり、消費税率が上がるほど、税額控除が大きくなって“手残り”が増えるという大きなメリットができてしまったのです。
さらに、1997年には独禁法改正により、いわゆる持株会社の設立が解禁されました。これにより、儲かっている企業でも、部門ごとに子会社化して賃金水準を抑制することもできるようになりました。
このように、企業にとっては、景気後退時の負担回避と好景気時の利益の最大化のため、人件費を抑える選択肢が格段に増えたのです」(後略)』
う~む・・・凄い。労働分配率系の賃金下落要因(というか政策要因)を、見事にまとめている。「経済ジャーナリスト」とは、どなたなのでしょうか。
1.バブル崩壊を切っ掛けに、株式持ち合いが終わりに向かい、株主が機関投資家に変わった
2.株主資本主義蔓延で、配当圧力が高まり、企業は純利益を最大化することを経営目的とするようになった
3.売上原価(仕入れコスト)と人件費が抑制的になった
4.労働者派遣法改正などで、非正規雇用が増えていった
5.しかも、企業が正規雇用と同じ金額で派遣や外注に置き換えると消費税が節税できてしまう
6.持ち株会社解禁で、部門ごとに子会社化し、賃金水準(及び利益)を「調整」できるようになった
さらに、政府は法人税を断続的に引き下げていった。
結果、企業は「合理的」に賃金抑制に走った。
―――――――――――――――――続く――――――――――――――――――
記事タイトル: 法人税は「貯蓄の罰」、消費税は「消費の罰」
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