沖縄への旅 3日目
今日も慶良間諸島に船で渡った。今日の目的地は渡嘉敷島。手元のパンフによると、観光地化されていてファミリー向け、との文字が。しかも昨日の座間味に比べ、観光客の姿が多い。それどころか、船の上は「黙ることを忘れた」修学旅行生の群れ・・・。正直、あまり期待せずに、海の上を走った。しかし僕の期待はいい意味で裏切られた。阿波連ビーチ。坂の上から見下ろした全景に、僕は言葉を失った。本当は言葉を失うというチンケな表現など使いたくはないのだが、それ以外の言い方が見つからなかった。あんなに美しい海を見たのは生まれて初めてだった。美しさで有名な人気ビーチであることは知っていたのだがまさかここまでとは・・・。その後、誰もいないし、誰も来ないナカチブルビーチでまたトランクス一丁で泳いだ。日光浴をしていると、いつのまにか潮が引き、タイドプールが現れた。潮溜まりの中には名も知らない熱帯魚と、真っ黒なシャコ?そして俺の突然の訪問に驚いて、足の甲の上を全速力で踏みつけながら走り去った手の平サイズのイソガニ。そこでまるで子どもに帰ったかのように、僕は遊んだ。思い出した。幼い頃、僕はこうやって潮の引いたタイドプールで、さまざまな海の生き物たちと遊ぶのが好きだったのだ。「子どもは危ないから」という親の勝手なルールで、あまり連れて行ってもらえなかった、磯の潮溜まり。僕はこれまで何十年も、こうやって遊びたかったのだ。まったく期待していなかった渡嘉敷島の自然はそんな僕を優しく包み込み、幼い頃の憧憬にいつしか連れ戻してくれた。救われた。この島に僕は救われた。